エヴァンゲリオンと厨二

みっくんという友達がいた
同中ではなく隣の中学の子で中一の時に出会った

うちの中学は二つの小学校が合わさり出来ていたので中一の時にいっきに新しい出会いが生まれ
その中でバスケ部が一緒になった友達とつるむようになり
その友達の友達と遊ぶという図式になった。
そして僕達は出会った。

みっくんはその友達グループの中でもとりわけ目立つリーダー格の子で
背も高く大人びていておしゃれで危険な匂いがした
最初すごく怖かったけど僕はバスケをしていたしタバコは勧められても吸わなかった
みっくんは赤LARKと古着が大好きだった

携帯電話のない時代なのでいきなり家を訪ねていっていたら遊べるしいなかった遊べないみたいな関係
そんなみっくんが不登校になったと友達から聞いた
それまでもどんな学生生活を送っていたかよく知らなかったが学校に行かなくなったらしい
そうだとしても僕達の関係にさほど影響はなくみっくんはみっくんであり
もともと学校も違っていたし家を訪ねていって遊べたら公園でダラダラするみたいな関係には何も支障はなかった

でもだんだんみっくんは外に出なくなった
最初は外で遊ぶことも多かったが徐々にみっくんの部屋で遊ぶようになり
みっくんは親のウイスキーを飲むようになった

僕らの関係がいっきに近くなった事件は厨二の夏休みに起きた
地上波の深夜にエヴァンゲリオンのアニメシリーズの全話が４夜連続でいっきに放送されたのである
劇場版Air/ まごころを、君に
が公開され社会現象が起きて落ち着いていた頃だった
BANはエヴァ見てる？て僕も見てるよ難しいけど面白いよね
家の電話を使ってこの回のあのシーンの意味わかった？
この単語あの伏線は理解できてる？
厨二にとっては何が何だか意味不明な展開に僕はロボットがかっこいい、アスカ可愛いなくらいしか感じ取れていなかったのにみっくんは聖書まで読み漁ってインターネットも普及していない時代にどうやって情報を得ていたのだろう？
あの頃はエヴァこそがみっくんと僕とを繋ぎ止めるきっかけになっていた

新百合ヶ丘で劇場版がまだやってる映画館があることを突き止めて2人で見に行った
みっくんと外で遊ぶのいつぶりだったのだろう
しかも新百合ヶ丘なんで行ったこともない
そこは小さい古いスタイルの映画館で前の人の頭が邪魔でスクリーンが見にくかった
スナックもポップコーンぐらいしかなかったと思う

あの頃の僕達は厨二
まさにエヴァンゲリオンの主人公達と同じ年齢だった
まだ厨二病なんて言葉も生まれてなかったと思う

その後みっくんは たしか通信で高校に通い
大検をとって高校卒業資格を得るって話していたと思う
高校に入ってからは僕も部活づけになりめっきり遊ばなくなってしまった
いまみっくんはどこで何をしてるんだろう

叶うことならエヴァンゲリオンが完結した今もう一度会ってウイスキー飲んで赤LARK一緒に吸いたいな