「ポエトリー・ナイトフライト」第4期決勝感想

◆popi/jective
テーマ:
まるでハンバートハンバートみたく、
淡いひかりのあわいで交合する声とことば。
難しいことはなにひとつないのに、
まっすぐな道がさみしくないとおもわせる詩。
自由:
かけあいのタイミング、間が巧いのもあるけど、
お互い比較的平坦な詠み方が生きてるのがすごい。
ユニットとしての必然性がめっちゃある。
正直、ケレンもなければ、飛び道具もない、
かといってオーソドックスな朗読としての基礎体力が
ものすごくある2人とはおもわないんですが(失礼!)、
化学反応という魔物を仲魔にしちゃったかんじですき。


◆ヤマモトケンジ
テーマ:
わかりやすく「た抜き」できたかあ、とおもったけど、
これはじわじわと映像が立ってくる。
「ブレアウィッチ・プロジェクト」みたいな、
あるいはモキュメンタリーのような化かされ方をした。佳品。
自由:
めちゃくちゃ攻めにきたなというかんじ。
108はいろいろ背後にあるもんなあ。「煩悩」とか。
ただ、よくできた大喜利(大喜利をdisってるわけじゃなくって、
これがお題で1分間出たらすごい、って意味です)。
いまひとつふたつ、ノリ一発になってるように。
あとこんだけ声重ねなかったほうがよかったとおもう。
どっかで浮かすとか抜くとか脈絡がないと
平坦な「寿限無寿限無~」になりかねない。
ただ、これをやる意義がある、という。


◆クノタカヒロ
テーマ:
これまたたぬき一直線、とおもいきや、
伏線というか掛けが濃い(勝手読みだけど)。
ただ、そこが親切すぎて、もうちょっととっ散らかセ゚たほうが
逆に映えるんじゃないかなとも感じた。
ポイント・オブ・ノー・リターンなかんじがもったいない。
自由:
もはやイタリアの種馬ネタが定番なのか。
クノタカヒロを知ってるひとからするとこれはプレゼントだけど、
初見にはどうなんだろうな、とおもう。
そもそも「ロッキー」知らない世代はいっぱいいるし、
なぜこれを自由詩部門に持ってきたんだろう。
あと、詩そのもの(元ネタを知らないひとにも届ける、という)
に熱をあまり感じられなかった。エイドリアーン!


◆川島むー
テーマ:
季節(年末)とかけたのがめちゃくちゃ巧いし、
そこから「たぬき」にまつわるありとあらゆる要素を
これでもかっ!ってほどに重ねていくのはむーさんの真骨頂。
ある意味、世界から半歩(ここが重要)引いたとこからの観察眼とその顕現はさすが。
自由:
むーさんらしさが全面に出ていて、
押し引きの技術は詩の朗読とエチュードの混合だけど、
個人的にはこの作品はちょっと耳にひっかかりづらかった。
きれいすぎるというか、ギミックまでも水に流されていくようで。


◆木戸-Z
テーマ:
「故郷」を「くに」と読んだり、細かいところに神が宿る、
を実感した。これは深読みすぎだろうけど、
「根菜」を「本妻(ほんさい)」と聞かせるみたいなのも
あるのかなあとおもった。
起承転結のオーセンティックさがいい。
ただ、それ以上でもそれ以下でもない。
自由:
詩の朗読のお手本というわけではないけど、
ひとつの言語表現のありかただなとおもう。
設定からの開き方が上手。
ただ、もう一声!と個人的好みとしては。
技術のステータス振り方がいまいちすんと落ちない。
風景は見えるけど、その風景のなかにいる木戸-Zが見えない。


◆的野町子
テーマ:
宮沢賢治が現代に転生したみたいな詩だった。
詩行のなかでの流れが情景を次々とあらわしていって、
「ちょっとよくわかんないとこあるけどすごいいいな」とおもいました。
空気や温度でいい詩ができるというひとつの例になるかと。
自由:
これはおもしろい取り組み(途中のテキスト撤廃)。
非常に意識的につくられた作品だけど、
ただ、着地が弱い(とおもうの)が残念。
もう20秒ぶん中間を伸ばすか、着地をおもいきって
きついかんじに変えるかでめちゃくちゃ勁い詩になるとおもう。


◆あさとよしや
テーマ:
まっすぐ「たぬき」に不可思議/wonderboyやムツゴロウさんや
いろいろぶち込んできたのは正直ずるい(高畑=ぽんぽことか)。
ただ、あんまりにもぺリキュールに頼りすぎてるかなあ。
しかも向井秀徳まで混在して、ちょっとばらけちゃったね。
2分間でリスペクトやオマージュというより、
ただの「ネタ」として彼ら(とくにわんちゃん)を使うという精神(じゃない気持ちかもだけど、
こちらはそう受け取った)はぼくは受け入れがたい。
料理しきれてるならともかく。
人のふんどしで相撲をとるなら、自分をちゃんと出そう。
出せるだけの自分を見出そう。
自由:
「Kocorono中」「Kanashibari」など、
なにを狙っているのかが(リリックビデオなので)、
テキスト表記ふくめ効果をあげていない気がします。
雰囲気を造成するなら、もういくらかシビアにやらないと
ただの「雰囲気」で終わってしまうんじゃないかな。
とはいえ、やりたいことをやったんだろうな感は伝わりました。
だけど「(ある程度)かっこいいけど意味がわからない」。


ぼく個人ではpopi/jectiveとヤマモトケンジが同率1位だったんですが、びっくりするくらい違ったので、もうやめよう、とおもいました。

いままでありがとうございました!!


  


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