なぜ無形資産の重要性に気づかないのか?
先日、顧問先の経営者との打ち合わせの中で、多くの中小企業がホームページやSNSへの投資に消極的である理由について話し合った。目に見える設備や機械といった固定資産には多額の投資を行う一方で、デジタルツールや無形資産への投資は後回しにされることが多い。これは非常に残念な現状であり、今後の企業成長にとって大きな機会損失となり得る。
例えば、打ち合わせを行った製造業の顧問先は、ホームページを海外対応にまで整備し、SNSの情報発信については外部のコンサルタントを活用している。このように、デジタル領域にも積極的に取り組むことで、引き合いは毎年増加しており、最近では海外からの問い合わせも少なくない。これは、デジタルツールがもたらすビジネスチャンスの一例である。
一方で、多くの中小企業では、ホームページすら持たない場合もあり、無料のホームページ制作ツールを使って自作する企業もある。結果として、プロに依頼して作成したホームページとの差は歴然である。また、現在ではホームページが無いというのは、ビジネスにおいて存在しないも同然であり、自社の商品やサービスに自信がないと見なされるリスクすらある。
デジタルツールへの投資に消極的な企業経営者は、効果が目に見えにくいため、そこに価値を見出せないのだろう。しかし、ビジネスは常に競争であり、実際の製品やサービスだけでなく、オンラインでの存在感や情報発信も比較されている。特に現代では、ウェブやSNSにこだわることが当たり前であり、ここに投資をしないことは競争力を失うことに等しいといえる。
実際、国内の大手企業の中には、早期からデジタル戦略に力を入れている例がいくつかある。例えば、大手家具メーカーのニトリは、オンライン上での存在感を強化するためにホームページのリニューアルを行い、SNSを活用して顧客とのコミュニケーションを図っている。これにより、店舗だけでなくオンラインでも顧客基盤を広げることに成功している。
また、アウトドア用品メーカーのスノーピークは、SNS上でユーザーの体験を共有する場を提供し、顧客との強固なコミュニティを築いている。これにより、ファン同士の口コミが自然と広がり、ブランドの認知度を高めることに成功した。
さらに、中小企業の事例としては、新潟の酒造会社「八海山」が挙げられる。八海山は、伝統的な酒造業を営む一方で、ホームページやSNSを活用して国内外に向けて情報発信を行い、商品の魅力だけでなく、職人の技や酒造りのこだわりを伝えることで、顧客の心に響くコンテンツを提供している。YouTubeでは酒造りの過程を紹介する動画も公開し、国内外の支持を得ている。
これらの企業は、目に見える製品やサービスの質にこだわるだけでなく、デジタルツールへの投資がいかにビジネスを成長させるかを理解し、実践しているのだ。特に中小企業にとって、デジタルツールを活用することは、大手との差別化を図る絶好の機会だと言える。
多くの中小企業はまだこの分野での対応が遅れているため、逆に今こそ積極的に取り組むことで、大きな成長のチャンスを掴むことができる。小(個人としても)が大を超えることが可能な時代になってきている。
特に、SNSは費用をほとんどかけずに実行できるため、これほどコストパフォーマンスの高い取り組みは他にない。「SNSは苦手だから」と言い訳する時代ではなく、今こそデジタルツールへの積極的な投資が求められている。
当社でも、現在ホームページのリニューアルを行っている際中である。今回のリニューアルでは動画などのコンテンツを活用して他社との差別化を図っていく。投資額はそれなりにかかるが、それ以上のリターンを得られると私は確信している。
デジタルツールへの投資は、将来のビジネス成功を左右する重要な要素である。今からでも遅くない、早急に取り組むべきである。