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【実録】堕ちた港区女子A子

 東京都港区。
その華やかな街で「港区女子」と呼ばれるA子は、誰もが羨む存在だった。
ハーフの血を引く彼女は、抜群のスタイルと美貌を兼ね備え、常に周囲の視線を集めていた。

社長や起業家、さらには外国の貴族まで、彼女に引かれる男性たちの層は幅広く、A子の生活はまさに輝かしいものだった。
日々繰り返される煌びやかな生活。レストランでのディナーや高級ホテルでのパーティー、豪華な旅行など、まるで夢のような日々を過ごしていた。
そんな中で、A子にプロポーズしてくる男性も少なくなかった。しかし、A子の心には常に「もっと」という欲望があった。

「もっとお金を持っている人が現れるかもしれない。もっと若くて、もっとイケメンの社長が現れるかもしれない。」

そう考え続けた彼女は、目の前にあるチャンスを次々と手放していった。
そんな日々を繰り返していたA子も、気づけば30歳になっていた。
かつては困らなかった富裕層の男性たちとの付き合いも、徐々に少なくなっていた。
若さと美貌だけを武器にしていた彼女にとって、年齢の壁は想像以上に高かった。

もちろん、富裕層の男性たちとばかり付き合っていたため、気軽に相談できる女友達などいない。
かつては見下していた若くして結婚した港区女子たちも、気づけばお金に困ることなく、子宝にも恵まれ、悠々自適な生活を送っていた。

取り残されたのは、A子だけだった。

元カレたちは、すでに若い女性たちにシフトしている。
A子自身はまともに働いたことがなかったため、今さら高給を得る仕事に就くことも難しい。
たまに紹介される仕事も、熟女キャバクラなどがほとんどだった。

かつてラウンジで一緒に働いていたB子は、太客の投資家を見つけ、その後は投資術を学び、美人投資家として有名ブロガーにまで成り上がっていた。
一方のA子はというと、焦りのあまり取得した資格は「野菜ソムリエ」。
だが、それで稼げるわけもなく、現実は厳しかった。
お金もない。仕事もない。男もいない。

クローゼットには、かつての華やかな日々を象徴するかのように、着古したブランド品が虚しく並ぶばかり。
A子は、どこで間違えたのかと何度も悔やんだが、すでに取り返しがつかないほどに転落していた。

それでも、港区に取り憑かれたA子は、今や60〜70歳の「旧港区男子」のおじさまたちにすり寄っている。
わずかでも港区の煌めきを感じたかったのかもしれない。

「今日は重鎮の皆様と食事。」

そうSNSに投稿された写真には、彼女を囲む年配の男性たちと共に、かつての輝きとはほど遠いA子の姿があった。
その投稿に付けられた「いいね」は、ほんの数件。かつての栄光の残滓だけが、虚しく彼女の手元に残されていた。

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