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徒然なることをつらつらと。

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    "なんか面白かった"のその先へ

最近の記事

体が疲れますね。

寒暖の差が顕著になる時期、私の体調もまた顕著に差が出る。低気圧というものが私の体に影響を与えていると気づいたのはつい最近のことだ。 このごろ自分の肉体への気づきが多くなってきた。これは決してポジティブな意味では全くなく、過去との比較から生じる違和感、「お前はもう30歳になるやぞ」と肉体そのものから諭されるような気づきだ。 筋肉痛が引かない、首周りが重い、目がしょぼしょぼする…劣化と言わざるを得ない変化はもちろんのこと、ヒゲが伸びるのが早くなった、タバコの本数が増えた、生臭いお

    • シーソーゲームに何度も潰される恋心/彼女を好きになる12の方法_入間人間

      無口なスマホが久々に口を開いたかと思うとnoteからの連絡だった。機械的な定型文でブログを更新してないことを詰められたわけだが、一人っ子の僕が培った翻訳機にかけてみるとそれはたちまち口語体に変わり 「今月は書かないんですか!?書いてよぉ」 と甘ったるい声で擦り寄りってくる何某に見えないこともなくない。 仕方ない、別に書くこともないのだけれどそんなに言うなら書いてもいい。でも君のためじゃなく自分のために書くんだからな。 そんな夢心地で今月読んだ本を振り返ってみたいと思う。 今

      • 西尾維新の物語シリーズについて

        好き嫌いが分かれる作家ですが私は西尾維新が大好きです。 未だ底知れぬ言葉遊びはもちろん、生き生きしたキャラクターや逆張り気味な哲学は間食にもってこいなので、重めのノンフィクションの残りページがわずかになってきたらそっと机の上に用意してます。 昨日、物語シリーズの最新作「戦物語」を読みました。メタ発言で作品が始まった18年前と物語が始まった6年前を何度も言及してましたが、未だ劣らぬスピード感で言葉を連射しながら駆け抜けている西尾維新さんには脱帽です。 登場人物が大人になって

        • ブックオフの流儀

          「たかが他人の妄想に金を払う気がしれない」と読書を嫌う友人が吐いた言葉を昨日のことのように思い出せるが、その他人の妄想とやらにそこそこリスペクトを示してる私も実のところ黄色い看板と青い英字でお馴染みの本屋のロゴが印刷された曇天色のビニール袋片手にぶら下げて帰路に向かっている姿を晒しているのだから、これは「他人の妄想に金を払うのを渋っている」と言われても仕方がないだろう。 黄色くない本屋で新品を購入することがあるべき出版ビジネスの形だし、それに特定の作者のファンを自称するので

        体が疲れますね。

        • シーソーゲームに何度も潰される恋心/彼女を好きになる12の方法_入間人間

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          8本

        記事

          【寺山修司記念館】にわかが触れた寺山の世界

          6月1日から新しい職場で日々を過ごすことになる。時間に急かされることなく悠々と過ごしてきた昨日にさよならを告げる瞬間が迫る。そんな思いに急かされて、結局時間に急かされてしまった私は、何かしなければ、どこかに行かなければと焦る。やはり人間が活動的になるためには締め切りが必要なようだ。 ということで青森県三沢市にある寺山修司記念館に行ってきました〜。 もちろん他にも朝市とか航空科学館とか、なんと津軽まで車を走らせて太宰治の生家である斜陽館にも行ってきたんだけども、そっちはまぁ色

          【寺山修司記念館】にわかが触れた寺山の世界

          自称読書家は金閣寺に美を見出せるか。

          出せませんでした。11年越しの金閣寺。 私が大好きな作家、平野啓一郎さんがついに書き上げた大作「三島由紀夫論」をより深く楽しむためにあらためて三島由紀夫の代表作「金閣寺」を読み直すと、8年前の私は「ぶっちゃけ何を言ってるかわからん。これが美しい日本語とか言っちゃってるやつは読書家()を気取りたいだけだろ」と読み終わると同時にBOOKOFFに投げてしまったのですが、この歳になって再びBOOKOFFで手に取ってみるとなかなかこれが面白く、やっぱり情景描写のカロリーは高すぎて胃も

          自称読書家は金閣寺に美を見出せるか。

          禁断の愛なんて便利な表現は使えない。私の男/桜庭一樹

          「これが、直木賞……」 読後感を噛み締める間もなく、口から漏れた。雨足が屋根をひどく踏み鳴らす深夜0時。音がある世界に戻ってきた私がゆっくり顔を上げた先にはストライプ模様の黒いカーテンがかかっていた。 「さてどうやって感想を書こうか」 文庫本を一枚ずつ捲り読み終わった今、変わらぬ300ページの重さが左手から右手に収まっているはずなのに、利き手の指に力を入れて落とさないように支えているような錯覚。なぜなら重量感がある物語だったから、こんなことを堂々と書こうとした自分に呆れてしま

          禁断の愛なんて便利な表現は使えない。私の男/桜庭一樹

          AIにライトノベルを書かせてみた。「超能力者たちの奇妙なクラスメイト」

          春の陽気が満ちあふれる日、主人公の結城キミは見慣れない通学路を歩いていた。 いつも通る道とは違い、周りには新たな風景が広がっていた。目新しいお店や建物に目を奪われつつ、キミは期待と不安に胸を膨らませていた。 そんな彼女の前には、普段よりも多くの人々が動き回っていた。仕事に通学に、人々は日常の喧騒に忙しなく駆け回っていた。 彼女はそんな中、自分の行くべき場所を目指して早歩きを始めた。彼女が向かう先は、入学式が開かれる学校だ。 入学式は8時30分から始まる。まだ時間には余裕がある

