【149】サイモンとガーファンクルによる「サウンド・オブ・サイレンス」という名曲、そしてJadyn Ryleeによるカバーの衝撃について 2023.6.7
1 サウンド・オブ・サイレンス
「サウンド・オブ・サイレンス」はある年代以上の人なら絶対に知っているサイモンとガーファンクルによる名曲です。
先日ふとユーチューブで見つけて聴いてみて、そして様々な人によるカバーなども聴いてみて、この曲は後世に残る、残すべき名曲だと改めて思いました。今回はこの曲について少し深掘りしてみたいと思います。
1.1 数奇なデビュー
この曲は幼馴染だったポール・サイモンとアート・ガーファンクルの二人が1963年に結成した「サイモン&ガーファンクル」が1964年に発表したデビューアルバム『水曜の朝、午前3時』に収録されています。
しかしこのアルバムは初年度3000枚しか売れなかったそうで、がっかりした二人はその後活動を休止してしまいます。
ところが、その間にプロデューサーのトム・ウィルソンが、アルバム収録曲「サウンド・オブ・サイレンス(The Sound of Silence)」にエレキギターやドラムなどを加えてシングル発売したのです。すると、これが1966年に全米1位を記録する大ヒットになってしまったのです。
サイモン&ガーファンクルは一躍大人気のフォークロック・デュオとなり、さらにこの「サウンド・オブ・サイレンス」が1967年12月に公開された映画『卒業』の中で使われたため、映画の大ヒットと共にサイモン&ガーファンクルそして「サウンド・オブ・サイレンス」が日本をはじめ世界中に知れ渡ることになるのです。
1.2 「サウンド・オブ・サイレンス」の歌詞と意味
「サウンド・オブ・サイレンス」のタイトルを訳すと「静寂の音」となり矛盾をはらんでいます。「静寂の音」って何なのだろうと調べてみると、下のURLにこの曲の歌詞と意味についての丁寧な和訳が載っていましたので是非ご参照ください。
ここで載せられている和訳はとても正確なものだと思います。けれど歌詞は哲学的で難解で、和訳しただけでは、やはり、どのように理解すべきかは戸惑ってしまうのです。
いくつか調べてみても、理解の仕方は人によって解釈が違っていてこれが絶対というように納得できるものは見つかりません。
私としては、かけた言葉が相手に届かず静寂の中に吞み込まれてしまうという、他者とのコミュニケーションが失われた現代社会についての警告というようなことかと思っているのですが、皆様はどう考えられるのでしょうか?
1.3 サイモン&ガーファンクルによる演奏
1)1966年にブレークした時の演奏
これがサウンド・オブ・サイエンスの最もよく知られたオリジナル音源だと思います。曲の素晴らしさ、二人のハーモニーの素晴らしさには改めて感銘を受けます。
2)1964年にアルバムデビューした時のオリジナル
そしてこれが、アルバム『水曜の朝、午前3時』に収録された一番最初の音源です。
1)と2)を比較するとボーカルは全く同じであることがわかり、1)は確かにこれにエレキギターやドラムを加えてダビングしていることがわかります。
それにより曲はロックな響きを持ち迫力とスケール、奥行きを増しており、プロデューサーのトム・ウィルソンによるこの改編は効果的でありファインプレーだったと思います。
けれどこの改編は、
サイモン&ガーファンクルは知っていて許可したのでしょうか?
エレキやドラムは誰が演奏したのでしょうか?
謎です。どなたかご存じの方教えてください。
*1964年盤のもう一つの特徴
1)と2)の違いはもう一つあります。
1)では二人の声はミックスされて中央に定位しているのですが、2)では二人の声が左と右にはっきり分かれて録音されているのです。
その結果、2)では左チャンネルを絞ると、普段はアート・ガーファンクルの美声の主旋律の裏に隠れてしまうポール・サイモンの和声の旋律を単独で聴くことができてしまうのです。これはほんと面白い体験です。
3)セントラルパークコンサート 1981.9.19
1970年頃から二人は音楽観の違いが表面化し、別々にソロ活動をするようにになります。
そんな二人が1981年9月19日にニューヨークのセントラル・パークで再結成チャリティコンサートを行うとなんと53万人もの観衆が集まり歴史的なイベントとなるのです。
この時の二人はほんとうに気持ちよさそうに歌っており、演奏も素晴らしい出来栄えになっています。
サイモン&ガーファンクルには、「サウンド・オブ・サイレンス」のほかにも 「スカボロー・フェア」「ボクサー」「明日に架ける橋」「コンドルは飛んで行く」等々数多くの名曲があります。
フルコンサートを聞きたい方は下をどうぞ。
2 Jadyn Ryleeによるカバーの衝撃
サウンド・オブ・サイレンスは膨大な数の歌手や楽器によりカバーされており、ユーチューブで追いかけていると素晴らしい演奏が数多くありキリがないほどでした。
その中で最も異色かつ衝撃的だったのが下のJadyn Ryleeによるカバーでした。この子は何歳なのでしょう。最初はたどたどしくて眠くて、いつ打ち切ろうかと思って聴いていたのですが、後半に向けてのすさまじい破壊力には圧倒されました。
天の啓示が子供の声を借りて語られている。
そんな気さえしました。
騙されたと思って聴いてみてください。
一聴の価値は充分にあると思います。
ユーチューブはこんな出会いがあるからやめられません。
*オマケ BOXER
二人の熟年女性によるカントリーウェスタン調の「ボクサー」が忘れ難かったので下に載せておきます。
さらにおまけで本家サイモンとガーファンクルのセントラルパークでのBOXERを付けておきます。これはほんとうに名曲の名演ですね。