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イギリスの小学校 アカデミックだけでは評価されない。音楽、ドラマ、アート、スポーツなどもバランスよく。

お父さんです。

このブログは地元の公立中高で学び、地方大学を卒業した庶民派お父さんがひょんなことから子供二人の都内私立小学校受験を経て、またまたひょんなことで子供たちがイギリスのボーディングスクールに合格するまでの道のりを綴っています。

今回の記事について                                      
今回の記事は、イギリスの小学校における教育で何が重視されているのかについて書きます。小学校だけでなくイギリスの小中高の全てに共通する価値観だと思いますが、勉強だけでなく、運動(スポーツ)、ドラマ、アート、音楽も同じように大切に扱われているという事を書きます。皆さんの参考になれば嬉しいです。


さて、これまでの記事でも書いている通り、イギリスの小学校では「勉強だけを頑張りましょう」という感じは一切ありません。我が家の子供たちが通っていた学校でも当然のようにそうでした。

「勉強も大事だけど他の事も同じかそれ以上に頑張ろうね」

というスタイルです。いわゆる中学受験的なものはありますし、それはそれで熾烈な競争ですが、それでもむしろ勉強だけをしている子供はあまり評価されず「勉強は良いけど、他の事はどう?」と言われる感じです。我が家の子供もいわゆる名門と言われるボーディングスクールを受験しましたが、その時も勉強の事より「今学期のサッカーでは何点取ったの?」とか「ラグビーのポジションはどこ?」などの質問の方が多かったです。

評価側の基準が『勉強だけではダメ。その他の事も同等以上に評価する』という姿勢を明確にしているからこそ、それを受けてプレップスクール側もそのように生徒を導くという姿勢ができあがっています。

この事を持ってイギリスの教育システムが良いというつもりはありません。正直って、私にはこれが良いか悪いのかの判断もできません。例えば良い点と悪い点を挙げるとすると、

■良い点
-勉強に加え、ドラマ、音楽、アート、スポーツなど色々な多面的な能力を磨く事ができ、バランスの取れた人格形成ができる。
-結果として勉強が苦手な子供も、スポーツ等で頑張れば良い学校に行ける。

■悪い点
-ドラマ、音楽、アート、スポーツなどは概して費用が掛かる傾向にあり、お金持ちの子供が有利になる。
-またドラマ、音楽、アートなどは勉強に比べると主観的な評価になる。評価が本当にフェアとは言えないかもしれない。
-その意味で勉強は正解が明確なため、フェアな評価方法である。

いかがでしょうか。皆さんはどう思われますか。我が家の場合は、私自身が少なくとも勉強だけをやってきたわけではない人生を送ってきた事もあり、「勉強はもちろん一番大切だけど、勉強だけでない色々な事を経験して、自分で考える力を養う事が最も大切」という考えだった事もあり、このイギリス式の教育の考え方がとても我が家には合っていたと思います。子供たちもそう感じていたようで、小学校受験を経て日本では私立の小学校に通っていた娘も、英語が分からない時期から『日本の学校より全然楽しい!』とよく言っておりました。どちらが正しいかは分からない問題だとは思いますが、各家庭の考え方と合っているかどうか、また子供たちが楽しそうに学んでいるかをよく観察する事が大切ではないかと思います。

という事で具体的にどんな事を普段学校でやっているのかをご紹介します。

①スポーツ:1日1コマは、ほぼ必ずある。
②ドラマ :演劇。1学期に1度発表会があり必ず全員参加(計3回/年)。 
③アート :授業は週に1度程度。大体2コマ連続なので、2日に1コマ相当。
④音楽  :週に1コマ程度。

詳しくはYear5の時の時間割を以下にご覧ください。

時間割

①のスポーツについて
別の記事でも触れたように色々なスポーツを順番に経験して、バランスの良い体づくりや将来自分にあったスポーツを選べるような準備段階です。週に5‐6コマは必ずスケジュールに入っていますので、日本の体育の時間*と比べると約2倍もの授業コマ数です。  *文部省ホームページより
我が家の息子は入学してから2年間はほぼ英語を話さなかったのですが(授業でも同様)、このスポーツのおかげで何とかサバイバルしたと言っても過言ではありません。逆にスポーツがあったおかげで息子は友達もでき、クラスの中で存在が認められ、楽しく過ごすことができたのだと思います。まぁ小学校低学年の時なんてそんなものだと言えばそんなものですが、これについては親としては本当に安堵しました。スポーツにそれなりに重きを置いているイギリスの学校には助けられました。

