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未来を想像し、未来を創造する。

皆さま、お疲れ様です。

先日、21_21 DESIGN SIGHTで開催されている「2121年 Futures In-Sight展」と「想像する余白展」に行かせていただきました。

思考という思考をフル回転させ体感した世界は、これまで経験してきた世界より時間の経過速度が3倍に感じました。

それくらい深い世界で思考することができました。

本日は「2121年 Futures In-Sight展」の感想と、そこから得た考え方やこれから先の生き方への想像を記していきたいと思います。


1.「2121年 Futures In-Sight展」について

「2121年 Futures In-Sight展」では、「Future Compass」というツールを活用し、様々な視点から過去、現在に関して思考を深め、その先に未来を考えることがテーマになっていました。

この展示会の面白いところは、未来が予測できないことを前提に、あらゆる角度から未来を予測する努力をするところにあると思います。

ディレクターの松島倫明さんの言葉の中に、下記の内容があります。
私はこの考え方に感銘を受け、「未来を考えること」の意義が「未来を創ること」にあるという概念を初めて理解したとともに、その重要性に大きな可能性を感じることができました。

かつて哲学者のフリードリッヒ・ニーチェは、「過去が現在に影響を与えるように、未来が現在に影響を与えている」と語っています。過去の積み重ねの先にいまがあるように、未来を思い描くというその行為が、いまのわたしたちの意識や社会をかたちづくっているということです。であるならば、いまこの2021年を決定づけている「未来」とは何でしょうか? それは人類のどんな想像力/創造力から生まれているのでしょうか?それを「未来を考えるための問い」というかたちで探ることが、「2121年 Futures In-Sight」展の目的です。

「未来が現在に影響を与えている」という発想は全くもって経験がなく、今回修得した思考の中でも非常に大きなものだと感じています。

これを聞いて私が思ったことは、マクロで見た過去は、住んでいる環境が近ければ近いほど、等しくなるため、個人差を創る要因は「ミクロの過去」と「未来」なのではないかということです。
考えれば考えるほど頭が混乱してきそうですが、要は、どんな未来が待っているかは誰しも無限大の考え方を持つことが可能であるため、人と違う考え方や個性が比較的強く出る考え方を持つためには、未来に対する考え方が重要だということです。

前置きが長くなりましたが、未来を考えるということは、簡単そうで難しく、現在をカタチ創るためには非常に重要な鍵になることがわかりました。


2.私の「Future Compass」

では、私の「Future Compass」が指し示した3つの言葉から考える未来をご紹介するとともに、その未来について少し考えてみたいと思います。

私は、「How」「Futures」「Create」を選択しました。

「どうやって未来を作っていくか」

これに関して、本展示会で思考されていたのは株式会社ALE代表取締役CEOの岡島礼奈氏でした。
展示では世界初の人工流れ星を実現させた映像が紹介されており、創った意図として、「宇宙の美しさや科学の面白さを人々に届けたい。そして、流れ星を見た人が『未来は自分で作れる』と感じて欲しい。」と表現されていました。

科学はどんな時でも基盤になるものであり、人の手で自然現象を再現することができた瞬間は、その自然現象が証明された瞬間にもなります。
この証明はまさに過去から見た時の未来であり、証明できると信じ取り組む現在そのものが現在を形創っているとも考えることができます。

このように、現在の当たり前を自分の手で創ることは簡単なことではないですが、それが人類史上初めてのことであっても、仮に誰かが創ったことがあるものだとしても、自分が美しいと感じるものを自分の手で創ることは、確実に、未来を創り、また、現在の考え方から生活そのものまでを創っていると考えます。

そして、これは科学に限ったことではありません。
身近なことで言えば、手工芸品などのモノを創ってみる、アプリケーションを創ってみる、サービスを創ってみる、会社を創ってみる、芸術作品を創ってみるなど、想像しうるものを自分の手で創ること自体が未来を変えることになり、未来を創ることにもなるのです。

「未来を創る」≠「現在に存在しない全く新しいものを創る」

「未来を創る」=「現在に存在する美しいものを自分の手で創る」

この考え方を駆使して、現在想像できるものを自分で創ってみましょう。
「想像→創作→完成」を繰り返すことで、誰も考えもしなかった新しいモノやサービス、はたまた概念をも作り出せる日が来るかもしれません。


3.興味深い思考の紹介

「2121年 Futures In-Sight展」では、非常に多くの方が「Future Compass」を活用して思考を紹介されていました。
そこで、私が特に興味深いと感じた思考を2つ厳選して紹介いたします。

