NewJeans「Supernatural」(2024)とボビー・ブラウン「Every Little Step」(1989)
ついにこの感想文も、禁断のK-POPに触れることになるとは。このような「流行もの」は感度の鈍さがバレるので避けようと思ってきたのだが、書きたくなってしまった。私の完敗である。
思えば、私とK-POPの最初の接点は S.E.S.という3人組女性アイドルの取材だった。ウィキぺディアによれば、1998年日本デビューとある。おそらくデビューしたてだったと思う。ひとり日本育ちのメンバーがいて、元気良くインタビューに答えてくれた。都内のスタジオで歌ってもらったが、確かノーギャラだった。
ウィキには「韓国アイドル第1世代」と書いてある。今、見てみると現在につながるストリート系ダンス(ファッション)が取り入れられていて、パイオニア感満載だ。でも曲調は相当スローで日本風。3人はハングルと日本語しか話せず、この時点ではまだ世界第2位の日本市場狙いだったと思われる。
次に取材したのは SUPER JUNIORというボーイズグループの東京国際フォーラム公演(ファンミーティング)だった。2009年だったと思う。ちょうど「SORRY, SORRY」が韓国で大ヒットしてライブもカッコよかった。何より音楽が日本風から離れて、ダンスミュージックにシフトしていたことに注目だ。
SUPER JUNIORは、日本では一部の熱狂的ファンの支持にとどまっていた。でも当時バンコクのウィークエンド・マーケットで「SORRY, SORRY」が流れていた。メンバーにインタビューをした時に(多すぎて覚えきれなかったが)キャラクター分けが計算されていて、英語担当や日本語担当もいたことに「世界を狙っている」という野望が感じられた。リーダーのイトゥクが、中居君みたいな感じの剽軽なキャラだったが、頭の回転が早くてびっくりしたことを覚えている。
後年、BTSがリスペクトで「SORRY, SORRY」を踊っているが、テテの右隣で踊っているのがイトゥクだと思う。
SUPER JUNIORはその後米国進出も果たす。S.E.S.から10年、私はK-POPが日本市場を飛び越えて、米国市場をターゲットにしたことに驚いていた。
翌年(2009年)には、少女時代が日本にやってきた。女性版スーパージュニアというセールス文句だったと思う。「Genie」「Gee」と立て続けにヒットしたが、私はそれで飽きてしまった。このMV(日本版)に見られるようにセクシー路線でインパクトはあったが、たどたどしい日本語が痛々しく(あるいはミエミエに)感じられたこともあったと思う。
でも少女時代は、K-POPが日本とは違う大人のアイドルという分野を開拓したことを証明していた。この頃のK-POPグループは、ルックスが可愛いとか、踊りが上手とか、英語が話せるとか、それぞれの担当がはっきり分かれていたのだが。
2010年にジャスティン・ビーバーが、アッシャーとのコラボでヒットさせた「Somebody to Love」という曲のMVを見たときに、
バックダンサーに韓国系がずいぶん出ていることに驚いた。2014年には、テイラー・スイフトの「Shake It Off」にも登場している。世界でK-ダンスの「群舞」ならいけるかも?と感じさせた。今思えば、RAIN(ピ)やBoAという実力派ソロを生み出してはいたものの、お家芸の「群舞」が認められ、K-POPは一気に飛躍したと思う。
その後の「K-POPの世界征服」は、皆さんの方が詳しいだろう。私はかろうじてBTSの「Boy With Luv」を聴いて、マイケル・ジャクソンの後継者はK-POP だったか!ということに度肝を抜かれたレイト・カマーに過ぎない。
ということで、その後普通にBTSやBLACKPINKをおさえてはいたが(BTSの「Dynamaite」で、キング・オブ・ポップの称号が、完全にK-POPに来ていることも痛感していたが)それ以外のK-POPにはあえて踏み込まないようにしていた。ハマりたくなかったからでもある。
ところで、少し前に高校生との面接があった。その時、生徒さんが「K-POPが好き」と言ったので「今、何がかっこいいんですか?」と聞くと「私は、NewJeansが好きです」と、はにかみながら答えたのが印象的だった。
NewJeansというと、BLACKPINKにハマっていた友人家族が、今年のファンミーティングに行けたことを興奮して話していた。去年放送された「Nスペ」で、今話題のミン・ヒジン総合プロデューサーのインタビューも興味深く拝見していた。
ちょうどミン・ヒジンが事務所を辞めるということで、NewJeans解散説も流れている。後学のためとYouTubeに行ったところ「Supernatural」にぶち当たってしまった訳である。
レイト・カマーのおっさんが多くを語るまい。ただ、イントロであっという間にドカンとノックアウトされてしまった。ボーカルを刻んだ金属的な音に、昔ダンスミュージックでよく使われたくすんだホーン(でいいのかな?)。そこに気だるい脱力系のボーカルが乗っかってくる。ちょっとT.L.C.っぽいぢゃないか。いや、もしかしてこれは、大好物だったこいつぢゃないか!
5人のメンバーのルックスは個性の異なるモデル並で、歌って踊れて、キャラ分けも英語も完璧。あっという間に、顔と名前を覚えてしまった。しかも、リラックスした自立した女性像を感じさせる。これは女子受けするだろう。それは根強い。日本デビュー曲だというが、今までのように全部日本語ではないところも、よくわかっていらっしゃる。
難を言えば、曲を聴いて誰が歌っているのかわからない。でも、これもK-POP は乗り越えていくのだろう。
まずは、ミン・ヒジン騒動ががぜん身近になってしまった。続報を待ちたい。
後記)この項を書いていて、メジャーリーグに大谷翔平が登場するまでの、日本人選手の歴史を思い返していた。野茂が、イチローが、松井がいたから、大谷がいるように。K-POP の先人たちの功績は計り知れない。何事も継続が大事ということか。