トンネルを抜けると、そこは温泉天国 -しがないWEBライターの雪山滞在記 5日目 12月6日(金)
実務と呼ばれるものが大の苦手である。
書類整理や、営業、挨拶など社会人に必要とされるスキルのほとんどが、とかく面倒でしかたがない。この歳になると、最低限のことはできるけれど、とにかく遅いし、ストレスがめちゃくちゃたまる。小さいころから「グズ」と呼ばれていた通り、致命的に要領が悪い人間なのだ。
そんな人間がお店の運営を手伝おうなんて、よく考えたものだ。逆にいうなら、任せた方もすごい。採用の前にちゃんと苦手なんですって、あらかじめ言ってるからね!
そして、ついに5日目である。そろそろストレスで体が……
となると思いきや、全くそんなことはない。むしろ東京にいるときよりも元気なのである。声も出ているし、肌もつやつやとし始めた。
なんだ、意外と実務できるじゃん。というわけではなく、実はあるひとつの要因がある。それがこの男の存在だ。
運営チームの一員、ウミノくんである。この堂々とした背中からこの男の偉大さがわかるのではないだろうか。こんな一部しか写ってない写真ではわからない? そうだよね。
実はこの男、スーパー実務できるマンなのである。営業や交渉などの対人コミュニケーション力はもちろん、データ整理ならエクセル関数まで。おまけに料理もプロ級。もちろん魚も捌ける。なんなの、天才なの?
というわけでまずは海野くんの料理を少し見てほしい。写真がよくないのと、語彙が少ないのはご愛嬌ということで。
スパイスを配合したチキン玄米カレー。撮影はウミノくん本人
スケトウダラときのこの鍋。タラは一尾購入してウミノくんが自分でさばいている。きのこは佐渡産のもの。死ぬほどうまくて叫んでしまった。
レバーパテと何か。よくわからないけど、オシャレでめちゃうまい
これ毎日食べれるの、最高じゃないですか? ほぼ毎食ですよ? 東京より贅沢してるんですけど。ほら、あなたもこの料理を見たら、さっきの背中から後光が指しているように見えないですか? ちなみに3日目に登場したのが彼です。話も面白いので、ネタに尽きないんですよ。
実はもうひとり、スーパー仕事できるマンがいるのですが、それはまた後日ということで。僕も一応頑張ってるよ!
ということで、そんなウミノくんとともに越後湯沢駅の方まで生鮮食品の買い出し。すっかり忘れていたが、苗場の外に出るのは5日ぶりである。これまでの5日間は、住み込み先とお店の往復だけ。正直なところ、全く気づかなかったし、ストレスもほぼない。もともと引きこもり体質気味なのだが、もしかしたらこの生活が性に合っているのかもしれない。
国道沿いのスーパー兼ホームセンターで買い出し後に、越後湯沢の温泉に。「湯沢」と名のつく地名だけあって、結構な数の温泉があるのである。お風呂大好きな僕にとっては天国みたいな場所だ。
実のところ、苗場にも「雪ささの湯」というめちゃくちゃいい温泉があるのだけれど、せっかくだからこの辺りも回りたい。
ということで、今回は「駒子の湯」に入ることにした。
ちなみにこの「駒子」という名前はどうやら川端康成の『雪国』の主要な登場人物なのだそうだ。
『雪国』といえば、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という冒頭の文章が有名である。僕も行きの新幹線の中で、思わずこのフレーズが頭に浮かんだものだ。湯沢や苗場はこの小説の舞台というのだから、あながち間違いではなかった、と謎の安堵感を持つ。せっかくだから、少し読んでみようかしら。
しかし、この苗場や湯沢という土地には、想像以上にいろんな歴史があるようだ。スキーやフジロックの印象しかなかったけれど、西武グループやら川端康成やら結構、業が深い。こんな人里離れた雪山なのに、何か人を惹きつけるものがあるのだろうか。「苗場」という地名もやたら意味深。実に気になるところである。掘りはじめたらキリがなさそうだけれど、少しでも知っておきたいところである。がんばるぞー。
というあたりで今日はここまで。
それでは、またあした。
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