3歳8歳と行く新年の伊豆旅行4Days
澄んだ空気が肌を刺す1月初旬、私たち家族は新年の幕開けを祝うべく、伊豆への旅に出た。
この旅に来たのは、「温暖な海沿いの温泉街に住んでみたい」という漠然とした憧れを確認するためでもあった。
前回の訪問から約1年半。滋賀から車で5時間という距離は決して近いものではない。
しかし、伊豆の魅力は私たちを再び引き寄せるには十分だった。
海、山、温泉という自然の恵み。新鮮な海の幸、清流で育つワサビ、みかんに代表される数々の果物。
伊豆は、日本の素晴らしさが凝縮された場所だ。
今回の旅では、温泉付きの一軒家を巡りながら、子どもたちの新たな一面を発見する旅になることを、ひそかに期待していた。
1日目 小室山と一碧湖の絶景に出会う
朝日に輝く伊豆の海(小室山)
旅人の朝は早い。午前3時に真っ暗な滋賀を出てからは、高速道路をほぼノンストップで駆け抜けた。
目的地の小室山に到着したのは、まだ園内がオープンする前だった。
小室山の標高は321mで、580mの大室山と比べるとずいぶんと小さい。
だけど、小室山を目前にするとその存在感は圧倒的だった。
山頂へは1人乗りのリフトで向かう。
背もたれもがなくて、足が地面から離れる瞬間にヒヤッとした感覚がある。
息子の顔を見ると、怖さと楽しさが入り交じったような、複雑なニコニコ顔をしてくれていた。
「パパ、気持ちいいね!」
リフトで揺れる息子の声が冬の小室山に響いていく。
私の胸に、なんとも言えない温かい感情が広がっていった。
山頂に到着すると、そこには見渡す限りの海が広がっていた。
小室山は大室山よりも海側に位置し、伊豆の海を一望できる。
曇っていても、遮るものがない青だけの景色はとても美しい。
「おおー!うみだね!」
娘の歓声が、静かな冬の小室山に響いていく。
山頂で走る彼女の姿は、山頂の景色よりも明るく輝いていた。
山頂にはオシャレなカフェがあり、その先には絶景ポイントが用意されていた。
カフェでは、地元の特産品であるぐり茶のラテを注文した。
伊豆は何回か来ているけれど、ぐり茶は初めて聞くお茶だ。
「ぐり茶って何?」と息子が尋ねてくるので、
「なんだろうね。栗かなんかのお茶かね」と話していたが、後でぐり茶専門店に訪れた際に、伊豆独特のお茶だということがわかった。
ぐり茶ラテは、抹茶のような濃厚な味わいで、予想外の美味しさに驚いた。
窓際の席に座り、温かいラテを飲みながら日向ぼっこをする。
1月の寒い朝に、山頂のカフェで過ごすこの時間が、何とも贅沢に感じられた。
窓際の椅子があったかくて気持ちいい…
寒い時期に山の上のカフェで日向ぼっこするという贅沢。
小室山は犬連れの人が多く、娘が犬を見つけては「わんわん!」と声をあげ、その場で固まる姿が何度も見られた
「動物が気になる年ごろなのかな」と妻と話しながら、日々変わっていく娘の成長をしみじみと噛みしめる。
息子は山頂にある神社でおみくじを引きたがった。
普段なら「別に引いても何も変わらんよ」と流してしまうとこだが、今回は普段と異なる旅先ということもあり、息子の願いを聞き入れてみることにした。
息子が真剣な表情で引いたおみくじには、こう書かれていた。
「生涯をかけて学ぶものって、何だろう・・・」と読み上げる息子に対して
「なんか今年は大事そうな年だね」と答えてあげた。
おみくじは自分だけだったら絶対にやらなかっただろう。でも、やってみると意外と面白い。
こういった自分の興味と異なることを楽しめることは、子どもができたからこその楽しみの一つだ。
ボートに揺られて(一碧湖)
小室山を出発した時間はまだ昼前だったので、予定にはなかった一碧湖へ向かうことにした。早起きは三文の徳だ。
一碧湖に到着すると、その澄んだ水面に思わず声を上げてしまう。
「湖」と名付けられているが、実際は沼らしい。しかし、その美しさは一碧湖という名前に恥じないものだった。
