見出し画像

ポール・ランドが語る、デザインの本質とクリエイティブな思考法

デザイン関連の書籍をネットで購入する際、偶然目に留まった一冊がありました。それはポール・ランドの授業をまとめたもので、授業の場そのままに彼の言葉が活き活きと記され、デザインの本質について深い議論が展開されています。ページをめくりながら、彼の厳しさや優しさ、そして奥深い視点を感じるひとときとなりました。今回は、この一冊を通じて得た気づきや考えを共有したいと思います。


1.ポール・ランドとは

ただネット上でこの書籍をレコメンドされた際、恥ずかしいことに私はポール・ランドさんのことは知りませんでしたが、ポール・ランドはIBM、 UPS、 ABC を代表として、様々なコーポレートロゴを数多く手掛けた方です。ポール・ランドについて紹介しているnoteの記事もありました。ここでは
・Westinghouse
・IBM
・NeXT Computer
などが紹介されていましたので、どんなロゴを作っていたのか、参考になります。スティーブジョブスのNext(1985年にAppleを追放されたスティーブ・ジョブズ氏が創業)のロゴも、ポール・ランドが作成したのですね。


2.心に響くポール・ランドの言葉

ポール・ランドの述べた、心に留まった言葉をいくつか挙げてみます。デザインに関して学び始めて1年ちょっとの自分としての捉え方もまとめてみました。

  • デザインとは、形と中身の関係性である。アイデアなどが中身、これをどう表現するか。形と中身の葛藤である。

これは顧客が見るものが形、デザインした形がそれに合うかどうか。この調整の難しさのようなこと、それがデザイナーに求められていることを示しているのだと思います。

  • デザインとは、関係のシステム。課題に関わるすべての物同士の関係性である。

ここは俯瞰力のようなものと、俯瞰した結果でてきた複雑系をいかに本質を研ぎ澄ませながら単純化させるかということを言っているのかなと感じました。引き算の考え方はデザインの教科書などに出てくる内容なので、とても本質的な言葉だと思いました。

  • 博識であることが重要である。その道に精通することが重要である。

この講義の中では色々な書籍がポール・ランドから紹介されていますが、かなり古い書籍なので、それを読めば良いというものではないと思いますが、先日にカラーコーディネーター検定試験を受けたときにデザイン史が出てきたり、色を使う歴史としてラスコーの洞窟壁画の話が出てきたりしていましたが、そのような歴史を知ることがきっと本質をえぐる一つの知識になったり、形の表し方になったりするものなのかなと感じました。ちょうど手元にグラフィカルデザイン論という本があり、少しずつ読み進めていましたが、このような歴史に学ぶことも重要なのかなと改めて感じました。(中学・高校の時の美術史以来・・・)


3.クリエイティブな仕事に必要な思考と働き方

これは他の書籍にもよく出てくる内容とも重複してきますが、この働き方って本当に重要そうです。ただ1926年のグレーアム・ウォーラスの書籍において、創造過程の4段階というものがあったと紹介されています。アイデアのつくり方、という本がありますが(今度、どこかで紹介したいと思います)、それよりもずっと前にすでに考えられていたのですね。
脳は自分で認識できている部分は一部で、休んでいる間も認識できていない脳の中で処理が進んでいると言われているので、まさにこのプロセスが創造にためには必要なのかなと改めて感じます。

第1段階|準備
まず着想を得て、課題のあらゆる側面を調べ上げ、スケッチをし、課題をいったん放置、つまり忘れる

第2段階|孵化
頭の中で温める。1週間とか1日忘れる。決断力を養うためのプロセス。

第3段階|啓示(ひらめき)
1週間空けると、突然啓示が降りてくる。アイデアがひらめく。

第4段階|検証
降りてきた啓示内容を描いてみて、自分のやろうとしていることに適っているかを検討する。

4.まとめと気づき

この本を読んで、デザインやクリエイティブに関わる仕事において大切にすべき考え方が改めて浮かび上がりました。

この書籍に収められたポール・ランドの言葉は、単なる技術ではなく、感情や直感、そして歴史の積み重ねをも含んだ“生きたデザイン”を教えてくれるものです。この授業の会話の中で直接自分に語りかけてくるようです。

これからも、自分自身の直感や“好き”を大切にしつつ、クリエイティブな世界をより深く探求していきたいと思います。会社のデザイナーにもこの本を読んでほしいと感じました。新たな気づきやインスピレーションが、日々の仕事に力を与えてくれるかもしれません。


いいなと思ったら応援しよう!