【60】おかしな話:西武園遊園地で海賊船を一人で乗ったことありますか? 2022.8.9
最近、バラエティ番組を見ていたら、大規模リニューアルをしたという西武園遊園地を取り上げていました。それを見て、遥か昔の記憶を思い出しました。
皆さんは「混んでいる遊園地」と「空いている遊園地」だったらどちらが好きですか?
そりゃあ空いていて待たずに乗れる方がいいですよね。
でも結論を出すのはこのお話を読んでからにしてください。
その頃私は武蔵小金井に住んでいました。
超忙しかったプロジェクトがようやく一段落し、溜まりに溜まった休日出勤の分を休めということで、強制的な平日休みを取ることになったのです。
その日は少しゆっくり朝寝をした後、
「暇だなあ、そうだ、少し自転車でその辺を散歩でもしてこよう」
と、とりあえず北の方向に向かってペダルを漕ぎ出したのでした。すると、30-60分もフラフラと走った頃、木立の向こうに観覧車が見えてきたのです。
「あ、遊園地だ、そういえば遊園地なんて久しく行ってなかったなあ。」
と思って、そこ:西武園遊園地に入ることにしたのです。
やる気満々で10回くらいの回数券を買って、いざ遊園地の中に入ってみると、
「あら、人がいない。」
なんせ平日の午前中です。遊園地の中は閑散というより歩いているのは作業員ばかり、お客らしき人は一人も見かけず、広い遊園地は貸し切り状態といってよく、ただただシーンと静まりかえっていたのです。
とりあえず観覧車に乗って上空から園内の様子を眺めてみようかと乗ってみると、
スピーカーから流れてきたのが、
「ようこそいらっしゃいました。これから15分間二人だけの時間をお楽しみください。」
という嫌味なご挨拶。
「悪かったなあ、一人で!」
余計なお世話だといきなり気分を害しながらも、気を取り直して次に行ったのが、今回のバラエティでも紹介されていた、あの大きく揺れる大人気アトラクション「海賊船」です。
さあ乗ろうと思ったのですが動いていなくて、受付に行って「やってますか」と聞くと、「やってます」と、それから私たった一人のためにスイッチを入れて動かすのです。
動き出してすぐ、
「乗るんじゃなかった!」
と後悔しました。
ああいうものは大勢でキャーキャー言いながら乗るから楽しいのです。一人で乗ったら、ただの拷問ですよ。後ろ向きに落ちていく時が最悪にヤですね。胃袋が裏返りそうな気がして、
「ウウっぷ、気持ち割りい!」
「なんで俺は金を払ってまで座席に縛り付けられて、こんな嫌な思いをしているんだろう」
と落ち込みました。
果てしなく長い海賊船がようやく終わって、絶叫系は駄目だ、次はどれにしようか、そうだな、これだったらいいかもなと、ビックリハウスみたいな建物に入ってみたのです。
まあ可もなく不可もなくという感じで順路を進んでゆくと、突然下から強風が吹出してくる箇所が有ったのです。
「これは何だ。」
「ああ、そういうことか!」
と一人で合点して、その辺で何気なく一休みしているような顔をしながらしばし待ってみたのですが、ミニスカートの女の子どころか、婆さんも爺さんも人っ子一人やって来ず、しかたなくそこを後にしたのです。
回数券はまだ7回分も残っています。
どうしたものか?
もうかなり戦意を喪失しながら、とぼとぼと歩いて何だったか、もうなんでもいいやと向かったアトラクションで、例によって停止しているので動かしてもらおうと受付の所に行くと窓の向こう側では係のおじさんが机に突っ伏して眠り込んでいたのでした。
コンコンとガラスを叩いてみたのですが起きる気配はなく、僕は起こすのをあきらめて、打ちひしがれた気持ちでそこを後にし、そのまま遊園地からも出たのでした。
というわけで、空いているのもほどほどで、
一人で乗る「海賊船」は最高に気持ち悪かった!
という中々に得難い体験をした私でした。
大昔の出来事でしたが、今の西武園は平日午前中でもそこそこ入場者はいるのでしょうかね?
他人事ながら気になります。
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