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あんときのデジカメ 讃岐・三豊の「春がくる」 with Canon Powershot A1000IS

(はじめに)感情のなかで最も表現に悩むのは僕の場合「喜び」です。喜び下手といってよいのですが、それでも春が来れば「うきうき」するのも事実です。そんな感情で、讃岐の桜の開花をスケッチしてみました。

うきうきしますよね

 noteを使いはじめたきっかけを語るとすれば、自分自身の文章の種類を増やすことがそのひとつの理由になります。

 いわゆる学者の論文や堅苦しい論説といったのではなく、間口のひろいエッセイの練習といいますか、そうした文章から知的好奇心を喚起したり、たとえば、この連載である「あんときのデジカメ」などは、写真を切り口に素材と「言葉」を接続させよう心がけているのですが、これが実に難しいですね。一年も経っているのですが。

 それでも、この1年にわたって自由に書いてみようと試みたことは、自分自身としては割と挑戦になったのではないかと我ながらよくやったとは思いつつも、それでも、例えば、

 「ウジケさんの文章って、どこをどう切り取っても“ウジケ印”というものがあって、“硬い”ですよね」

 などと直に指摘されてしまうと、

 「やっぱりそうなのかなあ」

 とうなだれてしまいます。

 例えば、

 「ぜったいに、うきうきするとか書かないでしょう」

 と指摘されてしまえば、

 「はい、そうです」

 となってしまいます。

春がくる 春がくる

 しかしながら、そうは言ってもウキウキしないことはないのですが、喜怒哀楽といった感情表現に注目して見るならば、やはり、僕としては、喜びを表現するのが最も難しいのではないかと考えています。

 もちろん、それはひとそれぞれの個性に影響されることは言うまでもないのですが、嬉しいことをそのままストレートに表現してしまうことが子どもっぽいのではないかと考えていることに由来するのですが、かといって、それでも、嬉しいことを嬉しいと感じないわけではありません。

 さて、喜びということでこの季節に注目するならば、やはり桜の開花ですよね。そして「ですよね」っていう表現自体も僕としては割とがんばっているほうです。

 僕個人としては、「年度」という考え方があまりにも合理的根拠を欠くがゆえに全く感心できないのですが、それでも仕切り直しのこのタイミングに桜が開花すると、やはり新しい出発を感じてしまうのは事実です。

 最近、少しまとめて古いデジタルカメラを手に入れてみましたので、職場近くの桜を撮影してみました。

 喜びの表現を不得意とする詩人といえば、やはり萩原朔太郎だと僕は考えているのですが、彼の表現に従えば次のようになるでしょうか……。

 春がくる 春がくる
 春がくるときのよろこびは あらゆるひとのいのちを吹きならす笛のひびきのやうだ

(出典)萩原朔太郎「春の感情」、三好達治選『萩原朔太郎詩集』岩波文庫、1981年、211頁。

マクロに強い入門機のそのうえをいくパワーショット

 今回、讃岐の桜の情景をスケッチするのに利用したのはマクロ撮影に強いという2008年製のキヤノンのコンパクトデジタルカメラ PowerShot A1000IS です。パワーショットというラインは実に不思議なもので、完全なマニュアル撮影で酷使できるモデルもあれば、乾電池使用で使いやすい入門機もあり、その混在の理由は何? などと訝しんでしまうのですが、今回使用したのは後者のモデルです。

 桜の撮影となれば、やはりマクロに強い機種をと思い選んでみましたが、これが正解でした。前回のニコンのコンデジのときにも感じたことですが、やはりキヤノンのカメラも、どのモデルを使っても、それなりによく写ってしまい、面白くないなあと天の邪鬼ぶりを僕自身は発揮してしまうのですが、今回も例にもれずでした。

 では、簡単にスペックを紹介します。撮像素子は1000画素1/2.3型CCDで、レンズは35mmフィルムカメラ換算で35-140mmの4倍ズームになります。前機種では絞り優先、シャッタースピード優先モードが搭載されていましたが、このモデルでは割愛されています。いずれにしても入門機+αのクラスでは、ほとんど使わないモードですから、それよりも広角端で3cm、望遠端で30cmまで近づいて撮影できるマクロ撮影がしっかりしているほうが案外使いやすいのではないかと驚いています。

 使用感についてはどうでしょうか。写りはキヤノンらしいナチュラルな発色で、淡いピンク色の桜と白天をきちんと区別して記録できるほど優秀な写りで、映像エンジンの良さを物語ってもいます。使いながら便利だと感じたのは、AEロックの優秀さです。

 ちょっとずらすだけで露出というものは変わってしまいますが、露出状態を保持したまま構図を変えるときに便利で、その使いやすさは、ベテラン撮影者にとっても非常に便利ではないかと考えさせられています。加えて、電池のもちのよさです。3日間で200枚程度撮影しましたが、バッテリーの警告はなく、ここも高く評価したいところです。

 では、以下作例です。拙い写真ですが、讃岐の「春がくる」様子をご笑覧下さればと思います。

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 今回の撮影行の締めくくりは、善通寺市のさぬきうどん店「麺賊」(香川県善通寺市上吉田町3-3-24)さんです。もちもちの麺とイリコの効いただしの味わいが非常に合います。今回は「肉うどん」をチョイスしました。

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ということで撮影データ。プログラム撮影、ISO100、ホワイトバランスオート、露出補正なし。画像は3648x2736(スーパーファイン)で保存。撮影は2020年3月25日、27日、4月2日。撮影場所は香川県三豊市。



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氏家 法雄 ujike.norio
氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。

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