【171】本の話:「折れた竜骨」米澤穂信さん 2023.10.15
米澤穂信さんは「氷菓」のシリーズ、「春季限定いちごタルト事件」の2本のシリーズがすごく面白くて大好きになった作家さんです。
上記2本は学園に起きる日常の謎を解いていくというスタイルで、学園ものも日常の謎もどちらも好きな私は必然的にはまってしまったわけです。
それに対し、本作は、著者自身が、
「『折れた竜骨』は、魔法が存在する十二世紀末のヨーロッパを舞台にしたミステリです。・・・」
と書いているように、学園ものとは全く異なるそうした架空世界におけるミステリーを緻密に構成しています。
そして、作者は、
なんでもありの魔法の世界でミステリーが成立するのか?
という命題に、この作品で正面から挑み、そして見事な勝利を勝ち得たと私は思います。
読み出してその世界に捕らわれたら、もう本を置くことができない、面白いです。
この本について、読む前に概要を知っておきたいという方がいらっしゃれば、東京創元社の下記URLに、紹介がありますので覗いてみるとよいと思います。
そこには、
*著者の言葉
*あらすじ
*物語の時代背景
*登場人物相関図
*物語に登場する主な国と民族
等が載っています。
もしも、予備知識など不要と思う方は、読了後の余韻として頭を整理するために読むとよいと思います。
私からは一つだけ、
タイトルに掲げられた「折れた竜骨」とは一体何か?その意味は物語の一番最後に明かされ、すっきりするのですが、ミステリーに強い方はこの言葉が何を意味しているのか推理をしながら読まれたら楽しいのではないかと思います。