息子の「ボートに乗りたい!」という一言で、私たちは4人でボートに乗り込むことになった。
「ボートに乗ってのんびり揺られた。とてもゆったりとした時間を過ごすことができた。」
と書きたいところだったが、現実は違った。
ボートの進みが遅いのか、一碧湖が予想外に広いのか、まったく奥にたどり着くことができない。
30分間、ほぼノンストップでペダルを漕ぎ続けることになった。
先ほどまでは風が寒かったはずなのに、少し汗ばんできてしまう。
「パパ、疲れた~」と言いながら、となりの息子はぜーぜーと息をあげながら泥のように寝ていた。
ハンバーグ定食(美ずき)
伊東から宿近くの東伊豆まで移動して、美ずきというお店でランチをいただくことにした。
店に入るなり、店員さんが子供たちに優しく接してくれる。
「いらっしゃい。お兄ちゃんは何年生?妹ちゃんは何歳?」
その言葉に、子供たちの緊張がほぐれていく。
メニューを見ながら、息子が店員さんに「鉄火丼定食の温かい蕎麦を、冷たい蕎麦に変えられますか?」と尋ねていた。
その言葉を聞いて、「大人に対して自分の意見を主張できるのは良いことだねー」と妻と話した。
伊豆といえば海鮮で、美ずきでも海鮮丼が有名らしい。
だけど私はハンバーグ定食が食べた過ぎたので、自分を信じてハンバーグ定食にした。
食べたいものを食べるのが一番だ。
ハンバーグは期待通りの美味しさだった。自分を信じて良かった。
食後はお店の周りを散歩した。
伊豆半島を車で走ると10分おきくらいに新しい温泉街に出会うことができる。
ここは片瀬白田温泉という場所らしい。
「パパ!湯気が爆発してるみたい」
この町は排水溝から湯気が立ち上っていたり、なぜか整骨院のとなりに温泉の噴出口があったりと、温泉が自然のように町に溶け込んでいた。
この町では、温泉が人々の生活に密着しているのだろう。
バブルの頃に建てられていそうな古いアパートなどがたくさんあって、空き家だらけだった。
「ここに住めたら、毎日温泉に入れるね」と妻が話す。温泉付きの生活。それは夢のような話だが、ここではそれが現実なのかもしれない。
温水プールの宿(森の風)
今日の宿は、「宿を選ぶ家族会議」の結果「一年中プールに入れる」ところに惹かれて息子が選んだ宿だ。
チェックインすると、その広さに驚かされた。
「すごい!1階にも2階にも部屋がいっぱい!」
部屋数がやたら多くて、5部屋くらいある。娘も息子も楽しそうに走り回っている。まるで別荘のような宿だ。
温水プールとはいえ水温は28度くらいらしい。1月3日の真冬のプールで妻が「寒い…!寒い…!」と震える中、息子は飛び込みやら蹴伸びやら楽しそうに泳ぎ回っていた。
私は水着に着替えたけど、寒そうなので入るのはやめた。後悔はしてない。
プールのあとは大浴場へ。
朝3時から運転していた疲れがしみ出していく・・・
大浴場は貸し切りで、ここでも息子は蹴伸びやらして楽しそうだった。
部屋に戻ると、窓の外にはみかん畑が広がっていた。
夕陽に照らされたみかんの木々が、オレンジ色に輝いている。その景色に心を奪われ、気づけば私は眠りに落ちていた。
海鮮とうなぎ(今半)
5時くらいに起きて、奥さんと一緒に夕飯のお店を探した。
年末年始ということでどこも混んでいて、4軒目でやっと腰を落ち着けることができた。
熱川温泉の中にある料理屋で、夜でも定食が頼める子供連れには助かるお店だ。
寝ている娘を見たお店の人が、そっとひざ掛けを持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「いえいえ」
その心遣いに、妻と顔を見合わせてほっこりした。
息子は刺身と天ぷらがついた刺天定食を、妻は一品料理から食べたいものをいくつか選んで、私はうな重を頼むことにした。
うな重は重箱を開けるときからワクワクで心が躍ってしまう。
