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【感想】映画「火の鳥 エデンの花」

 去年の発表から楽しみにしていた「火の鳥 エデンの花」(原作:手塚治虫『火の鳥 望郷編』)を観てきた。楽しみにしていたと言ったが、半分は怖いもの見たさでもある。好きな原作がメディア化されるときってたいていそう(と言っても望郷編オリジナル版は未読なのですが…)。

 今回のこの映画、ディズニープラス独占配信の「エデンの宙」と二通りありそれぞれラストの展開が異なっている。ひとまずそちらは未視聴の状態で劇場に足を運んだ。ここからはネタバレしまくりなのでご注意ください。そして記憶違いしてる部分があったらごめんなさい。
 
独り言としてすごいフランクに思うがまま書いてますので、不愉快に思われましたらすみません。ブラウザバックで逃げてくだされ。




 

 カインが生まれるまでの過程は原作とだいたい同じような感じ。しかしその先は原作通りに行くと近親相〇になってしまうからだろうけど、回避のためか脚色されていた。まあそれは想定内で、むしろどうやって回避するんや…!?って気になってた。

 カインが物心つくかどうか~くらいのところ(5歳くらい?)まではロミとシバと共に暮らす。自分たち以外誰もいない星の未来を懸念したロミが決断に至るまで、その苦悩みたいなのが描写されてたのは個人的にポイント高。それで、病気を治すためだとカインに言い聞かせて(本当はロミが成長したカインと近親婚をするために)コールドスリープに入るわけだが…期間を13年に設定したつもりが1300年にしてしまったというベタなミス。うっかり0を足して入力してしまったってこと?レジの操作じゃねんだからよ……!!!


 13年経てばロミに会えると信じてたカインはロミが出てこずブチギレ、今までずっと一緒に暮らしてたシバをバチボコにしばいて再起不能にさせてしまう。…ダジャレを言ってる場合ではない。
 ただここでちょ~っと違和感を感じた。作中でシバに「ロミってどんな人?小さいとき以来会ってないからあんまり覚えてないんだよね」的なことを言ってたんだけど、「あんまり覚えてない人」のために十数年間苦楽を共にしてきたお世話ロボットを壊すだろうか…?自分のほかに人間がいないカインにとっては、ロミにとっての自分がそうであるのと同様にロミが一種の希望だったのだろうと言われたらそれもそうか、という感じであるが。彼の生育環境が特殊ゆえあんまり口出しできないな…。ていうかロミが自分の代わりにカインを育ててくれたシバをぶっ壊す原作のがひどいかもな。

 結局どうやって子孫を殖やすのかというとエデンに降り立ったムーピーと結ばれて、である。つまり原作におけるセブの立ち位置がカインになるわけですな。結局ロミの息子がロミの姿のムーピーと一緒になってエデンを繁栄させる点は同じということになる。てなわけでこれがカイロミ回避ルート。ロミの子たちが育っていくシーンが無いのはちょっと寂しいけど仕方ない…。しかしほとんど他の生物に会ったことがないのにムーピーに対するカインの順応早いな。どうでもいいけどカインがバイクで爆走するのいきなりすぎて笑っちゃった。


 ロミがコールドスリープから目覚めるといきなり1300年後。そしてなんやかんや女王となって40年経ちコムが出てきて…っていう流れ。女王のドレス、すごい古典的なんだが流行は繰り返されるってこういうこと…?他の民はすごいシンプル化されてるのに、また権力が大きいほど布が多い時代になったのだろうか。それともディズニー意識してるのか?(にしては中途半端なような…)

 それはさておき、コムめっちゃ可愛い!!動きも声も可愛い。まさか西暦4000年近い時代の「遅刻遅刻ゥ~~~!!!」が聞けるとはな…。わたわたした動きと舌っ足らずなのに聞きやすい感じの声(伝われ)似合ってる。

 ロミの声はキャストの発表があったときは意外だったんだけど、他の人よりも長い時間を若さと共に生きていくことになる女性の声として、宮沢さんの大人っぽい深みと若々しさを兼ね備えた声はマッチするなぁと思った。物語が進むほど嵌っていく感じがある。


