「チャイコフスキーの妻」(2022)

ロシアの天才作曲家チャイコフスキーと2人目の妻 アントニーナ・ミリューコヴァの結婚生活を、妻側の視点から描いた作品。

チャイコフスキーの結婚生活はすぐに破綻した。史実によれば、二人は結婚してすぐに別居。その後40年間 お互いに一度も顔を合わせることなく、妻は精神病棟で亡くなった。彼女は最後まで夫のことを愛し続けたが、その愛情が報われることはなかった。むしろ、長年離婚に応じない頑固な女。チャイコフスキーの創作活動を妨害した"世紀の悪妻"の1人として歴史に名を残してしまう。

「太陽の隣にいたら火傷するわよ」という台詞がチャイコフスキーの妹からアントニーナに向けられる場面がある。この表現はよく理解できる。先日、矢野顕子さんのLiveで彼女のパフォーマンスを見たとき、まさに同じことを思ったからだ。(ああ…これだけの才能がある彼女だから、あの坂本龍一との生活が成立したんだろうな)と勝手に納得。普通の人間が天才の近くにいることは出来ない。チャイコフスキーのような歴史上の偉人までいかなくても、魅力的な人(に見える)というのは誰しも"毒"を持っている。凡人はこの毒に耐えることが出来ない。

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