「早稲田」をめぐる謎(ウィキペディア上の)
まずはこちらの記事をごらんください。
ウィキペディア日本語版にある早稲田大学の記事です。シンボルである大隈記念講堂が目をひく位置に載っています。地図もあります。大隈記念講堂よりも上には、「早稲田」の三文字があります。
一体何のために、筆文字の「早稲田」を載せているのでしょう。でっかい文字で見せるためでしょうか? そんなのユーザー側の設定でいかようにでも調整できます。
日本語版以外のウィキペディアて、"Waseda"を漢字でどう書くか、見せるため! いい推察です。ただ残念ながら違います。早稲田ぐらいなら、たいていの言語版で漢字のテキストを表示できます。それに画像で漢字表記を示すと、コピペもできませんし、ググれません。画像で示すメリットが小さいのです。
以下、この筆書きの画像を「早稲田」と表記します。早稲田大学のウェブサイトを探し回っても、この字体の「早稲田」は見当たりません。一体この「早稲田」の画像は何のための画像なのでしょう。
早稲田をめぐる謎
早稲田の話ばかりでは中立的ではありません。ここで、慶応義塾大学の記事を見てみましょう。
地図があり、その上にシンボルたる建物があり、そしてさらに上に「ペンは剣に勝る」のペンマークがあります。つまり、大学記事の右上スミは、ロゴマークを載せるスペースなのです。
このロゴは1885年ごろに考案されたため、パブリックドメインです。なのでこうして堂々とウィキペディア日本語版に載っているのです。では早稲田大学のロゴはどうなっているでしょうか。載せられるのでしょうか。
このページによると、2007年にデザインガイドラインが策定されたそうです。商標登録もなされています。使用できるのは早稲田大学関係者のみです。早稲田大学のロゴはウィキペディア日本語版では使えません。
おそらく誰かがロゴの代わりに、筆書きの画像をとりあえず入れたのでしょう。
私の意見としては、この「早稲田」は除去すべきだと思います。まったくオフィシャルではないからです。大学側が関わっていない「早稲田」が、あたかも公式かのように大隈講堂の上にいては、要らぬ誤解が生まれそうです。除去しましょう。(なお、この段落の意見は私の意見であり、コミュニティの同意を得ていないことを明記しておきます。)
画像を除去するときは、右上の「編集」タブを押し、出てきた画面から画像ファイル名を探し、それを除去すれば画像も除去されます。「早稲田」のファイル名はそのまんま File:Waseda.pngです。
ですが…
File:Waseda.pngがありません。ページ内検索をしてもありません。画像ファイル名を指定しないと画像は呼び出せません。File:Waseda.pngというファイル名ががこの記事にないのに、この記事に画像が載っています。
ないのにあるのです。これが「早稲田」をめぐる謎です。
早稲田をめぐる謎 回答編
答えは簡単です。ウィキペディアにないならば、ウィキペディアにないのです。
ウィキデータです。
ウィキデータを一言でいうと、構造化データのデータベースです。よくわかりませんね。ウィキペディア、ウィキボヤージュ、ウィクショナリー、ウィキソース……などウィキメディアの姉妹プロジェクトの中央ストレージです。データそのもの、データ同士の繋がり、データの出所、それらをすべて一括して紐づけるサイトです。
ウィキデータにある早稲田大学のページはここです。早稲田大学に関する様々なデータが集まっています。ロゴも「これ!」と指定されています。
ウィキペディアの[[早稲田大学]]とウィキデータの[[早稲田大学]]は紐づけてあります。ウィキデータが「これ!」と指した画像も紐づけられ、ウィキペディアに画像が載るのです。これが「早稲田」をめぐる謎の答えです。
深まる謎
私は一度ウィキデータを編集して「早稲田」を除去しましたが、差し戻されました。なぜならウィキデータには要約欄がないからです。要約欄とは、その編集の要約や、編集の意図を書く欄です。ウィキペディアにはあります。ウィキデータにはないので、私が「早稲田」を削除してもその意図が伝わりません。まるでロゴを消して回る荒らしかのように見えます。なので……
いまだに「早稲田」が載っています。
一体この「早稲田」という画像は何なのでしょう。何のためにあるのでしょう。なぜ筆で「早稲田」を書いてウィキメディアコモンズに載せようと思ったのでしょう。なぜ……
一体なぜ……
東西線の駅名の筆書きばかりをアップロードする人がいるのでしょう?