あんときのデジカメ 台風17号の接近と讃岐地方、そして寺田寅彦 with Canon IXY 50s
(はじめに)先日、台風17号が讃岐(香川県)に接近しました。たいした被害はありませんでしたが、天災は忘れた頃にやってくるものですから、日頃からの備えは必要です。雨は弱く強風には驚きましたが、その様子を2010年発売のキヤノン製IXY 50sでスケッチしてみました。
ロードバイクの天敵は雨ではなく風
転職してからもロードバイクで通勤していますが、壮絶なまでの雨らしい雨のなかでの出退勤をこれまで経験していません。自分自身では「晴れ男」という自覚はありませんが、正直なところ「助かっています」。しかし、雨よりも厄介なのが強風で、こちらに少々難儀しております。通勤の際、峠を一つ越えていかなければならないのですが、ちょうど峠を登っていく道筋に風が吹き込んでくる仕様となっていまして、これが、まあ、大変です。
さて、先日、台風17号が9月21日から23日にかけて九州・中国地方・四国地方に接近しましたが、讃岐地方は豪雨を免れました。しかし、風は強く、22日深夜の退勤時と23日の出勤の際のロードバイク通勤では、ひさしぶりに「ロードバイク通勤やばくね?」と悩みましたが、なんとか事故もなく過ごすことができました。
転職してからこのかた、原付バイクへ移動手段を変えようかなどと悩んだものですが、バイクへのチェンジは遠のきそうです。なぜなら、ロードバイクで、いまのところなんとかなっていますので、このまま続行しそうです。まあ、自転車だと燃料代も税金もかかりませんしね。
さて、台風の接近に伴い、その記録をと思いつき、今回は、2010年発売のキヤノン製のコンパクトデジタルカメラIXY 50sを手にしてその様子を記録をしてみました。
天災は忘れた頃にやってくるのが世の常
文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向があるという事実を十分に自覚して、そして平生からそれに対する防禦策を講じなければならないはずであるのに、それが一向に出来ていないのはどういう訳であるか。その主なる原因は、畢竟そういう天災が極めて稀にしか起らないで、丁度人間が前車の顛覆を忘れた頃にそろそろ後車を引き出すようになるからであろう。
(出典)寺田寅彦「天災と国防」、1934年。
讃岐地方というのは、意外と風水害が少なく、どちらかといえば、水不足に悩まされる土地柄です。しかし、それでも数年に一度ぐらいは、大きな被害を受ける地域であるのも事実です。
東京から讃岐へ流罪されてから改めて驚いたのは、例えば台風や地震に対する備え不足、あるいは日頃からの災害に対する意識の低さです。
たしかに、災害が少ないことは幸いなのですが、それでもある程度は気にかけておく、あるいは準備しておくことは必要不可欠です。冒頭に引用したのは、夏目漱石門下の物理学者寺田寅彦の言葉です。文明が進むほど自然災害の被害が増大すると指摘した「天災と国防」というエッセイですが、天災とは忘れた頃にやってくるのが世の常です。その意味では「まあ、今回も大丈夫だろう」という根拠のない安心信仰は退けておいたほうがよいかもしれません。
IXY史上初の高倍率ズーム
さて、今回、台風17号の様子を記録したのは2010年9月発売のキヤノン製のIXY 50sです。このところ00年代前半のデジカメを使っていたので、僕の所有するコンパクトデジタルカメラとしては比較的新しいものを選んでみましたが、それでも10年近く前の製品になってしまいました(汗
キヤノンの当時のコンデジといえば、細かく撮影設定ができるPowershot系列とスタイリッシュデザインのIXYに二分されますが(Powershotにも入門機が含まれますが)、50sは「IXY史上初の高倍率ズーム」とのフレコミで市場に投入されたモデルです。
では、簡単にスペックを紹介します。撮像素子は、1/2.3型有効1,000万画素の裏面照射型CMOSセンサー、映像エンジンはDIGIC 4が搭載されています。僕は裏面照射型の色使いが正直いうとあまり好みではないのですが、映像エンジンのおかげでしょうか……、IXY50sは非常にナチュラルなキャノンらしい仕上がりです。
レンズは35mmフィルムカメラ換算で36mm-360mmの10倍ズームで、レンズの明るさはF3.4-F5.6です。ISO100で使用したものの、レンズの暗さが撮影の邪魔になることはほとんどなく、これには驚きました。全域で非常にクリアかつボケるところはボケてくれます。加えて、本機は「光学10倍以上のズームレンズを搭載した製品として、世界最薄」(発表時)のスリムさが大きな特徴ですが、これを可能にさせたのが「屈曲沈胴プリズム退避鏡筒」システムです。複雑な構造の割にはまったくトラブルもなく、屈曲沈胴のおかげでスタイリッシュボディを維持しています。さすがですね。
従来から指摘されている難点として、広角端が36mmという問題です。確かに広角28mmぐらいからスタートさせて欲しいと思わなくもありません。しかし僕自身、広角へのこだわりが薄れてきたことと、望遠端で280mm止まりよりも(広角28mmで10倍ズームの場合)、360mmあるほうが便利という使用感があり、あまり気になりません。
プログラム撮影とシーンモード中心の撮影となり、細かな設定はできません。しかし、総論として、スタイリッシュで高倍率なカメラを使いたい、あるいは、日常生活をこれ1台で済ませたいという時に非常な便利なカメラとして仕上がっており、さすがキヤノンという他ないですね。
ということで以下作例です。
↑ 光学広角端36mmで撮影(A)。
↑ (A)を10倍ズーム、光学望遠端360mmで撮影。
↑ 光学広角端36mmで撮影(B)。
↑ (B)を10倍ズーム、光学望遠端360mmで撮影。
↑ 光学広角端36mmで撮影(c)。
↑ (C)を10倍ズーム、光学望遠端360mmで撮影。
いわゆる、台風一過、9月23日午後。
↑ いわゆる、台風一過、9月23日午後。光学広角端36mmですが、使い方によっては、28mmに劣らない広角感で撮影できます。要は撮り手の「腕」ですかね(汗
ということで撮影データ。プログラム撮影、ISO100、ホワイトバランスオート、露出補正なし。画像は10m(3648×2738)サイズで保存。撮影は9月20日~23日。撮影場所は香川県善通寺市、三豊市。