【121】WBC準決勝メキシコ戦9回裏の大谷翔平 2023.3.21
このWBCの大谷選手を見ていて、大谷選手が本当に望んでいるのはこういう野球だったんじゃないかという気がしました。そして大谷選手の本当の顔というものが見えたのじゃないかという気がしました。
準決勝メキシコ戦は苦しい試合になりました。佐々木朗希投手がピッチャーライナーのアクシデントもあり、メキシコ打線の粘りに手古摺り4回に当たり損ねの2本のヒットでの1,2塁からまさかのスリーランを喫する。
相手先発サンドバルの素晴らしい投球に打線は沈黙、ようやくとらえかけマウンドから引きずり下ろし2度も満塁のチャンスを作るも再三のレフトの攻守に阻まれ点が入らない、流れはメキシコ。
このままいってしまうのか敗色濃厚と思われた7回裏2死から近藤健介がヒット、大谷四球の1,2塁から4番吉田が起死回生の3ランを放ち同点に戻す。これで一気に日本ペースかと思ったがここまで完璧に抑えていた山本投手がまさかまさかの連打で1点を失い降板、代った湯浅も1死をとったもののタイムリーを許して2点差と引き離される。しかしここでセンター吉田からの好返球で二人目のランナーをホームで刺して3アウトとしたことが結果的に大きかった。
その裏1死2,3塁から9番甲斐に代った山川が犠牲フライを放ち一点差としさらにヌートバーが四球でつなぐも近藤健介倒れて大谷につなげず。一点ビハインドのまま9回に突入。
9回表の攻撃を大勢がきっちり3人で抑えて、いよいよ土壇場9回裏、マウンドはメキシコの守護神ガイエゴス。無死走者なしで大谷が打席に入り初球を右中間に綺麗に運びヘルメットを脱ぎ捨てて激走し2塁打とする。次打者吉田は警戒しすぎか四球を選び無死1,2塁のチャンスにここまで3三振ノーヒットと大ブレーキの村上が打席に立ちカウント1-1からの三球目をセンターオーバーのフェンスを直撃するタイムリーで大谷に続き代走周東が1塁から長駆ホームインして逆転サヨナラとなった。
不振にあえぎながら最後に一振りで試合を決めた村上はもちろん、同点ホームランの吉田、代打で犠牲フライの山川、攻守の源田、好走周東、失点したとはいっても十分に力を示した佐々木朗希、山本投手をはじめ、最後まであきらめず全員野球でもぎ取った侍ジャパンの劇的勝利は感動的でした。
しかし中でも私の印象に残ったのが9回裏の大谷選手でした。初球を捉えた打撃はホームラン狙いのフルスイングではなく右中間の真ん中を狙った出塁のためのバッティングだったのです。孤軍奮闘ではなく、後ろに続く吉田、村上を信頼しての打撃。
2塁ベースからベンチに檄を飛ばしを鼓舞する大谷さんの姿に、しびれる野球をしたいという大谷さんの言葉の本当の意味が分かったような気がしました。
大谷の前に切り込み隊長ヌートバー、しぶとく繋ぐ近藤が居て、後ろには大谷が安心して背中を任せられる吉田が居て、覚醒した村上がいる。
今、大谷選手は理想のチームの中に居るのでしょうね。
さて、決勝のアメリカ戦はどうなるのでしょうか。