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思考を言葉にする力|『こうやって頭のなかを言語化する。』の学びと実践
昨年12月、駅構内にあるお気に入りの書店で、目に留まったのが『こうやって頭のなかを言語化する。』というタイトルでした。
電通のコピーライターが著者であり、これまで「コピーライターがどのように言葉を生み出しているのか」を考えたことがなかったことに気づき、興味を持って購入しました。
最近、新人教育や自分自身の思考整理において「言語化」の重要性を感じる場面が多くなっています。「言語化ができているかどうか」が、仕事の質や結果を左右する要因だと実感していたため、本書を手に取ったことはタイムリーな機会だったと感じます。本書はそのプロセスや手法を具体的に示してくれ、まさに「読んで実践したい一冊」でした。
ここでは本書の内容を私なりに整理し、読んで学んだこと、そして実際に取り組んでみた結果についてまとめていきます。
1.言語化に必要な能力
これまでコピーライターとは思いつきで考えるのかな、と誤解をしていたのですが、自分自身に問いかけ続け、そして一つのコピーを考え出すという芸術作品を生み出すような過程を経ていたことに、とても感銘を受けました。やはり他の職業の方が何をしているのかがわからないと、うまくコラボレーションができないな、と本書を読みながら自己反省していました。
・「聞く力」とは、一般的には相手(他人)の話をちゃんと聞くということがほとんど。これを一歩踏み込んで、自分で自分の話を聞くことが、自分の頭のなかを言語化する上では必要不可欠なこと。
・コピーライターとは、その場でぱっと答えや成果物を出す職業ではない。何時間も何日もかけて、ようやくたった1行のコピーにたどりつくもの。コピーを作る時間の約9割が「聞く」工程であり、大きく次の2つがある。
①クライアントや生活者の話を聞く
「今回の広告の目的は、なにか」を深堀りする。今回の目的をしっかり聞いて言語化する。
②自分自身の話を聞く
「自分の声に耳を傾ける時間」。コピーは思いつくものではなく、自分に「聞く」ことを繰り返して、見つけ出す。
例)「オリエントを聞いて、率直に、どう感じたか」「一人の生活者として、その商品をどう思うか」「自分の身近な人なら、どんな感想を持ちそうか」「クライアントも想像していなかった、その商品の別の魅力はないか」
・頭の中にもう一人の自分を登場させて、まるで自分にインタビューするかのように言語化の糸口を探していく。コピーライターがコピーを考える時間というのは、自分に問いかけをしながら自分で自分の話を聞いていく時間であり、「自問自答」の時間。思考することは、自分で自分の話を聞くことと、まったく同じ行為。「思考量=自問自答する量」であり、「思考の質=自問自答の質」である。
・聞く相手がだれであろうと、意識すべきは、相手の「言葉」を引き出していくこと。そのためには
①引き出すためには「相手の言葉に『関わる』姿勢で話を聞く」こと。
②「相手の辞書をつくる」イメージをもつこと。(例えば「仕事」ということばを1つとっても、人によって微妙に意味が違っている)
2.自分の話の聞き方
言語化につながる聞き方のコツが、具体的な事例を使って、書かれています。いきなり感じたことを聞かない、というのはとても納得です。UXリサーチの場でもとても使えそうです。
コツ①:「できごと→感じたこと」の順番で聞く
いきなり「感じたこと」を聞かれると、人は戸惑う。
コツ②:アドバイスしようとしない。
語りたくなるような「問いかけ」をする。
コツ③:言葉の意味を深める問いかけをする。
いつだって答えはすでに自分の中にある。あとは自分で自分の話を聞きながら、頭の中を言語化して、自分の中にある答えをみつけるだけ
3.思考をまとめる訓練
実際に思考をまとめ言語化するための訓練方法が書いてあります。本書には具体的な事例も載っていますが、ステップやポイントをまとめるといかのような内容となります。
ステップ①:ためる(「できごと+感じたこと」をメモする)【What】
・心が動いたできごとをメモでためる(できごと+感じたことをセットでメモする)
・メモは短くてもOK
・メモの数は1日1つ
ステップ②:きく(頭に浮かんだ言葉をノートに書き出す)
・「のはなぜか?」を足して問いをつくる
・遠慮なく使えるノートとペンを用意する
・3分間で5つ以上を目標に、とにかく書き出す
・頭に浮かんだ言葉を、そのまま文字にする
・ノートを書くタイミングは、その日の夜
ステップ③:まとめる(現時点での「結論」を1行で書く)【Why】
・印象的な言葉をピックアップする
・シンプルな1行の「結論」にまとめる
ステップ④:そなえる(今後の「行動」まで言語化しておく)【How】
・結論としてまとめた思いや意見を、これからどう活かしていくのか、その具体的な「行動」まで言語化しておく
・「結論」をもとに、「そこにつながる行動とは何か?」を考えて、言葉にしていく。(例:「相手に認めてもらえる」ために必要な行動を書き出していく)
ノートにペンで手書きの理由
・非日常な時間をもてる
・本音が言語化しやすい
・定期的に見直せる
・手を動かすと、思わぬ言葉に出会える
(手書きと脳の活性化の関係)
4.訓練をやってみて
私もノートとペンを用意して、見様見真似で3日ほど続けてみました。ただその日の夜だとあまりに疲れていて、翌朝にすっきりした頭でまずやって、仕事を開始してみるサイクルにしてみました。
まずノートはB5かA4を見開きで利用するとのことで、A4にしようとしましたがちょっと大きすぎるかなということでB5にして、方眼紙タイプにしました。大きさもちょうど良いかなと思いました。
また書きやすい太めのペンということで、ぺんてるサインペンS-520が紹介されていたのですが、Loftに行くと筆タッチサインペンというものがあり、書き心地がよかったのでこちらを使うことにしました。実際にこれも使いやすいと思います。
やってみて・・・1日目、慣れるので終わり2日目、3分間で頭の中のものを出しきるということができ始め3日目、その3分間で頭の中のものを出しつつもさらに別の切り口でも考え始めるといった思考が見えて、結論、そしてアクションがより具体化するという効果が見えた気がします。特に3分間が集中すると、意外と長く、1日目は書いた後に時間が余っていてダラダラと考えてしまい、2日目になるとなるべくより多く出そうとしますが、それでも時間が余り、3日目でようやくアラームがなるまでとにかく考え続けるという脳の働きになっていたのかなと思います。
そして最近Macに向かって考えてしまう自分が多いことにも気が付き、ノートを使って朝から思考を書き出すという行動を取るのは、脳が活性化してから仕事ができるかな、という印象も持ちました。
5.感想と学び
本書『こうやって頭のなかを言語化する。』を通じて、自分の思考を深掘りし、言語化するプロセスの具体的な手法を学ぶことができました。「思考=自問自答」「言語化=自分の話を聞く」といったシンプルな考え方が、思考の質を高めるカギであることを改めて実感しました。
実際に本書の方法を試してみて、日々の仕事における準備や判断がよりスムーズになり、頭の中を整理することで新しいアイディアや方向性が浮かび上がる感覚を得られました。
言語化の力は、仕事だけでなく、日常生活や人間関係にも役立つと感じます。まだ3日ではありますが、この訓練を継続して、自分自身の考えをさらに深めていきたいと思います。そして、新人教育やブランディングの場面でも、この知識を共有していくことで、チーム全体の成長につなげられればと思います。