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菊池涼介にコンバートは必要か?
2月まで私は何をすればいいんだ。どうもおーもりです。
先日のプレミア12で小園海斗がセカンドとして活躍し、レイノルズの帰国によってチャンスを掴んだ矢野雅哉がショートのレギュラーに定着。またドラフトでは強打のサードである佐々木泰を獲得と、内野手のレベルが徐々に上がりつつある広島。
そんな中で考えなければならないのが、現在セカンドのレギュラーを務めている菊池涼介の今後についてだろう。
現在34歳。二遊間の選手は一般的にこの辺りの年齢になるとコンバートされる傾向が強く、二遊間に残ったとしても攻守に精彩を欠く選手が多いなど、今後のポジションについて考えなければいけない時期となってきている。
菊池も例外ではなく、2022年まで10年連続で獲得していたゴールデングラブ賞を2年連続で逃し、また年々打撃成績が下降するなど攻守ともに陰りが見えてきている。
そのためサードコンバートの噂は絶えず、また残り300本に迫った2000本安打についても議論されており、菊池の扱いは今後の広島を考えていく上で重要なファクターとなる。
そこで今回は
菊池涼介のコンバートは必要なのか?
をメインテーマとし、
菊池涼介は2000本安打を達成できるのか?
をサブテーマに据え、過去の例や私の考えをもとにnoteを書いていく。
ちなみに今回は、守備面よりも打撃面の話に重点を置き話を進める。理由としては守備のデータは集めにくく集計元によって数値が異なりがちであるからというのは勿論、菊池がサードにコンバートされたとして守備面で苦しむ画が想像出来ないという、ある意味ゴリゴリの贔屓が入っているからである。
菊池涼介の成績推移
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まずは菊池の過去3年の成績、そして通算成績に触れていこう。
今季はチーム2位タイ(!?)の9本塁打を放つも、昨季と比べて出場試合数&打席数が増えながら安打数は減ったシーズンとなり、OPSはレギュラー定着以降ワーストの.623を記録。例年に比べ下位打線での出場が増えた1年となった。
また今季はUZR1.2を記録。昨季のUZR1.0を上回るとともに、昨季大幅なマイナスを叩き出していたRngR(守備範囲)を-4.0から0.1まで改善させるなど、守備指標上は良いシーズンとなった。
しかし、年齢の影響か欠場試合や中途半端なタイミングでの交代などが増え、フルシーズンに身体が絶えられなくなってきていることを実感した1年でもあっただろう。
今季のペースで安打を積み重ねられれば2027年頃には2000本安打を達成可能だが、果たしてどうなるか。
過去の選手との成績比較
ここからは、菊池の成績と過去の選手の成績を比較していく。
まず、キャリア中盤〜終盤でサードへコンバートされた選手のコンバート初年度成績をまとめて表にし、コンバートによる打撃成績の向上について考察する。
次に、来季の菊池と同じ35歳時点で二遊間のレギュラーを務めていた選手の成績をまとめて表にし、コンバートしなかった場合の打撃成績について考察する。
そしておまけとして、2000本安打達成が視野に入っていた選手の35歳時点での通算安打数などをまとめて表にし、菊池が2000本安打を達成出来るかどうか考察する。
対象選手は私の独断と偏見によりピックアップされたもので、キャリアの多くを二遊間で過ごした選手が主である。
1.コンバートされた選手
先程述べた通り、以下の表はキャリア中盤〜終盤でサードへコンバートされた10選手のコンバート初年度成績がまとめられたもの。
太文字は前年に比べ成績が良化した数値、細文字は前年に比べ悪化/維持した数値である。
また、年齢はこの成績を残した年度のものであり、本格的にコンバートした年の成績を載せている。
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出場機会を減らしながらも成績を上げている選手、プチ復活を果たしている選手が多く、特に
守備負担の軽減で復活を果たした池山隆寛
打数が減りながら安打を増やし、キャリアハイの本塁打/打点/長打率を記録した立浪和義
ほぼすべての項目で成績を伸ばし、この年2000本安打を達成した鳥谷敬
らが目立ち、コンバートによって打撃成績が向上する可能性は十分高いと言える。
また、坂本勇人や梵英心のように怪我や年齢の影響で出場機会を減らしたり、他の選手とプレータイムを分け合うようになった選手もいるため、コンバートが打撃成績の低下に直結するとは言えないだろう。
ただ、打撃成績の向上を目論んでサードへコンバートするも打撃成績が上がらず、むしろ攻守で足を引っ張ってしまう扱いの難しい選手が生まれるパターンもあるのが厄介なところ。