3-1.「誰が過去を終わらせるか?」

Future Compassは「Who」「Past」「End?」の3つの言葉です。
これに関して思考されていたのは、イラストレーターで作家の北村みなみ氏です。
「誰が過去を終わらせるか?」という問いに関して思考されています。

まず、今回の展示会では、過去、現在、未来の境目がどこにあるのかという議論を思考されている方が多かったように感じます。
この議論は非常に興味深いもので、正解も不正解もない議論ではあると思いますが、結論にアプローチするまでのプロセスが三者三様で、面白い議論だと感じました。

北村氏のプロセスとなる考え方を紹介します。

SFというジャンルが好きだ。SFの良いところは、何かのきっかけでそれまでの常識が破壊され、過去の常識に捉われなかった・適応できなかった者たちが未来を作っていく物語の中で、読み手の常識も揺らぎ、まっさらになれるところだ。
マジョリティに寄り添った「常識」が綻びを見せ始めている今、居心地の悪い思いをしてきた「不適合者」達が過去を終わらせ、新しい歴史を作っていくことを私は夢見ている。

マジョリティが生み出す、あたかも「正解」かのような世界が終焉を迎えようとしている現在、マイノリティがあたかも「正解」かのような世界を作り出した瞬間が過去の終わりであり、過去を終わらせるのはマイノリティであるという考え方に、私は感銘を受けました。

私自身前々から申し上げておりますが、この世界に存在する「正解」は「道徳」のみだと思っています。
しかし、この世界には「正解のような考え方」が存在していることも確かで、これを作り上げているのは、そこに対して特異な意志のないマジョリティであることも確かです。
何が良くて何が良くないということもないのですが、いつだって時代に区切りをつけるのは、「正解のような考え方」を破壊するマイノリティです。
マイノリティが「正解のような考え方」を破壊し、新たに「正解のような考え方」を創った瞬間が新しい時代の始まりでもあると考えています。

私自身、自分のことを適合者のふりをした不適合者だと思っているので、生きづらさがあると同時に、新しい概念を考えることへの楽しみも持ち合わせているため、この考え方に感銘を受けました。これからも新しい世界を創って行けるように努めていきたいと思います。

3-2.「『私たちは破局を回避した』という判断は可能なのか?」

Future Compassは「Why」「Future」「Change?」の3つの言葉です。

これに関して思考されていたのは、哲学者の戸谷洋志氏です。

「『私たちは破局を回避した』という判断は可能なのか?」という問いに関して思考されています。

この思考には、「当たり前を見直すことで未来を考えることが出来る」という軸があります。

戸谷氏のプロセスとなる考え方を紹介します。

未来において到来しうる破局を回避することは現在世代の責任である。しかし、その責任を果たして破局を回避したとき、結局のところ破局は起こらないのだから、それはまるで「最初から起こるはずのなかった」もののように見える。そして、破局を回避するために取られた措置は、なくてもよかったかもしれないものとして、余計だったかもしれないものとして、過小評価される恐れがある。だが、そうした評価に基づいて危機感を緩めるなら、これから起こりうる次の破局を回避できないかもしれない。だから私たちは、なんでもない日常の中に、もしかしたら起きていたかもしれないが、しかし幸運にも回避できた破局を、想像することができなければならない。

人は、当たり前のように破局を回避して、現在の自分にとって良い選択を続けようと努めている。
しかし、回避によって起こらなかった破局をないものとせず、何を施したことで回避できたのかを可視化し、理解しておくことが大切であるという内容になっています。

これも、破局や回避といった言葉を用いると、難しい内容に聞こえてしまうかもしれませんが、身近なことで考えてみれば、勝敗の要因を探ることとも捉えることが出来ると思います。

確かに、それを行ったことによる結果は当たり前のように目の前に現れますが、それを行わなかった時の結果や、違うことを行った時の結果は意識しないと考えることすらできません。
したがって、常に、その選択をした結果と、他方の選択を回避した場合の結果と理由を意識的に考えておくことが重要であると思います。


4.まとめ

今回の「2121年 Futures In-Sight展」は私のこれからの人生にとって大きな経験であり、大きなきっかけになりました。

「未来を考える」ことが「現在と未来を創る」ということを再認識した上で、これからも未来への思考を巡らしていきたいと思います。

長文になりましたが、本日もお読みいただきありがとうございました。

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