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予備知識無しで初めて聴くショスタコーヴィチの交響曲の感想(その2)「交響曲第4番(ゲルギエフ/キーロフ歌劇管)」 これは怖い、怖すぎる…

14番、1番、7番とショスタコーヴィチの交響曲を聴いてきて、後はナンバリング順に聴こうと思いました。2番・3番はライブラリになかったので、次は4番です。同じように予備知識無しで、まず曲を聴いてみます。

交響曲第4番(ゲルギエフ/キーロフ歌劇管)
(初聴き)
第1楽章、最初はストラヴィンスキーみたいな感じですね。うん、うん……うーん……。ごめんなさい、普段こんな聴き方はしないんですが、第1楽章の途中ですけど一度止めます。弦始まりの高速フーガがトゥッティになって、ここで終わるのかなと思ったら舞踊みたいなのが始まって、それも収まって今ほぼ無音になったところです。このゲルギエフの盤は第1楽章が二つに、第3楽章が三つに分けてあって、それは勿論長いからじゃなく音楽的性格で分けられてると思うんですが、第1楽章の後半はこの音速フーガからになってます。勿論そこで切るのは分かりますよ、テンポが全然違うし。でも第1楽章の前半だけでもほぼ無音になるところが二か所あって、これもっとマーラーのCDみたいに細かく分けた方がいいんじゃないかなあ。正直この楽章は今のところ全く分からないです。多分主題の再現とか一度もないんじゃないかな。次々と違う風景を見せられて、どこに連れていかれるのか分からない感じ。余計なことは考えずにひたすら音に身を委ねればいいと言われるかも知れませんが、私まだそこまでショスタコーヴィチを信頼していないんですよ。この人の楽章の分け方は何かおかしい。この人の頭の中ではこれが一つの楽章なんでしょうけど、私には全然分かりません。
とりあえず続きを聴いてみます。あ、ここで冒頭の主題が再現されるんだ。もう二十分も前に聴いた、ストラヴィンスキーみたいだと思ってなかったら忘れてたと思いますよ。それが終わったら今度はソロヴァイオリン。きれいだけどこれも一辺完全に終わっちゃう。そこからファゴット始まりでボレロみたいなのが始まった。いや滅茶苦茶ボレロっぽい、でもこれも盛り上がらずに最後消えるように楽章も終了。

第2楽章、いかにもスケルツォですね。冒頭の主題をフーガ的に展開して、はいティンパニ来ました。そこから第二主題。またティンパニ鳴って第一主題の再現。あれ?全然普通だぞ。いやまだ半分だからな。第一主題の展開が長い。あれ?金管が鳴って何かこのまま盛り上がって終わりそうな気配が。ああ、この楽章も静かに終わるんですね。でも8分と短いせいか、この楽章は全然理解できる気がします。

第3楽章、これは葬送行進曲ですね。マーラーみたい。はい弦が激しくなって何か民族的な舞踊みたいなのが始まりました。それが舞踏会の典雅なワルツみたいなのに変わって、まだ踊ってますね。だんだん静まってきて、あティンパニ来ました。好きですねこの人ティンパニ。ここからいかにもフィナーレっぽくなって、あらら~葬送行進曲を再現するんだ。そしてそのまま静かに終わるんだ。全楽章そういう終わり方なんだ。ふーん。でもこの楽章が三つに分かれるのはよく分かります。ギャップレスで聴いてるのでどこがファイルの切れ目か分かりませんが、葬送行進曲・ダンス・ティンパニ以降で明らかに切れている気がしました。この楽章も理解できるのになあ。第1楽章が謎過ぎる。

(解説を読んで)
その時点で「わが仕事のクレド(綱領)」とまで呼んで全力で作った曲を、最終リハーサルまでやった(オケだけで合唱とかいないのに134人も必要なんですよ)のに初演を撤回して封印しているわけですね。全力を出し過ぎちゃって他人には理解できない、特にソビエトのお偉いさんには絶対に理解されないと思ったんでしょう。でもクラシック・ファンの人って凄いですね、この曲一回聴いて理解できちゃうんだ。私は第1楽章を聴いてて怖かったですよ。ショスタコーヴィチの頭の中をそのまま見せられているようで、この混沌にしか見えないものがどんな綱領で構造づけられているのか未だに見当もつきません。天才が全力出して作ってるんですから凡才に理解できないのは当然かもしれませんが、いろいろ解説読んでみても、誰もそれに驚いてないのが凄い。みんな理解できてるんだ。
もっと怖いことがあります。全力を出して作ったこの4番を封印して翌年にショスタコーヴィチは別の意味で全力を出して5番を作ってるわけです。「プラウダ」でブルジョワ的だと批判されて窮地に陥っていたショスタコーヴィチは5番の大成功で狙い通りに名誉回復することになります。狙ってヒットを飛ばしてるんですよ。この5番がショスタコの交響曲の中でも屈指の人気曲らしいと知って私はゾワゾワしています。皆さんショスタコーヴィチの掌の上で転がされてるんじゃないんですか。こんな情報知りたくなかった。フラットな気持ちで5番を聴きたかった。
あまりに怖すぎて当分5番を聴こうという気持ちにはなれそうもありません。だから曲は曲を聴くだけでいいって言っているのに…

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