投資と利益率は比例する

売上・利益を上げるにはどのようにしたらいいのでしょうか。これはすべての経営者が常日頃から考えているトピックだと思います。常日頃から考えていることだけに、あまり複雑に考えすぎず、シンプルに考えることが重要なのかもしれません。

経営にとってもっとも重要なことは利益をあげることです。いくら良いモノを作っても赤字であれば企業は存続できません。したがって売上を上げて、コストを下げることによって利益は上がります。

そのためには積極的な投資が必要です。通商白書によると、無形固定資産への投資比率が高ければ高いほど営業利益率が高く、反対にこれらへの投資が少ない企業は営業利益率が低いことがわかっています。有形固定資産への投資よりも、無形固定資産への投資のほうがより効果があるようです。

それではどういった無形固定資産に投資をしたらいいでしょうか。3本の柱が重要だと考えています。それは製品サービスの差別化、生産性向上のための社内の組織開発、そして人的投資です。

製品サービスの差別化
これには内部的な視点と外部的な視点が重要です。競合他社比較などよく論じられますが、競合他社比較は相対比較でしかありません。当然ですが、絶対的に重要なことは顧客の要件です。顧客が何を求めており、それに対して自社の製品サービスはどれくらい満たせているかを分析することが重要です。日本は欧米に比べて研究開発への投資割合は高いのですが、その研究開発も内部的な検討のみで、顧客という絶対的な要件を放置してしまっている可能性はあります。顧客の要件をまずは正確に情報収集したうえで研究開発をすることが重要です。

またM&A、外部企業との提携など外部との連携による差別化も重要です。いくら良い製品サービスを作ってもそれが顧客に届く動線が整備されていないと意味がありません。製品サービスを届けるため、上流から下流までを整備することが必要です。たとえば何かを売ろうとしたときに、いきなり売りつけるのではなく、まずはコンサルティングを実施しそもそも根本的な課題は何なのかを検討する。そのうえで製品サービスを提案し、アフターサービスもしっかり充実させることが必要だと思います。ただしすべてを自社だけで整備する必要はありません。自社だけですべてを整備しようとすると莫大な投資が必要ですし、何よりもすでに他社で手掛けている領域もあるかもしれませんので、その企業との競合になるかもしれません。重要なのは、コア事業のみは自社で拘り、その他は他社と積極的に提携し、サポートをしてもらう。余程の資金力とシナジーが見込めるのであればM&Aを検討してもいいかもしれません。

組織開発
これは社内の生産性向上のための投資です。たとえば業務効率化させるためのIT投資などです。日本企業と外資系企業との大きな違いの1つに、社内のIT投資が挙げられます。日本は気合と根性でマンパワーでやりきる傾向が強い一方で、外資系は非常に合理的で積極的にIT化、ノンコア業務は外部委託などを行っています。そうすることでコア業務により負荷をかけることができます。通商白書によると、日本、米国、ドイツ、フランス、英国のうち、この組織改革への投資は日本がもっとも低位です。

人的投資
これは組織内外から提供されている従業員へのトレーニング費用にあたります。やはり日本と欧米を比べると日本はこの分野でも低位です。戦略なども重要ですが、結局のところ、従業員の質がもっとも重要です。経営者が抱える課題の中でもこの人材育成というのは常に上位に位置します。従業員へのトレーニングが必要なのですが、ただ漠然とトレーニングをしても意味がありません。優先順位としては、まずは役員、部長、中間管理職などの幹部から着手すべきだと思います。トレーニングの具体的な内容としては、これは相手が幹部の場合、いわゆる座学の研修よりかは、経営理念は何か、会社として5年後にどういうことを成し遂げたいのか、変革を拒むものはなにかなど会社をどのようにしたいのか、どのように変えていくべきかなどを徹底的に議論しあうというのがいいと考えています。やはり外部からの研修、たとえばリーダー研修などを活用するよりは、内部でこのような研修を設計して、各人に気づきを与えるように仕組みを作るほうが本人たちのモチベーションにつながります。いくら外部講師を呼んでもあまりモチベーションにはつながらず、持続性はありませんので、内部でこのような仕組みを企画することがいいと個人的には考えています。

以上無形固定資産への投資方法を紹介させていただきました。これら製品サービス、組織開発、人的投資のいずれも共通するのは、社内で議論を活性化させる必要があるということです。
社内を活性化させるためのきっかけも重要ですよね。コンサルを活用するのも一手かもしれません。


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