          AIにライトノベルを書かせてみた。「超能力者たちの奇妙なクラスメイト」

          苦しみの先にある救い。ビダミンF/重松清

          「突然だけど家族っていいよな」 「あらなに藪から棒に、中吊り広告おじさん。まるでサンドウィッチマンのネタが始まるみたい」 「中吊り設定まだ引きずるんだ……ならせめて富沢さんみたいなおじさんであってほしいな」 「それではまるで富沢さんが特殊性壁を持ち合わせてるみたいになってしまうけれど、冒頭からちちくりあってたら今日の本紹介まで辿りつかないから余計なことは言わないわ。それで、なんなのその"家族"って?」 「そこから!?」 「『!?』なんてよく恥ずかしげもなく使えるわね。ああ、な

          苦しみの先にある救い。ビダミンF/重松清

          隣の芝を睨みながら歩んでいく。スター/朝井リョウ

          「わたし、YouTuberになりたいと思うのよ」 「ふぅん」 「ありきたりな独り言すぎたのか反応が薄いわね」 「それはYouTuberになりたいじゃなくて、不労所得で生活したいってことだろ?」 「おしい。ちやほやされながらお金を使うことでお金を稼いでちやほやされたいの」 「あぁ、それはYouTuberしかないね。頑張って。応援してる。ばいばい」 「ちょっと、興味を示しなさい。そして話を掘り下げなさい。本題の本紹介ができないじゃない」 「本だけにね」 「本だけに」 「申し訳ない

          隣の芝を睨みながら歩んでいく。スター/朝井リョウ

          外見は口ほどに物を言う。カケラ/湊かなえ

          手元に流れるエンターテイメントには必ずと言っていいほどイケメンや可愛い女の子が登場する。 顔が整っているとだけ分かる初対面の人が小さい画面の中で恋愛を論じてたり、馴染みのないおもちゃで遊んでいたり、高そうなジャケットの襟を正しながら世の中を煽ってたりしている。 白く発光している眩しい笑顔はファンに向けられたものであり、たまたま出会ってしまった私にとっては、人生が楽しそうな人が楽しそうに人生を送っている顔の他ならず、「くそうイケメンめ…」と劣等感に駆られながら親指が自然と動き

          外見は口ほどに物を言う。カケラ/湊かなえ

          古本生活①

          Kindleが手放せなくなった生活からこぼれ落ちた文庫本。紙ではけして追いつけない便利さを吊り下げてゆっくりと日常に入り込んできた電子書籍が生活の一部になるのにそう時間はいらなかった。空っぽになった黒い本棚。それは高校生のときに購入したものだった。全体的に埃で上塗りがされ、壁側に長らく置かれていたせいもあって背面板は湿気で歪んでいる。指先で天板の埃を拭うと底が見えない水溜まりのよう黒が際立った。そこに蓋をするように私は粗大ゴミシールを貼った。 とかなんとか言ってもコストパフ

          古本生活①

          孤独な超能力者。宮部みゆき/クロスファイア

          いくら見つめても右手から炎が上がることはなかった。平熱を超えることもなく、指先の向こう側が揺らめくこともない。私は今日も変わらないどこにでもいる一般人のようだ。 超能力が扱われる作品を読み終わったあとは必ずと言っていいほど「ふっん!」の掛け声に合わせて右手に力を入れてみる。一般人を自称するくせに一般的な26歳の言動とは思えない。 超能力が物語のツールとして作用する時、超能力者は圧倒的な存在としてが登場することが多い。 ただ"圧倒的"に限って言えばこの世界にも存在する。底な

          孤独な超能力者。宮部みゆき/クロスファイア

          【読後感想】精神は肉体を超越できない。奈落/古市憲寿

          2年ぶりに読み返した『奈落』。古市憲寿さんの代表作、絶望の国の幸福な若者たちをきっかけにどっぷりとハマり新刊が出るたびサイン本を求めて本屋に駆け込んでいた。 読み終わればブックオフに駆け込み、そのまま100円コーナーを漁る生活をしていた私も今ではもっぱら電子書籍になってしまったが、記憶に強く残る作品はモノとして手元に取っておきたくなる。この奈落もその一つだ。 意識がある植物人間。その印象が強く残っていた。才能ある表現者は逆説的に表現できるから才能人とされる。動かない体を前

          【読後感想】精神は肉体を超越できない。奈落/古市憲寿

          【映画感想】私は確かにその瞬間、教室にいた。"14歳の栞"

          巷で話題の映画、14歳の栞を見てきた。巷で話題程度の評判だとそもそも上映している映画館が少ないし、そういう映画館ってだいたいボロいし、遠いし、大人料金¥1900するし、巷と意見が合わずにクッソつまらなかったりするし…で基本は配信を待つのだが、どうも配信もDVD化の予定もないとのことで久しぶりに池袋シネマロサまで足を運んだ。 感想 この感想はたいへん言葉にし難い。 まず感動作品ではない。懐かしさに涙しました…という感想が多いが、それはスクリーンを挟んで自分の記憶を見ていたわ

          【映画感想】私は確かにその瞬間、教室にいた。"14歳の栞"

          【映画感想】映画は空間作品である/BLUE GIANT

          今日は月の始まり1日である。それは映画ファンにとっては心踊る日に間違いない。毎月1日は映画の日。全国の映画館は押し並べて一般料金¥1200となる。今ではメンバーサービスデーなど様々な割引を展開しているので、なにも1日にこだわる必要はないのだが、私にとって1日と言えば映画の日。それは幼少期から母親がこの特別な日がくるたびに「映画見に行く?」と誘ってくれたからかもしれない。 今日は巷で話題のBLUEGIANTを見てきた。原作は全くの未読だが、口コミの評価の高さはけして原作ファン

          【映画感想】映画は空間作品である/BLUE GIANT