キレイな照りがある身はホワホワとした食感で、外はパリッとしていて、とてもおいしい。ゆたかだ・・・
8人掛けのテーブルに座っていたため、しばらくすると新卒くらいの男性4人と相席になった。
盗み聞きするつもりはないけれど、席が近いので自然と聞こえてしまう。
「日本酒飲みたい」「いいね!」みたいなノリの良い感じが、とても懐かしい。自分の学生時代のときのようだ。
家族もいいけど、10年くらい前に行っていた友だちとの旅行もよかったな。
また子供が大きくなった10年後くらいに、友だちと温泉街を歩きたいな。
星空の下で温泉散歩(熱川温泉)
店を出た後、少しだけ熱川温泉を散歩することにした。
道のいたるところから湯気が立ち上り、硫黄の香りが漂う。まさに「The 温泉街」という雰囲気だ。
湯気につられて空を眺めると、息を呑むほどの星空が広がっていた。
「すごい!今までのどの旅行よりもたくさんの星が見えてる!」
妻の声に、私たちはしばらく星空に見入ってしまった。
熱川温泉は大型旅館がたくさんあって、ホテルの客室のまばらな光や、温泉街を彩る提灯の光など、歩いていてじんわりと温かい気持ちになる景色だ。
最後にお湯かけ弁財天という場所で温泉卵を作った。
今日はたくさんの温泉の噴出口を見てきたけど、ここの勢いが一番すごい。
「ドゥゥアワアアア」という轟音とともに大量の温泉が湧き出てている。
源泉は99℃らしく、やめればいいのに触ってみると思わず「あっつ!」と叫んでしまった。
8分で温泉卵ができるらしく、持参した卵を息子が真剣に茹でていた。
こういうときの息子は本当に働き者だ。
「おいしい!ちょっと塩の味がするね」
こうやって自然の恵みで料理ができるのって、本当にすごいな。
宿に戻り、部屋の温泉で家族一緒にゆっくりと湯に浸かる。
柚子サイダーを飲みながら、今日一日の出来事を語り合った。明日はどんな旅になるのだろうか。
2日目 動物との触れ合いと伊豆の味覚
温泉で始まる朝
朝7時に目覚ましで起きた。
散歩をしようか悩んだ末、せっかく温泉があるので大浴場に入ることにした。
朝風呂は、最高だ。
寝起きでカピカピの身体に、熱いお湯がじんわりと染み込んでくる。
顔にパシャっとお湯をかけると、思わず大きな吐息を出してしまう。
風呂を出てから日記を書いていると9時くらいになったので、家族を起こして出発した。
朝はベーカリー(マーブルココ)
朝食はチーズのフロマージュというのが有名なパン屋へ。
出発が遅かったので、昼ごはん兼朝ごはんのブランチみたいな時間になっている。
テレビ取材が多いらしく、ラビットとかスッキリも来ているらしい。
なんだかんだテレビの取材が来てると、良い店なのかなと思ってしまう。
モーニングセット2つに加えて、息子と2人で気の向くままにパンを選んでいたら、5500円も使ってしまった。
気を抜くとパン屋はすぐに散財してしまう。
特に印象的だったのは、モーニングで食べたハチミツバタートースト。フワフワな食感で、甘さも程よかった。
となりでは、息子が選んだメロンパンを娘が食べてしまったということで、息子がイライラと悲しみを混じらせていた。
「ぼくのでしょ!かえして!」
「あーちゃんの!」
悲しむ息子には悪いけど、妻と一緒に「懐かしいね」と笑ってしまった。
息子も娘と同じ年の頃は良くセブンのメロンパンを食べていた。2人は似ているんだな。
動物が近い(伊豆シャボテン公園)
お腹を満たし、次は伊豆シャボテン公園へ。
入園するとすぐ、ミーアキャットの群れに遭遇した。
ミーアキャットを見ながら、娘はひたすらに叫び続けている。
「喧嘩してる!立ってる! いなくなっちゃった!」と、初っ端の動物相手にとても忙しそうだ。
このままの感動ペースで体力は持つのだろうか。
36歳になると、ミーアキャットを見ても「まあ、ミーアキャットはこんなもんだよね」と思ってしまう。
