距離を置いてみるとそれなりに楽しいやつなんですが
『クレヨンしんちゃん』における野原しんのすけの功罪っていろいろあると思うのだけど、アイツとタメだった頃の私たちにとって衝撃的だったのは下腹部を晒すという行為であってだな。
足も遅い、勉強もできない、面白いことも言えない、ないない尽くしのポンコツ君としてはスクールカースト上位にとり入るには何かをして「こいつはヤベェ」と思わせなきゃならなくて。散々下腹部を晒していたわけです。
下腹部晒すとだいたいみんな笑うか怯えるかして逃げるんですよね。後年ネットで見かけたエロ漫画の一場面にあった台詞で蒙を啓かれたのだけど「強くなった気がする」んですよ。スクールカースト最弱の自分が、たとえ道化の仮初だとしても、その一瞬だけは強くなれた気がした。
その方法が間違っていると気づいたのは中学入って、自分には脱ぐ以外に何もないということを思い知ってからでしたねぇ。
”オカマ”という単語が普及していく過程にも影響があっただろうなあ。だんだん”男のお姉さん”などのロンダリングワードに変わっていった気もするが。性的指向や性別の多様性を提示するという意味においては、そういうものなのだと学ぶきっかけになっていた気もする。好意的に捉え過ぎか? 吹雪丸と妹(弟か)のお姫様のようにコメディ要因以外での事情のあるキャラクターもいたし、結構自然に受け入れていた。男らしくしなくてはならないという呪いをあまり感じずに済んだのは”オカマ”という生き方を幼い頃から知っていたからかもしれないね。
だがそれでも呪われてしまうのだから同調圧力ってのは怖い。
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