phaの新刊「パーティーが終わって、中年が始まる」を読んだ
2012年、就職する直前に、phaさんのニートの歩き方という本の存在を知った。その時は確か大学のトイレの中にいたと思う。
本自体は読まなかったけど、存在を知った場所を覚えているくらいに、記憶に残る出来事だった。
それ以降、ニートの歩き方は読まなかったけれど、フルサトをつくる、ひきこもらない、持たない幸福論など、phaさんの色々な本を読んだ。
特に、ひきこもらないのような、ライフハック感のない本が好きだった。小説家以外で、こんなにも同じ人の本を読んでいるということは他にはなかった。
私がnoteを始めたキッカケも、phaさんが日常の記録をnoteに書いていたからだ。
自分にとって、phaさんは憧れの存在だった。久しぶりに再開したnoteを見ていると、そんなphaさんが新刊を出したことを知った。あまり考えず、すぐにAmazonで注文した。
私はphaさんの10個下になるので世代は異なるかもしれない。だけど、読んでいて懐かしく、共感する気持ちが多かった。
ファミレスでダラダラした話とか、マックが59円だった頃の話とか、Twitterで色んな人と繋がれることに楽しさを感じた話とか、読んでいて懐かしさを感じた。「思い出を振り返る際の着眼点が似ているな」と感じた。
私はマジメに大学生活を過さなかったこともあって、働きたくないと思っていた。mixiで毎日文章を書くことが好きで、ただ電車に乗って移動したり、銭湯でダラダラするのも好きだった。phaさんに似ていると感じている。
そんな中で、phaさんの生き方は憧れがあり、希望もあった。働かずに、色々な場所を転々としながら、好きな文章で生きている。私には選択できなかった生き方をしている人であり、憧れを持っていた。
phaさんのような生き方を知ることで安心できるという一面もあった。
「たとえ働かなかったとしても、楽しく暮らしている人はいる」
そうした人生の選択肢を知れることで、生きる不安が減っていった。
ただ、今回の新刊は少し異なっていた。全体的に、色々なことが加齢とともに楽しくなくなっているように感じた。
若者に囲まれて据わりの悪さを感じるようになったり、深夜のサービスエリアに楽しみを感じなくなったり、引っ越しすることを疎ましく思ったり、書くことが減っていたり。
今でも自分は、深夜のサービスエリアにはワクワクする。変化が怖くてできないだけで、定住しない生活をしたいとも思っている。
ただ、10年先を生きるphaさんは、もうそれらに対する楽しさを感じられなくなっている。30代後半が人生のピークだったと言っている。
読み終えて、「今の内に、やりたいと思ってることはやっておいた方が良いのではないか?」と思った。
phaさんはもう引っ越したくないと思っているけれど、人生のピークの30代後半には定住しない生活をしていた。私はこのままだと、「いつか定住しない生活がしたい」と思っている内に人生のピークを終えて、何も経験しないまま「やりたい気持ち」も薄れていってしまうのではないか。
30代後半の生き方について、考えさせられる本だった。