だけどミーアキャットを見る娘の反応を見ていると、新鮮な気持ちを取り戻すことができる。
娘がカピバラにエサやりをしているところを、息子が無言で眺めていた。
息子に「やるよね?」と聴くと「え!いいの!」と喜んでいた。
大きくなるにつれて、甘えるのが苦手になってきているのかな。
でも、こういう時は素直に喜んでくれる。嬉しい瞬間だ。
中盤以降、娘はうんちの話ばかりしていた。
「鳥さんウンチ💩してる!鳥さんのウンチ💩落ちてる!にいにい(兄)がウンチ💩踏んじゃった!」とずっとうんちの話をしていた。ウンチ好きだな。
シャボテン公園では様々な種類のサボテンが売られていて、お土産として自分が選んだサボテンで寄せ植えができた。
息子は自分のお小遣いで寄せ植えをしていた。
「どれにしようかな・・・」と真剣な表情で選んでいる。
「旅先でのサボテン作り体験」という思い出を含めてお土産にするなんて、買い物上手・旅上手な子だな。
和菓子がおいしい(ぐり茶の杉山と伊豆一の蔵)
ホテルまでの道中で、茶屋と菓子屋を巡ることにした。
1軒目は初日に小室山でも飲んだぐり茶の専門店だ。
苦みが強く、息子は「にが・・・」と言っていたが、ほっと一息つける美味しいお茶だ。
ぐり茶は抹茶のように濃い味なので、ソフトクリームも美味しかった。
すぐ近くにある伊豆一の蔵では贈答用の箱物のお土産はもちろんのこと、小分けのお菓子がたくさん置いてあった。
こういうお店は選ぶのがとても楽しくなる。
持って帰ってホテルで食べたけど、いろんな味が楽しめて、どれも本当に美味しかった。
年を取るにつれて和菓子がどんどん美味しくなる。
年を取るのもなかなか良いもんだ。
ちゃんと回る回転寿司(魚磯)
夕飯は回転寿司屋へ。
5時半に着いたのに店内はもう満席だった。
あらためて考えると、しっかり回る回転寿司は久しぶりかもしれない。
スシローぺろぺろ事件以来、回らない回転寿司が増えてしまったけど、やっぱり回転寿司は回って欲しい。
回ってくれているだけで、楽しい気持ちになることができる。
この店はどれもびっくりするくらいに寿司ネタが大きくて、ハマチなんかは刺身3枚分くらいあった。
特に地物のアジが美味しくて、何度もリピートしてしまう美味さだ。
回転寿司では息子が大活躍だった。
「食べたいやつは全部ぼくが取るから言って!一番大きな皿を取るよ!」
と、回転レーンから家族分のお寿司を取ってくれた。
小さな娘の面倒を見ないといけない中だと、こういった家族のための行動はとても助かる。
帰りの車中で、息子がふとつぶやいた。「好きなものをたくさん食べれて良かった。僕、この家の子どもに生まれて良かった」
ふとした言葉に、心がじんと温かくなる。
お金に不自由ない生活ができていることを当たり前と思わず、ちゃんと親に感謝してくれるのは純粋に嬉しいし、しっかりしているなと思う。
自分自身も、100円寿司じゃないお店で値段を気にせず食べれるようになって良かった。
新卒の頃は早くお金を貯めたくて、そばと鶏むね肉だけを食べ続けていたので、なんというか、お金を気にせずに食べたいものを食べられるって、すごい幸せなことだと思う。
みかん畑の中の宿(オレンジ村)
今日の宿はオレンジ農園の中にある二階建ての宿だった。
あまりの広さに、息子と娘が早速かくれんぼをしていた。
大きい部屋のホテルに泊まるのは探検みたいで楽しいんだろうな。
部屋に備え付けの温泉に入った後、テーブルの上に伊豆一の蔵で買ったお菓子を並べて、家族4人で楽しんだ。
旅先で食べる寝る前のお菓子は美味しい。家族で食べると、より楽しい。
3日目 みかん狩り・そば打ち体験
親子で朝散歩(城ヶ崎海岸)
朝7時に起床。今年からはあまり早起きしすぎず、日の出の時間に起きるようにしている。
太陽以上に早起きするのを頑張ることは、本当に幸せなのだろうか?
