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『職場を腐らせる人たち』片田珠美 講談社現代新書 2024

職場にいる厄介な人の15のタイプを、臨床を通じて著者が遭遇した例をあげながら解説。
彼らの問題行動の原因は、たいがい羨望、嫉妬、保身、自己愛からくる、怒りや不安である。
たまに必要もないのに、職場でもめごとを起こしたり、同僚を陥れたりして喜びをおぼえる悪質なのもいる。
基本的に、そういう人を変えることはできないので、こちらが対処するしかない。
ターゲットにされにくい人間になる。できるだけ関わりを避ける。

新書という媒体なこともあり、どちらかといえば若い人向けなのか、部下や後輩ポジションからの視点が多かった。
「ああ、こういう人いるいる」とうなずき、言語化されてそれなりにスッキリする。

しかし被害を受けた側が精神科にかかったり、転勤や異動でよそへいったり、自分が変わろうと努力するしかないというのは、悲しいことだ。
本書に紹介されているラ・ロシュフコーの箴言-「狂気を癒す方法は見つかるが、根性曲がりを矯正する方法はまったく見つからない」-が沁みる。

アイデンティティー・多様性尊重でインクルージョン重視の昨今だし、ちょっと厄介な人のほうがえてして仕事面は優秀だったりするので、職場としては、被害者のほうにがまんをさせて、問題を収めがちかもしれない。

多くはZ世代といわれる若者にみられるという、「いい大学を出ているのに仕事ができない」問題、指示待ち体質、過剰なタイパ・コスパ至上主義などは目新しく、いろいろ考えさせられた。

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