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もうすぐ60歳のベテランSEが教えてくれたこと

私が入社1年目のときに出会った人で今も大切に心にしまっている言葉がある。誰しもそんな言葉を胸に生きているのではないだろうか。人の生き方には誰かによって支えられているものである。

たなかです。

この言葉はその方が会社の昇格試験で聞かれた質問だそうで、その言葉が巡り巡って私に受け継がれた。『受け継ぐ』ってなんか秘密の極意みたいでカッコいいではないか。そういう少年ジャンプのような王道の展開は好きだ。

60歳のベテランSEは基本優しい。当時社会人1年目の私に対しても物事を教えてくださり、会議では全体のバランサー、部内での信頼も厚い。ただ若いときは女たらしと聞いている。結婚はしていないが近々するらしい。平気で22時まで仕事をし、次の日には帰りたいと言いながら食べログでラーメンを眺めている人だ。

そんな人からある日言われた。

「SEで大事なこと3つあるが、なにかわかるか?」

面接官からの最後の質問だったらしい。

私は、聞かれたときに技術力、経験、知識と答えたが、口が横に開いてその言葉を待っていたかのように「違う。」と言われた。

当時はエンジニアといえば『技術こそ正義、知識こそ全て』みたいな文句があって私もその節があった。

恐る恐る聞いてみると、こう答えた。

「SEに大事なことは、技術力、信念、あと1つ何かわかるか?」

もったいぶる、じじいだ。

私は少しほっとした。技術力は合っていたし、信念も経験や知識から得られるもので答えとしては近い。実質2つ合っているようなものだ。100点満点中70点というところか。

しかし、私は最後の1つがなにか本気で考えたがわからなかった。頭脳やコミュニケーション力ではない。最後の1つである。

いよいよ本当にわからなくなったので聞いてみることにした。

「気配りや。」

視界から雲が開けて一気に晴れ間が広がるような思いだった。

コミュニケーション力なんて堅い言葉で言われていたら響かなかった。広義の意味で使うような言葉ではなく、もうそれ自体が意味を持っていてその人が日頃から行動に現れている内容そのものだった。

4月で入社3年目を迎えた今、日ごろできているだろうか。もう一度、生き方を再定義する中でこれは私の中で重要なキーになっている。

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