身支度を終えたあと、珍しく自分から起きてきた息子と一緒に、散歩に出かけた。
今回の宿は城ヶ崎海岸の近くだったので、息子と2人で海を見に行った。
冬の朝は肌寒いが、海沿いの散策路を歩いていると段々と温かくなってくる。
野生のリスを見て2人で大声をあげたり、日の出を浴びながらじんわりと伸びをしたりして、2人だけの時間を大事に過ごした。
息子と2人で旅先の朝散歩に行くのは、初めてのことだったかもしれない。
息子は道中で見つけたヤシの木を見ながら、「南国は暑いのに、南極はなんで寒いんだろう」という話をしていた。
2人で歩くと、別々の視点があって面白い。
冬の名物みかん狩り(オレンジ村)
部屋をチェックアウトしてから、同じ敷地内にあるみかん農園でみかん狩りをした。宿泊客は無料なのだ。
宿の周りには見渡す限りのみかん畑が広がっている。朝日に照らされたみかんの実が、まるで黄金のように輝いていた。
「1月上旬は温州みかんの早生みかんと青島みかんが旬ですよ」と案内の方が教えてくれる。
せっかくみかん狩りに来ているのだから、みかんの品種や味の特徴とかをちゃんと説明してくれるのはとても嬉しい。
木々の間を歩きながら、家族でみかん狩りを楽しむ。甘いもの、酸っぱいもの、果汁たっぷりのもの。
一つ一つ味が違って、スーパーで買うみかんとは全然違う。
「パパ、これ甘い!」と息子が見つけたみかんを、みんなで分け合う。
みかん狩りを楽しんだ後は、息子の提案でかくれんぼをした。
かくれんぼなのに、ルールがあまりわかっていない娘は「あーちゃん どーこだ!」と叫びながら走り回っていて、思わずキュンとしてしまった。
そば打ち体験(観音亭)
みかん狩りのあとはそば打ち体験へ。今日は1日体験Dayだ。
妻との役割分担じゃんけんの結果、私が体験担当で、妻が娘見守り担当となった。いえーい。
そば粉を石臼で挽くのは、自分も初めての体験だ。
ゴリゴリと石臼を回すとパラパラと粉が出てくるのが面白い。
「お、も、い・・・」と息子は顔を引きつらせていて、子供の力だと回せないくらいに石臼は重かった。
粉を引いたり、粘土のように生地をこねたり、延べ棒でコロコロ伸ばしたり。
そば打ちという作業は、何だか無心になれる瞬間が多くて、楽しい。
一緒にやっていた息子も、初めての体験に戸惑いながらも一生懸命作ってくれていた。
仕上げのそば切りは大人の仕事ということで私がやってみたが、意外と上手にできて、細くて均一なそばを作ることができた。まんぞく。
茹で上がった蕎麦はお世辞抜きに美味しくかった。
「自分で作ると、より美味しく感じるね」と妻も感心してくれていた。
小腹にラーメン(伊豆高原飯店)
体験は2人分だったので、まだまだお腹が空いている。
近くにあった地元の中華料理屋でラーメンを食べることにした。
店内はブレイクダンスができそうなくらいに広々としていて、店の奥を見上げると大きなテレビがある。
昔ながらの町中華・田舎版という感じのお店だ。
息子はラーメン、妻はサンマーメン、私はネギみそラーメン。
旅先にも関わらず、ご当地ラーメンでもなく、創作ラーメンでもない、普通のラーメンを食べてしまう。
でも、結局こういうのが美味いんだよな・・・
食べたいものを、好きに食べるのが一番おいしい。
泥パック温泉(伊豆高原の湯)
食後は前回の伊豆旅行でも訪れた伊豆高原の湯、通称「泥パック温泉」へ。
泥パック温泉の看板は伊豆を旅すれば一度は必ず目にするし、目にしたら絶対に忘れられないインパクトがある。
息子は泥パックが好きすぎて5回もしていたらしい。
息子が泥パックで美肌になっている間、私は露天風呂に浸かりながらミカンの木をのんびりと眺めていた。
海があって、山があって、果物があって、温泉がある。
伊豆っていいところだな・・・
行きつけのそば屋(砂場)
夕飯は前回の伊豆旅行でも訪れた手打そばの店・砂場へ。
