「しわすれる」

もろびとこぞりて
しゅわきパセリ、だと
がんぜなく信じていた冬がわたしにもあり
ぎりぎりロッテンマイヤーさんの長い後ろ影が
街路にゆるやかな色をつけほとびてゆく

よりどりみどり、おれんちまで徒歩5分
宇佐木くんは右に左折してよく骨を折った
あの形而上の交差点で
しばらくむかし話をする
いつかの幼馴染の横顔がきのうに染まり
ねむりにおちるまで須臾のハッピー・ビバーク
こごえるほどの未来は
はいて捨てるほど五線譜をみだす

きねんびもきねんひもぼうばくと夢のなか
え?ああごめん、キーずれてた
軌道をそれつづけてまたここへもどってくる
喩え方のしっくりこない明日のために
すこしぬるめたミルクを点てる
耳のおくで、すこしばかり、ひっかかった
きょうの記憶をそっとなだめてねむる



  

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