青年教学3級講座②(随時掲載)「立正安国論」宛先、背景、大意(第五段まで)

このまま謗法の教えに執着し続けるなら、まだ起こっていない二難(じかいほんぎゃくなん、たこくしつぴつなん)が起こると警告する。

「立正安国論」は、客(時に旅人)と主人(大聖人)との十問九答の問答形式で展開。客は、北条時頼を想定。主人(大聖人)は、経典に基づき正しい人生と社会の在り方を教え、その実現を促す。

背景


正嘉元年(1257年)8月に鎌倉一帯を襲った「正嘉の大地震」が本書を執筆された直接の動機である。

結論として、正法を否定し反発する謗法の教えに人々が帰依するのを止め、正法を人々の心と社会の支柱として打ち立てる以外にない。と深く確信された。

宛先


北条時頼へその側近「宿屋光則」を介して提出


大意

試験範囲外の全体で見てみよう

第一段 災難の根本原因を明かす
旅人がやって来て嘆いていう。
仏の教えはどうして廃れたのか。これはどのような罪により、これはどのような誤りに由来するのか。

主人がいう。
微力ながら、じつくりと考え、少しばかり経文を見てみたところ、世の中は皆正しい教えに背き、人々はことごとく悪に帰依している。それ故、善神は国を捨てて離れ去り、聖人は辞去して戻らない。その結果、魔や鬼が来て、災難が起こっているのである。

第二段 災難の由来を説く経文を引く
旅人がいう。
善神・聖人が辞去し災難が次々と起こるということは、どの経に出ているのか。その根拠が知りたい。

主人がいう。根拠となる経文は極めて多く、証拠は幅広くある。
四経の文により災難の由来を結論するには、目を閉ざした輩、正しいものが分からず迷いとまどう人々は、きちんと考えずに間違った説を信じてしまい、正しい教えを判別することが出来ない。それ故、この国のすべての人は、仏たちとその多くの経に対して捨て去る心を生じて、守ろうとする志がない。そこで、善神・聖人は国を捨て去り、その結果、悪鬼や仏教を否定する者たちが災いを引き起こし苦難を招き寄せるのである。


第三段 謗法が亡国の原因であることを明かす
 旅人は顔色を変えて怒っていう。
 誰が釈尊一代の教えを軽んじ仏法僧の三宝の伝統を断絶させているというのだろうか。もしその根拠があるなら、詳しくその理由を聞こう。

 主人が納得させようとしていう。
 法師は人に媚びて自分の心を曲げて迎合し人々を惑わせ、王も臣下も愚かで正邪を判断できていないのである。
 経文に即して世の中を見てみると、実にこのとおりである。悪僧を制止しないで、どうして善事を成し遂げることができるだろうか。

第四段 謗法の元凶を明かす
謗法の人・法を尋ねる
 旅人はそれでもわだかまりが解けずにいう。
 どうしてあなたはいいかげんな言葉を吐いて、無用な誹謗を成し、いったい誰を悪僧と言うのだろうかる詳しく聞こうと思う。

法然の邪義、「選択集」を示す
 主人がいう。
 後鳥羽院の治世に法然というものがいて、「選択集」を作った。そして釈尊のすべての教えを否定し、十方の衆生を一人残らず迷わせた。
法然の謗法を糾弾する
 
「捨閉閣抛(しゃへいかくほう)」の四字ですべての人々を大いに迷わせ、さらにはインド・中国・日本の立派な僧侶や十方の仏弟子を皆「群賊」と呼び全員を罵らせたのである。すべて法然の「選択集」が原因なのである。
 なんと悲しいことだろうか。数十年の間、百千万の人が魔の働きにたぶらかされて、ひどく仏の教えに迷っている。謗法の教えを好んで正法を忘れている。善神は怒りを起こさないだろうか。円満な教えわ捨てて偏頗な教えを好んでいる。悪鬼が付け入る隙を得ないだろうか。あのような数多くの祈りを行うよりもこの一凶を禁じるのに勝るものはない。

 「如かず 彼の万祈を修せんよりは此の一凶を禁ぜんには」

第五段 中国・日本の例を挙げて念仏が亡国の原因と示す
法然の邪義に執着する旅人
 
旅人がとりわけ顔色を変えて怒っていう。
 恐れ多いことに釈尊の教えをおろそかにし、阿弥陀仏について説いた経文を好き勝手にそしっている。どうして近年の災いの原因を過去すばらしい時代にあると言い、むやみに先師を謗り、さらに聖人を罵るのか。

道理によって法然の邪義を打ち破る
 主人は微笑みを浮かべて、旅人を引き止めていう。
 その理由は何か。
 捨閉閣抛(しゃへいかくほう)の四字を置いて、あらゆる人々の信仰の心を減退させてしまった。自分勝手な間違った言葉を繰り広げるだけで、仏が説かれた経典の説をまったく見ていない。ひどいうそであり、(中略)
 人はそのうそを信じ、ことごとくあの「選択集」を貴んでいる。 
 法然は、後鳥羽院の治世、建仁年間の者である。あの院に何が起こったかは一目瞭然である。必要なことは、邪悪なものを捨てて善に帰依し、悪の根源を断つことだけである。



※※※申し遅れました、この文章の参考文献は、
①大白蓮華7月号
②現代語訳「立正安国論」 聖教新聞社 から


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