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#55 社内の要望を叶えることで事業拡大へ 株式会社Melever 佐藤麻紀さん #BOSSTALK(廣岡俊光)

北海道の活性化を目指すボス達と北海道の未来と経営を楽しく真剣に語り合う「BOSS TALK」。今回は株式会社Melever代表取締役佐藤麻紀さんです。仕事も子育ても全力で。女性スタッフ9割の職場で幅広く事業を拡大する姿勢をうかがいました。

<株式会社Melever>2006年札幌市で創業。個人事業主として、3.6坪のネイルサロンからスタートし、2012年の法人化を経て、ネイル・エステ・脱毛・サウナサロンなどの美容事業のほか、児童発達支援事業や保育事業など多岐にわたる事業を展開


■ ネイルサロン開業と子育ての両立…不安をバネに

――どのような事業を手掛けていますか?

ネイル・エステ・サウナサロン・脱毛サロンや、通所支援事業所4店舗・企業主導型の保育園や、洋服のレンタルサイト運営をしています。全部で13店舗ですかね。

――幼いころは?

小学校から器械体操を習っていました。中学・高校から新体操に変わり、全国大会の国体選手として出場し、強豪チームに所属していました。

体を動かすことがとにかく好きだったので、運動が大好きでしたね。

――学校を卒業した後はどんな道に?

高校卒業後は、カーディーラーに就職。正社員として働いていたのですが、手に職をつけたいなという思いがありました。

幼少期から細かい作業や絵を描くことがとっても好きだったので、ネイリストを目指そうと思い、退社。ネイルスクールに通いながら、大阪で3年間修行をしました。

働きながら2004年に長男を出産したのち、2006年に札幌市で3.6坪の小さなネイルサロンを開業し、スタートしたという形ですね。

――ネイルサロンを開業して、売り上げなどどうでした?

札幌市でネイリストとして働いた経験が無かったので、最初はお客様がゼロの状態。閑古鳥が鳴くような感じでスタートしました。

「ママー!」と大泣きし常に追いかけてくるぐらいの2歳の子どもを保育園に預けて。

お店に行ってもお客様は来ないので、ただひたすら掃除したり、チラシを折ったりしながら、「情けないな。こんなことやっていていいのかな」と不安になりながら、日々を過ごしていた時期を思い出しますね。

■ スタッフの声が”事業の拡大”に

――現在13店舗を経営、どうやって拡げていったのですか?

会社を大きくしようというよりは、スタッフ同士の人間関係のいざこざがあったことがきっかけですね。人間なので、「合わない」ことはあるが、どちらも手放すわけにはいかないので。一人ひとりが活躍できる場所を提供しようということで、サロンを増やして、2店舗にしました。

働く従業員の9割が女性なので、長く働いていただきたい。スタッフから「保育園を作ってほしい。そうすれば長く働けるから」という声も上がっていたので。企業主導型の保育園を参入しました。

自分が会社を大きくしたいというよりは、スタッフからの要望や、やりがいを持って取り組める働きやすい環境を大事にした結果、今に至っているのかなと思います。

――保育園を始めたとき、スタッフからどのような声が上がった?

スタッフは喜んでくれて。「オーナー、本当にやるとは思わなかった」とも言われました。毎年5~6人ぐらい出産するスタッフがいるので、従業員の子どもたちも含めて、自分がおばあちゃんのように接するのも楽しみですね。


■ デイサービス事業も展開…夢が私を動かした

――デイサービスを始めるきっかけは?

元々器械体操をやっていたので、昔の体操仲間と会う機会があって。たまたま、1人がデイサービスをやっていて、その話を聞いたときにビビッときたというか「私もやりたい」という気持ちになりました。施設に見学に行き、1~2カ月ほど研修を受け取り組もうと決めました。

――「私もやりたい」ビビッと来たのには理由が?

中学・高校時代は体育の教師になるのが夢でした。そのデイサービスは、器械体操をメインとした療育だったので。夢だった体操を教えることができるのではないか、という思いが強かったんだと思います。美容事業も安定してきていたので、次のステップとして良いタイミングでお話を聞けたので、すぐ行動しましたね。

――全く異なる事業ですよね、苦労や大変なことはありましたか?

