「ペンを借りますね」
あんさ、インド行ってみたくね?
にきびづら田村くんの口調は
発酵しそこねたパン生地くらいかるかった
表面のぷつぷつをていねいにはんごろしにしてやりたい
てばなした放課後がやけにほどとおい
記号をいくら揮毫したとて
スリジャヤワルダナプラコッテなことで
うろんな正論がじゃわじゃわするこの空間は
一方通行的教条にとざされてゆく
韻と韻のはざま、ピンポイント
きみがかたりたい未来はまだここにはないみたい
各自つれづれなるままに擱筆セヨ
アイゴー、アイゴーとなく
あのころわたしたちにつけられた名前は
とんでもなくぶかっこうだったけれど
それはそれでどこかしっくり濡れていった
スコールのあとの微笑みは相身互い
ねえ きみは雨をみたかい?
ゆびとゆびを交差させて斜め角度からびっくりマークをつくる
田村くんはもうわたしの外へまろび出てしまったけれど
きっとそこにも噛み応えのよい地図がある