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あんときのデジカメ 讃岐の中秋を15倍ズームで拡大 with FUJIFILM FinePix F300EXR

(はじめに)フィルムカメラと異なるデジタルカメラのアドバンテージとはいったい何でしょうか。僕はズーム撮影が容易であることと考えています。特に高倍率ズームでは、日頃「寄る」ことのできぬ撮影が可能になります。今回は、2010年製の富士フイルムのカメラで見落としがちな讃岐の中秋を15倍で拡大してみました。

ズームレンズに対する考え方


どうしてもフィルムカメラをカメラの「基本」として考え、その延長線上でデジタルカメラを評価してしまいます。これは僕に限られた現象ではないと思います。

例えば、カメラのレンズを表現するときに「35mmフィルムカメラ換算では○○mm」などという表現をレビューやトライアルで見つけることは多く、その消息を物語っているものだと考えています。

さて、フィルムカメラ時代は、基本的にライカをメインで使っていましたので、交換レンズは単焦点レンズのみで、ズームレンズを使用することは殆どありませんでした。そういう操作感、あるいはカメラ観というものが僕のデフォルトになっていますので、どうしてもズームレンズをフィルムカメラで使うのは「邪道」のように思えてしまい、使用にはちょっとした抵抗がありました。

 それでも、コンタックスのコンパクトカメラのTVSのズームレンズにはお世話になりましたし、Nikon F4sにオートフォーカスの標準ズームレンズを付けて使っていましたので、「絶対に使わない」という規範にはなりえていませんでしたが、使う頻度は非常に低かったと思います。

やっぱり便利なズームレンズ

 フィルムカメラ時代、ズームレンズを使う頻度が低かったのですが、2000年代からデジタルカメラの利用頻度が多くなるにしたがい、ズームレンズを本格的に使用することになりました。コンパクトデジタルカメラの場合は、最初期のものやRicohのGRシリーズ的なものを除けば、ほぼ3倍ズームぐらいはついているものです。一眼レフ(ミラーレス含む)の場合も、レンズキットで購入すると標準ズームレンズは1本ついているものです。ですから必然的にズームレンズでの撮影が多くなってしまうのですが、使い始めるとこれはこれで「便利」というのが正直なところです。

 もちろん、標準ズームレンズの商品としてのテキトーさとか、エントリークラスのコンパクトデジタルカメラの望遠端など使い勝手がよいかといえば、問題はあるかと思います。しかし、とっさに望遠したいときや、望遠端マクロで背景をぼかそうと思った時、やはり「便利」という事実は否定できません。

 ということで今回の「あんときのデジカメ」では、2010年富士フイルム製のコンパクトデジタルカメラを取り上げてみました。FinePix F300EXRの発売当時のフレコミは「世界最小の光学式15倍ズームモデル」というものです。35mmフィルムカメラ換算で24mm-360mm相当の15倍ズームになりますので、広角にも強く、望遠にも強いコンデジと言えるのではないでしょうか。

 3~5倍ズーム程度のハイエンドコンデジや、高倍率ズームのコンデジでもだいたい広角端は28mmからはじまるので、「世界最小の光学式15倍ズームモデル」というフレコミの内実には、「広角にも強い」という意義を込めて評価する必要があると思います。

高倍率ズームレンズの魅力


 SDカードを入れて、2周間程度ポチポチと写真を撮りましたが、やはり便利ですね。

 3~5倍よりも強力な高倍率ズームだと、やはり、普段、注目できない絵柄を切り取ることができ、撮り手にとっては非常に刺激を与えるものではないかと考えています。

 光学的に拡大することで思ってもみなかったものを見たり、あるいは、気づくことができなかったことが発見できたりと、切り結ぶ図柄は、私たちの凝り固まった思考を柔軟にしてくれるものです。

 では、簡単にスペックを紹介します。撮像素子は、1200万画素1/2型CCD(スーパーハニカムEXR)で小さくはないのですが、1/1.7型程度は頑張ってほしかったというのが正直なところです。が、色ののり具合は、……富士フィルムのカメラは、もともとがフィルムメーカーですので、ベルビアモードみたいにフィルムを交換するような設定変更が可能です……、デフォルトでまずまず原色をしっかりと再現する力があります。ちなみにこれがF○○EXRシリーズとしては最後のCCD搭載コンデジで、後継機のF550EXRからはCMOSにセンサーが変ります。

 俗にCCDセンサーは低感度で威力を発揮し、CMOSセンサーは高感度に強いと言われておりますが、僕自身は、基本的にISO100前後で使いますので、CCDの方が好きですかね。

 このカメラも派手ではないのですが、非常にくっきりときっちりと写します。

 この2010年前後の富士フイルムのコンパクトデジカメでは、ちょうど同じ年の春のモデルになるFinePix F80EXRを長く使っておりました。私としてはF80EXRが初めての富士フイルム製コンパクトデジタルカメラでして、正直「富士フイルムやるな!」という実感でしたが、その後買い替えたのがF300EXRの後継機であるF550EXR。これが初期不良の多いカメラでちょっと「がっかり」したことを記憶しておりますが、気がついてみれば、ミラーレス一眼レフカメラは富士フイルムのカメラを現在では、使っておりますので、富士フィルムとの相性?というのは割といいのかも知れません。古い富士フィルムのコンデジを使うためのxDピクチャーカードやスマートメディアまで揃えてしまう始末ですから、もう、立派な富士フィルムファンなのかも知れません。

 さて以下、作例です。基本的に広角24mmでの撮影とそれを15倍ズームにした撮影で比較してみました。讃岐という「田舎」に住んでいますと、本当に「何もない」ってことを実感しますが、15倍ズームで「寄ってみる」と思ってもみない発見がありますね。


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ということで撮影データ。プログラム撮影、ISO100、ホワイトバランスオート、露出補正なし。画像はL(4000×3000)で保存。撮影は10月28日~11月4日。撮影場所は香川県善通寺市、三豊市、丸亀市。

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氏家 法雄 ujike.norio
氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。