
死神は占いがコワイ
死期が近い人間には死神が見える。なんてことを言い出す奴ほど実は死期が近い。死神は、やれノートを拾えば見えるや霊感が強すぎたら見えるなどといったことは全くない。
死期が近い生物の前に現れ、死を見届けると同時に、その生物が本来送るはずだった残りの寿命をいただいて生きている。
生物がいなくなれば消えてしまう、儚くも弱い存在なのだ。毎日のように出てくる死者のリストの中から自分が見届ける生物が無尽蔵に選ばれる。
そうしているうちにリストが届いた。「場所は日本。20代の女か。」死神でも同情する心はある。齢が若ければ慈悲の念も湧いてくる。添付された地図を頼りにワープを実行。
着いた場所は日本でも有数の歓楽街。人気のない路地裏に入ると、ひっそりと佇む小さな建物に対象はいる。木製の古い扉をすり抜け、中に入る。
死神でもわかる怪しげな空間。水晶に骸骨を模したオブジェ、そして変な色のローブを被る人間が1人。
この変なやつが今回の対象か、、、。
「人間よ、我は死神。貴様の魂をもらいにきた。」もはやマニュアルとも呼べる台詞を吐き、女に存在を示す。
「死神のお客さんなんて初めてだわ。どうぞ座って。」
女はあまりにも冷静すぎる対応で死神を一蹴した。今まで見てきた人間とは全く異なる対応をされた死神は一瞬驚くも何故か言われるがまま椅子に大きな体を縮こませた。
「タロットカードはその人の全てを映し出してくれます。私はカードの示すとおりに導くだけ。死を司る貴方にはどんな運命が待っているのでしょうか?」鋭くも怪しげで美しい眼をしながら、1枚ずつカードをテーブルに置いていく。そして最後のカード。ゆっくりとめくり、結果を示した。
「あら、」
ん?
開かれたカードは黒いローブに骸骨の顔、大きな鎌。どこかでみたことがある。
俺じゃね?
「死神は死を意味します。貴方、もうすぐ死にますね。」
「え?」
「死にます。」
ええぇええ!?
【続く】