旅先で新しい店を開拓せずに安定の店を再訪し始めると、老人化し始めている気がする。まあ老人化しているんだな。素直に受け入れよう。
和風な店内と、美味しいそば。砂場はやはり安定感がある。
砂場は400年続く歴史あるお店らしい。
美味しくて落ち着けるお店だ。ずっと続いて欲しい。
AMBIENT 伊豆高原コンドミニアム
食後はこの旅最後の宿にチェックイン。
外観はマンションのような見た目なのに、室内は吹き抜けで、解放感が抜群だ。
ただ2階や階段から娘が落ちないか心配になるときが何度かあって、あんまり子連れ向きではなかったかもしれない。
階段の鉄格子の間から「ヤッホー!おーい!」という娘の姿を見守るのは中々スリリングで、「校舎の屋上で今にも飛び降りようとしている人を受け止めようとする人はこんな気持ちなのだろうか」と考えていた。
4日目 旅を振り返りながらの帰宅
親子で朝散歩
最終日も日の出とともに目が覚めた。
昨日に引き続き、いつもは自分から起きることはない息子が一人で起きてきて、「一緒に散歩に行きたい」と言ってくれたので、2人で朝から出かけることにした。
ホテルは伊豆高原の大室山が見える場所にあり、歩くとすぐの場所には昔ながらの別荘地があった。
2割は人が住めないくらいにボロボロになっていて、7割は昭和な雰囲気の建物で、残り1割は新しい建物という感じの別荘地。
別荘地だから普段は人が少ないだろうし、9割は古い建物なので、夜は結構怖いのかもしれない。
温泉が引ける別荘地と聞くと良さそうに聞こえるけど、実際に歩いてみるとちょっと違うな、という感じがした。
建物が多いから意外と自然は少ないし、普通の住宅街とあんまり雰囲気は変わらない気がした。
おみやげ(石舟庵)
チェックアウトしてから高速に乗る前の道中で、良さそうなお菓子処を見つけた。
観光地として栄えている地域は長く続くおいしいお菓子のお店が大体ある。
伊豆一の蔵も良かったし、ここ石舟庵もすごく良かった。
静岡おでん(浜松SA)
高速道路を走りながら、滋賀への帰路につく。しかし、まだ旅は終わらない。静岡を通過する際、必ず立ち寄る場所がある。
真っ黒なイワシのつみれ、色んな種類のモツ、最後にかける削り節・・・見た目は独特だが、何度もリピートしたくなる魅力がある。
家族みんなで「しぞぉーかおでん」を堪能する。毎回2,000円から3,000円ほど使ってしまうが、この味わいは値段以上の価値がある。
おわりに
車に戻り、再び高速道路へ。長い帰り道は、ラジオを聴いたり、寝たり、家族それぞれの時間を過ごした。
最後のSAを通過してから、少しずつ今回の旅の思い出を振り返っていく。
「何が思い出に残ってる?」と尋ねると
「うーん・・・泥パック温泉!」と息子が答える。
話をしながら、この4日間の旅を振り返る。温泉に浸かり、美味しい食事を楽しみ、自然と触れ合う。なんて贅沢な旅なのだろう。
この旅で、子どもたちの新しい一面をたくさん見ることができた。
8歳の息子は、以前よりも自立心が芽生えてきている。朝の散歩に自ら起きてきたり、そば打ち体験で真剣に取り組む姿は、成長を感じてしまう。
3歳の娘は、言葉がどんどん増えて、周りの世界への好奇心が爆発している。動物を見て大興奮する姿や、みかん畑で走り回る姿など、可愛らしさと同時に彼女なりの世界の広がりを感じた。
家に到着し、お茶漬けを食べながら、この旅の意味を考える。この4日間の旅は、私たち家族にとって、かけがえのない思い出となった。
そして、この旅行記を書くことで、その思い出をより鮮明に、より深く心に刻むことができた。
いつか、成長した子どもたちとこの旅行記を読み返す日が来ることを、今から楽しみにしている。その時がまた旅先であれば粋だと思う。
次はどんな旅が待っているのだろうか。旅先で家族とどんな姿を見れるのだろう。次なる旅への期待を胸に抱きながら、明日から日常がまた始まる。