②のドラマについて
「ドラマって何?」と思かもしれませんが、簡単に言うと演劇です。このドラマ(演劇)というのは、日本では考えられないくらい重視されている感じがします。教育の目的としては、
「人前で自分の言葉で何か伝えたい事を伝える事」
「演劇であっても何かの人生のイベントを追体験する事で学びを得る事」
と言った感じで、子供が人生を生きていくうえで必要不可欠な能力の一つとして捉えられているイメージです。この発表会については学校としての取り組みがかなりスゴイので、別記事で詳細を書いています。日本の小学校にはあまり無いカリキュラムだと思いますので、詳細はそちらを読んで頂ければと思いますが、とにかく本格的。衣装や音楽、また舞台装置に至るまで子供にも実際にそのお話を人生として本気で追体験させているのではないかと思うほどです。また多くの人の前で何かを表現するというプレゼンテーションの絶好の練習の機会でもあると思います。年に3回程度のイベントがありますが、それに向けての授業後の特別レッスンや先生たちの情熱たるや、日本の学校では見た事も聞いたことないようなレベルだったので親である私たちの方が驚きました(良い意味です)。また「全員参加」というのもキーワードの一つだと思います。いわゆる主役というかメインの役どころではなくても必ず1人に1つの役が割り当てられます。この徹底っぷりも素晴らしく、全員でチームとして何かを作っていくという事が考え方として徹底されています。我が家の子供たちも入学した1年目には「ドラマに出る意味があるのかな」というくらい英語も話せなかったのですが、それでも小さな役がちゃんと与えられて、それを一生懸命に練習していました。本番の当日前には「ドキドキする」と自分があたかも主役のように緊張していましたし、やり終えた後には達成感を味わっているようでした。この意味でドラマというのは「チームワーク」や「プレゼンテーション」と言った事だけでは表現できない何らかの貴重な経験なのかもしれません。

③アートについて
いわゆる図画工作ですが、こちらもポートレートを描いたり、色々な技法を学んだりという感じで週に1-2回程度です。それでも2コマ連続で授業枠が確保されたりする学期もあり、結構たくさん作品を作って学校から持って帰ってきます。なんだか良く分からないモノを含めて持って帰ってきますが、これは日本とあまり変わらない感じです。学校内の行事(例えばスポーツ大会や水泳大会など)で使うポスターをこの授業で書いて、それを先生が選び、選ばれたポスターは実際にそのイベントで使われる(学校中に貼りだされる)と言ったコンテスト性もあり、この辺も日本と似ているなぁと思います

④音楽について
こちらも日本と同じような感じですが、キーボードからドラムセットまで色々な楽器を試してみて、みんなで1つの演奏をする感じです。日本での定番であるリコーダー(笛)やピアニカは無いのですが、その代わりにキーボードやドラムセットが各生徒に行き渡るようにそれなりの台数が用意されているのはスゴイなぁと思います。いずれにしても1人が1つの楽器を使って何か一つの曲を演奏してみましょうという形で授業が進むイメージです。本質的には日本とあまり変わらない感じだと思います。

以下の4つの点について書いてきました。授業の時間割を見て頂くと分かる通り、やはり午前中の頭が働いている時間帯に英語(国語)と算数(Math)をやるのはしっかりやりつつ、それ以外の学びもしっかりと重視しているのがイギリスでの小学校の特徴です。またシニアスクール(中学/高校)受験の際にもこれらの勉強以外の事が重視されるというのも特徴です。

①スポーツ:1日1コマは、ほぼ必ずある。
②ドラマ :演劇。1学期に1度発表会があり必ず全員参加(計3回/年)。 
③アート :授業は週に1度程度。大体2コマ連続なので、2日に1コマ相当。
④音楽  :週に1コマ程度。

日本と比べて特に特徴的なのは、これら①~④のカリキュラムの重要さと、もう一つ特徴的なのは、①のスポーツと②のドラマへの真剣な取り組み方だと思います。次回以降の記事では、Sports Day(運動会)とDrama(ドラマ)についてより詳しく書いていきたいと思います。

今回も長々と書いてしまいましたが、読んでいただきありがとうございます。皆さんの参考になれば嬉しいです。

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