 そしてロミとコムが宇宙に繰り出すといったらあの男。ハイハイキタ〜〜〜待ってました牧村〜〜〜。ワープした先に障害物があるとか分かる技術ないものなのか…??宇宙空間でもがもが藻掻いて漫画よりもだいぶおっちょこちょいな登場でしたね。可愛いからいいけど。

 船内ならびに降り立った星での振る舞いはわりと牧村イズム保持しててよかった。なんだろう、基本「あくまで俺は俺、あんたはあんた」って感じだけどいろいろ世話焼いちゃうところもあるみたいな。酔ってロミが初恋のお姉さんに見えて襲いかけるシーンはこれ初見の人「誰?」ってなりそうだけどどうなんだろう。まあこのシーンは酒のせいという免罪符による牧村のゲスさ回避と欲求不満の説明の手段ってことやろか。

 声の浅沼さんは私の中でヨコハマの893とゲームヲタリーマンのイメージがあり、極端な役柄をこなせる印象だったので牧村というサイコないい人(?)を演じるにはよかったんじゃないかと思う。
 原作での異星上陸シーンは昔読んでいろいろな概念をぶっ壊された印象的なところなので、そこでの奮闘ぶりが見られたのは嬉しい…降りたの一か所だけだったけどてんこ盛りだった。やっぱ怖い。

 こっからは地球パート。ロミの生い立ちの設定がなかなか新鮮だった。地球を脱出する・戻ってきたときに追われる理由にはなったと思うけど、1300年以上経ってもその辺変わらなかったんだ…う〜ん世知辛い。チヒロちゃんはその、「保管」されたってことなんだよね?人間の記憶がロボットと一体化してずっと生産され続けるっていう復活編の要素もここで織り交ぜて来るか〜。

 チヒロちゃんの眼と声が澄んでて好き。「私、心要らないのです」とは言うけどコムたちに全力で「逃げて!!!」って叫ぶのがいかにも人間で、人間らしさを突き詰めたロボットゆえなのか、ロボットの中に心が垣間見えた瞬間ということなのか…。どっちにしてもウウッてなる。
 これまたどうでもいいけど逃亡のため建物から飛び降りたあと冷静に靴を履き直すコムがシュールで好きですね。


 地球に戻った牧村はというと、突然の軍服にお色直し。へェ〜…好き。
 フォロイーさんに言われるまで全然意識してなかったんだけど尋問でメイスンさんが牧村に熱い視線を送っている。ホンマや…。これを踏まえて以降の会話とか聞くと腐の血が…騒ぎます。のちにラストの異なる「エデンの宙」も観る機会を得るのだけど、よりそっちで伏線としての効果を発揮していて喜んじゃいましたね(あくまで腐目線)。

 ロミとコムが最後地球を発つのはわりと納得がいったし、エデンに帰ってみると荒廃していたというのも手塚作品的な残酷さがあって私は好きなのだけど、最後出てきたジョージは一体…?あれはロミのイメージってことでいいんだろうか。「佐為はオレの中に居たんだ」的な?(急に他の作品を出すな)とりあえず雰囲気で見届けた。


 牧村…あのラストということはこの映画はあくまで独立した物語で、宇宙編牧村は存在しない前提ってこと…?まあその方が平和だけども。さっきもちらっと触れたけど後日「エデンの宙」と見比べさせてもらって、ううーむ私は花のが好きですかね。でも宙の持つ「可能性」みたいなものも捨てがたい。

 あんまり同じ映画を何度も観に行くことないんですが、いろんな方の感想を聞いてその上でもう一回観てみたい作品だと思いました。そういえばこの映画では火の鳥はシンボル的な存在で、直接干渉する感じではなかったかも。目をつけられなくってヨカッタね。

 というわけでめちゃめちゃダラダラ語った感想でした。いろいろ言ったけど私はけっこう楽しめましたよ〜。ロミ可愛いしコム可愛いし牧村可愛いからね。
 最後に、配信視聴やビジュアルブック閲覧に協力くださった方々に感謝です…!ありがとうございました。

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