福祉事業は美容事業と全く違いましたね。ただ、喜んでもらうという部分ではどの事業でも共通するものなので、そういう意味では、社会福祉ということも含めて、自分自身を子どもを持つ母親なので、そういう姿勢を子どもにも見せたいなという思いもあり。

また、通ってくれる子どもたちに精いっぱいのサービスをしようというサービス業であれば一緒かなと。苦労というよりかは、新たな発見で楽しかったですね。


■ 女性社員が9割…「人の喜びが私の原動力に」

――「喜んでもらいたい」という思いが原動力に?

「人が喜ぶこと」が自分に返ってくると思っています。スタッフの成長が自分の喜びにつながっている、子育てのような感じですね。

17年勤めているスタッフもいるので、そのスタッフが部下や新入社員に尊敬されている姿を見ると、自分を褒めてもらう以上に嬉しさを感じます。人の喜びが私の原動力だと再確認していますね。

――女性が多い職場だからこそできることは?

中学・高校と女子校だったので、女性の扱い方を小さいころから学んでいたと思います。

女性は褒めるとすごく喜んでくれる。私自身も女性なので、自分がしてほしいことを相手にもしてあげれば、まずは気持ちを掴めるかなと。女性経営者ということで、細やかな気配りができたからこそ、女性社員が付いてきてくれたのかなと思っています。


■ 「常に全力で楽しむこと」家庭も仕事もスタンスは同じ

――”家族への愛”が詰まったインスタグラム…大切にしていることは?

家族も社員も変わらず、常に全力で楽しむことを大事にしていますね。私は3人の子どもの母親ですが、子どもに見せる親の姿は、楽しませるより楽しんでいる姿を見せることが子育てにおいても、従業員にとっても共通して大切ですね。

「つなぐキッチン」という子ども食堂もやっているので、子どもたちを手伝わせたり、従業員とのコミュニケーションを保ちながら、みんなで一体となり楽しく過ごすことに力をいれています。

――率先して楽しまれている感がありますよね。

体育会系なんでしょうね。一番に楽しんでいるのは、私かもしれませんね。

――従業員からの声を実現…今後の予定は?

私は基本スタッフの声で動くことが多いですね。スタッフがチャレンジしてみたいと声を上げれば、スタッフを動かすことからはじめます。なんでもトライさせる環境だと思いますね。


■ 「自分で答えを出さない」…北海道・日本の美容を世界へ

――BOSSとして大事にしていることは?

「自分が答えを出さない」ということです。経営者ではあるが、働く仲間は同じ方向を向いているので、それぞれが自分の答えを出して、自分で考えて行動できるように導けるように教育をしております。BOSSというよりは、親という感覚でスタッフと接しています。

――自分で答えを出したほうが早いけど、そこで一歩引いて待つということですか?

目先だけで見ると、自分で答えを出したほうが早いんですが、自分で考えて答えを出せるチームのほうが最終的に(答えに)近づけるのではないかと考えています。スタッフを信じて待つぐらいの気持ちで進めて、今に至っていますね。

――今後チャレンジしていきたいことは?

今までは北海道や札幌のお客様をメインでサービスのおもてなしをしてきましたが、2023年秋に再生医療とエステを掛け合わせたクリニックを開業するので、北海道外のお客様や、インバウンドなど世界に日本の良さ・北海道の良さを広げていきたいと思っています。

――日本の美容…世界で戦う力はあるか?

日本のサービスの質・一つ一つの品質の良さは、韓国にも引けを取らない良い素材がたくさあります。そこを打ち出していけば、世界に日本を広められるのではないかと感じていますね。


■ 取材後記

 佐藤さんのポジティブオーラに触れていると、自然とこちらまで笑顔になります!店舗拡大の理由が、スタッフの要望や、スタッフのやりがいを高めるためだったことを知って最初は驚きましたが、従業員のみなさんを家族のように愛する佐藤さんだったら「きっとそう考えるよなぁ」と、筋の通った経営判断に納得でした。


<これまでの放送>

#54 【石屋製菓株式会社】代表取締役社長 石水創さん

#53 【札樽観光株式会社】代表取締役 杉目茂雄さん

#52 【株式会社Gear8】代表取締役 水野晶仁さん

#51 【北一ミート株式会社】代表取締役 田村健一さん

#50 【株式会社komham】代表取締役 西山すのさん

#49 【株式会社 創伸建設】代表取締役 岡田 吉伸さん

#48 【株式会社 光映堂】 代表取締役 関山亜紗子さん