弾丸!源氏たびレポ
先日、日帰りで藤沢市と鎌倉市に行って参りましたのでそのレポです。写真&リンク多め。
目的はコレ!
藤沢市にある藤澤浮世絵館の企画展で私の大好きな漫画・『ますらお』の原画が展示されるということで、告知を聞いてすぐに行きたい!という計画を立てました。
この漫画は源義経を主人公としたもので、少年サンデーに1994年~1996年まで連載されていたものです。史実もフィクションも織り交じったストーリーですが、絵の迫力と美しさ、登場人物の絶妙な人間関係、そして心情表現がとても素晴らしく、北崎先生(普段はラブコメを描かれています)だからこそ引き出せる魅力にあふれた作品だと思います。私が鎌倉時代に興味を持ったきっかけになったと言っても過言ではありません。
2014年に掲載誌を変えて連載再開したときは本当に飛び上がって喜びました…。昨年に屋島編が完結しましたが、今後もまだ続く様子なのでとても楽しみです。
さて、ますらおへの萌え語りをしているとキリがないのでこの辺で旅に話を戻しまして。
会期は約2か月と結構余裕があるのですが、休日かつできることなら世間が夏休みで混雑する前に…と絞っていくと日帰りで行くしかありませんでした。とはいえせっかくなので藤沢から足を伸ばして鎌倉まで行くことに。
昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は私にしては珍しく完走した大河でしたが、そのゆかりの史跡なども訪ねてみたかったのでちょうど良い折でした。
藤澤浮世絵館(辻堂)
三河安城駅から新幹線「こだま」に乗車。すごいマイナーと言われている新幹線駅ですね…。「ひかり」なら小田原に停まるものもあるので名古屋駅まで行っても良かったのですが、地元からだと逆戻りすることになるのとそこまでの時間と交通費を考慮して却下。三河安城駅周辺ならコインパーキング24H700円くらいで停められます。
1時間50分ほどで小田原に到着・下車、その後在来線で辻堂まで向かいました。東京以外の関東方面はめったに行かないので不思議な感覚…!途中すごい緑の中を走り抜けてくので間違った電車乗ったかと思ったけどちゃんと着いた。
改札を出ると心なしか街ゆく人々がこんがりとしていたり大胆な装いをしている気がして、ああここは湘南なんだ…!という感じがした(?)。展示会場近くの書店では協賛フェアをやっており、対象書籍を購入すると描き下ろしクリアファイル引換券がもらえるというのでちゃっかり購入。
う、ううううううありがとうございます、ありがとうございます。ますらおのグッズなんて私が知る限り無かったので…水を得た魚どころかもはや溺れてひっくり返った魚です。
駅から歩いて数分のところにある複合ビルのワンフロアが藤澤浮世絵館となっており、そこまで広くはありませんがその分気軽に立ち寄れる雰囲気です。しかもなんと入場無料。いいのか…!?全然払いますけど。受付で特典のクリアファイルを受け取りうっとりしていると受付の方が「展示は撮影できませんが手前にある先生のポスターイラストはできますので、ごゆっくりご覧になってくださいね」と親切に案内してくれた。
私が訪れたときは平日ということもあってかお客さんは少なく、ほとんど誰もいない状態でじっくり堪能することができました。企画展ではますらおの描き下ろしイラストや、サンデー連載時のアナログ原画まで貴重な展示が。お、思わず涙腺が緩みそうになる…。
源氏にまつわる浮世絵と『ますらお』作中の絵を対比させるという試みがなされていて面白かったです。浮世絵というと教科書に載るような有名どころしか知らないワタクシ、源義経をはじめとした一行がこんなにいろいろと描かれているとは驚き。それも鵯越の逆落としのような名場面の軍勢を描いたものや、彼らを演じた歌舞伎役者のポートレートとしての浮世絵など、その質も様々です。それだけ美術・エンタメの題材として江戸時代でも人気だったということが分かり、現代人と変わらぬ気質に親しみが湧きました。
また、無残絵で有名な月岡芳年も源平をテーマにたくさん作品を残しているようなのですが、恥ずかしながら浮世絵師ということを初めて知りました。てっきりイラストレーターさんかと…(明治時代のそういう職業なんていうの?)。江戸時代の画風を踏襲しつつ現代にも通じるアングラ感のある作風が好きです。
地元ゆかりの源義経と併せて江の島と浮世絵の関係についての展示もありました。浮世絵で風景画というとやはり有名な富嶽三十六景をつい思い浮かべてしまいますが江の島もたくさん描かれているんですね~。島の伝説が絵に落とし込まれている点が他の浮世絵と比べて少し異質な雰囲気を感じて新鮮でした。
そしてもう一つここで知ったのが「組上げ」というもの。展示で見たものはまるで漫画のコマ割りのようで思わず「もしや漫画の元祖?」と思いましたがどうやらこれは切り抜いて立体に組み立てるクラフトのようなものだとか。図案がギュッと凝縮されていてなんかカワイイ。
展示内容に関して参考になりそうなリンクを貼っておきますのでよろしければ見てみてください。
相州藤沢白旗神社(藤沢本町)
スケジュール的に藤沢・鎌倉のスポットをたくさん巡ることはできなかったのでいくつか厳選して行きました。その一つがこの白旗神社です。
白旗神社というのはいくつかあるようですが、ほとんどは神奈川県にあります(「白幡」神社はさらに東北地方~中部地方にかけて多くあり、こちらは源氏の氏神である八幡神を祀っているそう。にわか知識なので間違っていたらすみません)。というのも白旗神社は源頼朝をはじめとした源氏の諸将を祭神としているため。「白旗」という名称も源氏の旗の色に由来します。
その中でも代表的な相州藤沢白旗神社。辻堂からはJR東海道本線で藤沢乗換え、小田急江ノ島線 藤沢本町下車後 徒歩数分で交差点のすぐ横に石造りの鳥居が見えてきました。
この神社の御祭神は寒川比古命(さむかわひこのみこと)と源義経とされています。もともとは寒川比古命を祀って寒川神社と呼ばれていたそうですが、伝説によると衣川の戦いで自害した義経の首が鎌倉での首実検ののち、金色の亀の背に乗ってこの地に辿り着いたとか。そのことを知った頼朝はこの神社に義経を祀るように命じ、白旗神社となったという謂れがあります。「金色の」亀、奥州平泉と何か関連があるのだろうか…?
