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初夏の夢を見た




初夏の夢を見た。

少し汗ばんだ両手が目の前に差し伸べられていた。
夏ってどうしてこんなにも汗が出るんだろうと、それとなく思った。
もしくは雨の後だったのかな。

白いワンピースを着ていた。
そんなワンピース持ってないけど。

何をしていたのだろうか、
自転車にでも乗っていたのかな。

たぶん自転車を漕いで白い家にたどりついた。
白い外壁にたぶん自転車を止めた。

白い家では白いカーテンが靡いて、
白いキッチンがあった。

冷蔵庫からバターをとって、
フライパンに満遍なく広げた。
子どもの声なんてあったっけ。

でも、嫌な暑さじゃなかった。
現実はまだ、全然寒いんだけどさ。
太陽のマークなんて嘘なんかついちゃって。

ああ、だめだ。
こんなことを書いているうちにも、
きみの温度がどんどん剥がされていく。
言葉を失くしていく。

目を開ける前に、もう一度汗ばんだ両手を眺めた。

言葉をもっと教えて
さよならだって教えて

ヨルシカ 「花に亡霊」


2024.3.19   星期二   曇り

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