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使いやすさを追求するユーザビリティテストの基礎

デザイン学校で初めて「UIデザインの後にはユーザビリティテストを行うべき」という話を聞いたとき、自分の会社では単にシステムテストを実施し、使い勝手については何となく確認する程度だったことに気づきました。それが標準的な手法だと思い込んでいたため、「これでは不十分なのか」と衝撃を受けたのを覚えています。

そんな中、しっかりとユーザビリティテストを学び直そうと思い、本屋で見つけたのがこの書籍でした。分厚い本ではなく、さらっと読めそうな点に惹かれて手に取りましたが、読んでみると実際の業務に活かせる示唆が多く含まれており、会社でも早速取り入れるきっかけとなりました。この本で得た知識と気づきを今回ご紹介したいと思います


1.ユーザビリティとは

これは冒頭で解説される内容で、ユーザーインタフェース(UI)のユーザビリティが次の5つの特性で説明されています。社内でユーザビリティの定義を説明した際にはそのまま参考にさせてもらいました。その時にこの5つの特性を書きながら、「自社プロダクトはまだまだこの5つの特性を十分に満たせていないな・・・」と感じたことを思い出します。

  1. 学習しやすいか:直感的に操作できるか

  2. 効率的か:繰り返し作業など、操作手順が多くないか

  3. 記憶しやすいか:単純に操作しやすいか

  4. エラーが発生しやすいか:発生率を下げ、エラーの場合にどう行動すべきかわかるか

  5. 主観的な満足度はいかに:楽しく操作でき、好きかどうか

そしてユーザビリティテストは、たった2回のテストでシステムのバグや欠点の半分を発見することができるという大きなメリットがあるということをここで知ります。
確かにシステムテストで出しても、顧客から指摘を受ける件数は多く、それは試験仕様書に書いている機能が満たされているかどうか、というものではないものがかなり占められているということからも、その通りだなと思います。

2.UATとユーザビリティテストの違い

本書ではUAT(ユーザーの受入試験|検収試験)とユーザビリティ試験が明確に説明されています。
UAT(User Acceptance Test)は、ビジネス要件やユーザー行動に合致しているかどうか(業務フローに沿った試験)を検証し、システムが設計通りに動くかに重点を置いている試験。つまりは設計書(基本設計書など)の通りに動くかに重点が置かれているということで、ここはどこでもやっているのではと思います。
一方でユーザビリティ試験は、ユーザーが使いやすいかどうかに重点を置いている試験で、この視点で試験が、明確にそこまでは行われていないのではないかと思われます。

UATは受入試験なので、納品前の最終段階で実施されるのに対して、ユーザビリティテストはできるだけ早い段階で実施することが望ましい、と書かれていて、これは参考になるアドバイスです。機能としては満たされていても、ユーザーへの案内がわかりやすいのかという面が不十分ではユーザーには使われませんので、異なる視点での試験として非常に有効だと思います。

3.具体的な実施方法とポイント

まずそもそものユーザビリティテストについての解説部分は、最初の章にすべて解説されていますが、その重要性がとても心に響いた内容でした。
それ以降は、参考になるユーザビリティ実施におけるポイントとなることをいくつかピックアップします。これらは今後紹介する他の書籍でも詳細に解説されていたので、その時にまた触れたいと思います。
なお、まだ自社で考えた時に、ユーザビリティテスト繰り返しになっていないとか、思考発話法がそういえば忙しさにかまけてできていなかったなど、まとめながら反省をしてしまいました・・・

  • 5人の被験者でテストすると約80%のユーザビリティの問題が発見できる。

  • 思考を言葉として操作する「思考発話法」を用いる。

  • ユーザビリティテストは段階的に繰り返し行う。(ペーパー手書きの後、白黒モックアップの後、Figmaなどプロトタイプの後、実装の後など)

  • 狩野モデルの5つの分類。(当たり前品質、魅力的品質、一元的品質、無関心品質、逆品質)

  • ユーザーの声をそのまま取り入れない。

あとはUXライティングなど他の書籍で紹介した内容なども簡単に網羅的に触れられているので、入口としてはわかりやすい書籍だと思います。具体的な実例も多く出ていていました。

1点、ヒューリスティック評価というユーザビリティの専門家が経験に基づいてUIを評価し、問題点を発見して改善策を提案する分析手法の解説が、あまりにも薄く、全く理解できなかったです。これは今度紹介する書籍の中に、しっかりとまとめられていたのでご紹介できればと思います。

4.まとめ:ユーザビリティテストで得た学び

ユーザビリティテストを取り入れることで、「使いやすさ」という視点で課題を発見し、改善につなげる手法の重要性を改めて実感しました。この書籍は、初心者でも読みやすく実践しやすい内容で、UI/UXデザインにおける課題解決の道筋を示してくれます。まず社内で試しながら、さらに必要な知識を他の書籍などから学ぶのも一つかなと思います。

特に、「少人数のテストでも大きな発見がある」「ユーザーの視点で評価することの重要性」といった気づきは、日々の業務にもすぐ活かせるものでした。今後も、この学びを基盤に、プロダクトの使いやすさを向上させる取り組みを続けていきたいと思います。


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