【235】夕方の彷徨:ハンス・クナッパーツブッシュの パルジファル第1幕前奏曲 2024.8.10
1 ハンス・クナッパーツブッシュのワーグナー
今日の夕方散歩は家から上に登っていく道を行ってみることにしました。
音楽はハンス・クナッパーツブッシュのワーグナーです。
ラインアップは、パルジファル第1幕への前奏曲、ローエングリン第1幕への前奏曲、ジークフリート牧歌、そして最後に、ジークフリートの葬送行進曲、という流れでした。
いずれも素晴らしい名演です。このような演奏を下のようにYouTubeにあげていただいているというのは有難いことです。
*パルジファル第1幕への前奏曲 ミュンヘンフィル
*ローエングリン第1幕への前奏曲 ミュンヘンフィル
*ジークフリート牧歌 ミュンヘンフィル
*ジークフリートの葬送行進曲 ウィーンフィル
クナッパーツブッシュのワーグナーについては、昔レコード芸術などで、かの宇野公房氏が激賞したことによって広く知られることになったように思うのですが、改めて聴き直しても、やはりいずれも畢生の名演だと思いました。
クナッパーツブッシュやクレンペラー、シューリヒトさんなどの巨人たちを世に出したことは毀誉褒貶半ばする公房さんの功績に数えられる点だったと思います。
2 パルジファルとブルックナーの音楽の世界
パルジファルの前奏曲を聴いておもうことはこの音楽の音楽世界が、その宗教的な崇高とも言える透明感をも含めてブルックナーの交響曲の世界に極めて近いことです。
前にブルックナーに一番似ている音楽は、というテーマで記事を書きましたがやはりワーグナー、中でもこのパルジファルの音楽が一番似ていると思います。
もちろんワーグナーの方が先行していて、ブルックナーはワーグナーに憧れてワーグナーの模倣をしたということになるのですが、パルジファルの音楽が、第8交響曲のアダージョにそのまま使えるのじゃないか思ってしまうほどその世界が一致していることに驚きました。
もしもワーグナーがいなければブックナーの交響曲か生まれることはなかった思うとワーグナーには感謝しかありません。
ジークフリートの葬送行進曲についてはウィーンフィルの名演として前に取り上げたことがありましたがやはり壮絶なこの曲における最高の名演だと思います。
ローエングリンもジークフリート牧歌も素晴らしい演奏です。
3 クナッパーツブッシュのブルックナー交響曲演奏について
パルジファルをこれほど見事に演奏するクナッパーツブッシュがブルックナーを演奏したらさぞやすごいだろうということは誰しもが思い、実際にクナッパーツブッシュのブルックナーは世の評価も高かったりするのですが、
私はクナッパーツブッシュについては3,4,8番のレコードを早い時期から買って聴いているのですが、どうもピンと来なくて、あくまで個人の見解に過ぎませんが、あまり良い演奏とは思えなかったのです。
このパルジファルのように演奏してくれればよいだけなのに、なぜなんだろうと不思議になります。
ブルックナーの音楽はそういう所があり、ある人の指揮がある曲において素晴らしかったとしても、他の曲においても同様に素晴らしいとは限らないのです。
私は、ブルックナーの交響曲の全集またはそれに準ずるCDを、ヨッフム、朝比奈、フルトヴェングラー、クレンペラー、チェリビダッケ、カラヤン、シューリヒト、レミバローさんなどで持っていますが、どの場合でも全曲がすべて良いという結果にはなっていないと感じています。
つまりこの人なら大丈夫という絶対的に信頼できるブルックナー指揮者はいないのです。それに近いといったらヴァントさん位かな。
それだけブルックナーの演奏は難しく、聴く方も一つ一つの演奏を先入観なしに判断することが迫られるのかもしれません。
4 愛鷹山への日没
そんなことを考えながら歩いて行き、最終的に富士山の見えるスポットにたどり着くと、富士山は雲に隠れて見えませんでしたが愛鷹山の上に雲間からの光が差していてワーグナーの世界に似合うような荘厳な風景を見せてくれていました。
少し旧いスマホでの撮影なので明るさ調整がうまくいっていないのが申し訳ないですが。