また、同じく衣川で討たれた弁慶の首も同時に送られ、白旗神社から少し歩いたところにある常光寺の八王子社に祀られています。神社は通常南向きか東向きに建てられるそうなんですが、この八王子社は白旗神社の方角・北を向いているとのこと。いかにも忠臣の弁慶という感じがすします。
この後訪れる鶴岡八幡宮にも白旗神社がありますがそちらには頼朝・実朝父子が祀られています。
鶴岡八幡宮・鎌倉駅周辺
さて再び乗換のため藤沢に戻りJR東海道本線→大船にて横須賀線に乗り換え鎌倉まで。鶴岡八幡宮は去年の大河でもキーとなったスポットです。
鎌倉駅からすぐの観光向け商店街・小町通りを通っていきました。お土産屋さんやSNS映えしそうな食べ歩きの店がいっぱいで若者が多い。おいしそうだな~とは思うが一人で汗かきながら歩くワイには眩しすぎる。とはいえ昼下がり、朝に軽く食べたきりでこのまま歩き続けるのはシンドイ…。そこで美味しそうな甘味処を見つけて入ってみました。少人数席が多くそんなに混んでなくておひとり様にやさしい。白玉クリームみつ豆、冷たくて美味しかった…!
小町通りを抜けた先を東に曲がるとすぐ鶴岡八幡宮です。思ったより近かった。
鶴岡八幡宮の由緒は、源頼義が前九年の役で奥州を平定した際に京都の石清水八幡宮からの御分霊を鎌倉由比ヶ浜に祀ったのがはじまりと言われています。その百年以上後に子孫の頼朝が現在の場所へ遷し、国造りの中枢となりました。先ほどちらっと述べた源氏と八幡神の関わりの深さが窺えます。
今さらですが、八幡神とは応神天皇を主体として比売神(ひめがみ)、神宮皇后を合わせた三神のこと。比売神はさらに三柱の女神を合わせた呼び名だそうで…ひぃ〜どんどん増えてく。
本宮の手前にある舞殿は静御前が頼朝の前で義経を思慕して舞ったとされる舞台で、今でも毎年祭事で「静の舞」が披露されています。
歴史と創作物は切り離して考えるべきかな、とは思うのですが『ますらお』でもそのシーンがあるので感動せずにはいられませんでした。時代作品からハマって実際にある史跡を軽率に聖地呼ばわりするのもなんだかな、と思いつつどうしても…オタク脳でごめんなさい…。
本宮(上宮)の現在の建物は文政11(1828)年に徳川家斉の命で建てられたもので、流権現造りという建築がなされています。鮮やかな朱色が美しい。扁額の「八」の字が鳩になっているのだけど、当時もロゴデザイナー的な人がいたのかな。想像するとちょっと面白い。
宝物殿や2019年に開館した鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムでは複製含め貴重な品々を見ることができた。頼朝の持ってたちっちゃい仏像とか、政子のお化粧セット(そんな名前ではない)とか。
ミュージアムのテラスからは平家池が臨めます。
鳥居を出て正面の道を進むと鳩サブレ―でおなじみの豊島屋さんが。今まで鳩サブレ―が鎌倉のお店であることを知らなかったんだけど、なるほど八幡宮の鳩にちなんでいるのね!グッズ展開に躊躇ない感じ、嫌いじゃない。まんまといっぱい買ってしまったよ。
また、少し歩きますが「コトリ」という文房具屋さんが気になっていたので行ってみました。ユニークな文具がいっぱいで笑ってしまう(笑)。日常で改まって手紙など書く機会は少ないかもしれませんがちょっとふざけてひとこと贈ってみてもいいかもしれません。
ここでは「誰かとつながるポスト」という、ちょっとしたプレゼントを添えた手紙を持参すると誰かが同じように置いていった手紙を受け取れるサービスを行っています。私も新幹線のなかで手紙を書いてみました。どんな人が受け取るのかワクワクします。
※サービスの運用状況が変わる可能性があるので利用の際はHPやSNSなどでご確認を!
高徳院すらも行っておらずまだまだ魅力を語れるほど巡れませんでしたが、源平や鎌倉時代に思いを馳せる旅となって満足です。次は北鎌倉でお寺巡りや江の島で海を味わってみたいと思います。
お読みいただきありがとうございました!