「アンチ・ヒーロー」
めでたしめでたし かたちだけ
王子様はひとりじゃなくていい
ひととおり整ったものがたりのなか
まだちいさなわたしが大人たちへ紛れ込んだ
わだちはすぐうわがきされ、
光も塵もじょうずにこうかんできない
スナックの隣席にてあぶらでぬれた
くちびるが世界をふちどる
あれはさみしい午後の観覧車
らんはんしゃしてステップ
オア、ターン
ここがポイント・オブ・ノーリターン
皿の上を片付け、ゆだった窓ガラス越し
みおろすくもりがちな夜景に
まだ安心しようとしている
とぎれゆくディテール
むくつけきむくんだ果実をむいた
したたらずにしたたりおちるすいぶんの分水嶺
ずいぶんと遠くまでやってきましたね
あの夕暮れに似て充血する
うっとうしくも退屈
それでいてなつかしい子守歌のように
きれいな日
*
※「アンチ・ヒロイン」への返歌です。