ナスタチウムのタネを食べる
野菜を育てるようになって受けた最初の衝撃は
「あぁ、わたしが知っている野菜というのは、
野菜の一生のうちの、ほんの一部分でしかなかったんだな」
ということ。
にんじんといったら、あのオレンジ色の部分だけしか知らなかった。
にんじんも当然、光合成をするための葉っぱがあって、
その葉っぱは、オレンジ色の部分なんかよりも何倍も大きい。
しかも!
姿形がかわいらしくておいしい! 香りだってすばらしい!
タネから芽が出てきたときも、細い糸のような双葉を空に向けて、
まるで「生まれてきたよ!わーい!」ってバンザイしているかのよう。
最初のうちは、隣同士、ぎゅうぎゅうにくっついて育ちたがるのに、
ある時を境に、広いスペースを欲しがるようになる。
そして、あの、馴染み深い姿のにんじんへと成長していく。
人間が一番おいしいと感じるそのタイミングで土から引き抜かれてしまうけれど、本当はその先に、もっとすごい、ダイナミックな成長のドラマがあるんだよね。
人間の背丈くらいまで首をぐーんと伸ばして、先端に可憐な白い小花をたくさんたくさん付ける。
やがて枯れて、無数のタネになる。
ここまでが、にんじんの一生。
だから、タネをとるところまでのお世話をさせてもらっている以上、全部見届けて、できることなら、余すところなく使わせてもらいたいなとも思う。
今朝、ハーブ畑を見回っていたら、ナスタチウムがたくさん、青くて若いタネをつけていた。
いつもなら、青いうちにタネを集めて乾燥させて、来年用のタネとして保存してしまうのだけれど、今回はふと、「活用させてもらいたいな」と思ったんだよね。
集めたら、片手の平くらいの量があったから、塩漬けにしてみた。
ケッパーの代わりに使えると聞いていたので、ものは試し。
とはいえ、普段ほとんどケッパーを使ったことがないので、正解がわからないところもあるけれど、逆に先入観もなく受け入れられるような気もするな。
明日以降見つけたタネは、来年の種まき用にちゃんと保管しよう。