北東インド旅(9)最大の危機
タワンを後にして今回の旅の最後の目的地Ziroジロへ向かう。ジロはタワンから500km以上東に行ったところにあるアパタニ族の住む渓谷だ。直通のスーモがないので、一旦イタナーガルという町へ。
ここはアルナーチャルプラデシュの州都なので宿もすぐに見つかるだろうと油断していたのだがこれが失敗だった。どのホテルも満室なのだ。これまでは3件ほど宿をまわれば手頃な宿が見つかったのだがもう10件以上まわって全て満室である。そんなバカな。そんな観光客がいるわけないがな、と絶望し最後に断られた宿の前で座り込んでしまった。
周りを見てみると至る所で建物を作っている。そしてインド本土から来たと思われる出稼ぎ労働者が街中にいる。もしかしたら彼らがホテルを埋め尽くしているのでは?と考える。
これが正しいのかどうかは分からない。
だけども問題は今日の宿、宿がない。
と、こんな時はインドである。フロントでのやり取りを見ていたインド人が話しかけてきてくれて、「日本から来たのか、よし宿を探してあげるよ!」と言ってくれた。3分もするとわらわらと10人位の人が集まってきた。何を話しているのか全く分からないが何か真剣に話し合っている事は伝わってきた。
そして今度はこっち来い、と言われ先ほど満室だと言われた宿のフロントに連れて行かれるとそのインド人とフロントが二言三言話したと思うと、フロントのおっちゃんが「エアコン付きとエアコン無しどっちがいい?」と聞いてきた。
え?
なんか泊まれることになった。しかも部屋選べる?
いやいや、もう突っ込んでる場合ではない。考えるのをやめてとりあえずチェックインを済まし、シャワーを浴びた。
インドに来たことがない人がこれを聞くと「差別?嫌がらせ?」などと思うかもしれないが、そういうのでは多分なくてインド(主にヒンドゥー教文化圏)ではこういう説明不能な事は日常茶飯なのだ。強いて言えばこれまでの旅がスムーズ過ぎてそれを忘れていた自分の責任である。
気持ちを切り替えようとちょっと奮発してキレイめな民族料理屋へ行き夕飯を楽しんだ。明日の朝にはスーモに乗ってジロへ向かうので、もう早めに寝ることにする。