今季揃ってセカンドからサードへコンバートされた浅村栄斗と中村奨吾はこのパターンに当てはまる選手と言えるだろうか。
浅村は今季サードへと主戦場を移すも全ての打撃成績が前年比で悪化し、23年リーグ5位だったOPSが今季は10位にまで落ち込むと、守備面ではUZR-5.9 RngR-8.2と村林一輝の介護を必要する事態になっていた。
中村は藤岡裕大に押し出される形でサードへコンバートされるも、サジェストに「なぜ使う」が出てくるほど打てず、1年間健康に過ごしながら7年ぶりの規定打席未到達でシーズンを終えた。(また、今オフ中村は吉井監督へセカンド再転向を直訴。)
このように、コンバートは決して万能な策ではなく、それ相応のリスクが伴うことは承知しておかなければならない。
2.コンバートされなかった選手
これまた先に述べた通り、以下の表は来季の菊池と同じ35歳時点で二遊間のレギュラーを務めていた10選手の成績をまとめたもの。
太文字は前年に比べ成績が良化した数値、細文字は前年に比べ悪化/維持した数値である。
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これを見ると、
35歳にして自身初の首位打者に輝きキャリア最高OPSを記録した辻発彦
試合数が減りながら二桁本塁打を放ち自身6年ぶりの盗塁王に輝いた大石大二郎
らが目立つ。
しかし、殆どの選手は打率・OPSがともに前年比で悪化しており、表の10人のうち7人が前年より出場機会を減らしていることからも、この年齢で二遊間に残り好成績を挙げることの難易度が如何に高いかが分かる。
また、片岡易之や本多雄一、西岡剛のような第一線で活躍しながらも35歳時点でNPBから退いていたためデータが取れなかった選手もおり、二遊間を住まいとし長く現役生活を送ることの難しさを感じる。
ただ、田中賢介や石井琢朗のように前年比で出場試合数、打席数を伸ばした選手もおり、この年齢で二遊間のレギュラーを務める選手は基本的に頑丈であるとも言えるだろう。
そして気になるのは長打力の低下。前年比でIsoP(長打率-打率)が良化したのは53試合にしか出場できなかった福良淳一と統一球2年目の荒木雅博だけで、先に挙げた辻発彦と大石大二郎ですら悪化している。
勿論年齢の影響も考えられるが、長打力を武器としている菊池を語る上でここは押さえておくべきポイントだろう。
この中で現在の菊池に重なる選手となると、やはり仁志敏久が挙げられる。
これより2年前の2004年に打率.289 28本 OPS.804、前年に打率.269 11本 OPS.670と巨人のセカンドをバリバリ務めていた仁志だが、この35歳のシーズンに成績が急降下し、オフに横浜へとトレードで放出されている。
仁志の例は原監督との確執もあり極端な例な気もするが、こういった成績の急激な悪化と、先程の片岡らの例から読み取れる選手寿命の短さは、二遊間というポジションを住処にする選手の宿命なのである。
また、福良淳一も菊池と似たキャリアを築いた選手の1人だろう。
35歳のシーズンは怪我に見舞われ他の選手ともプレータイムを分け合う年となったが、前年は打率.301 OPS.776を記録し、セカンドとしての連続守備機会連続記録を樹立している。
また翌年は三塁手としての出場を増やしているため、福良のキャリアは今後の菊池を考える上で重要な指針となるかもしれない。(ちなみに福良は37歳で引退している。)
このように、コンバートというリスクを取らずに二遊間で起用し続けると成績の良化は基本的に見込めず、年齢による衰えも重なり長打力がガクンと下がることもわかる。
おまけ
2000本安打は可能?
おまけとして、サブテーマである菊池涼介は2000本安打を達成できるのか?について書いていく。
こちらも過去の選手との比較で、最初に述べた通り2000本安打を視野に入れていた10選手の35歳時点での選手の通算安打数、2000本安打達成の可否、2000本安打達成までの年数(達成した選手に限る)をまとめたのが以下の表である。
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こう見ると2000本安打達成の可能性は高いように思えるが、荒木雅博はこの後4年近くレギュラーを務め、鳥谷敬は翌年打撃成績を良化させ2000本安打達成。石井琢朗に至ってはこの後400本以上安打を放つという、例外に囲まれている感は否めない。
また、1000本近く安打を残していながらも最終的に2000本安打を達成している宮本慎也、残り179本とかなり迫ったものの2000本安打未達成の高橋慶彦(この年引退)がそれぞれ1番上と下にいながら真逆の結果になっているのは面白い点だろう。
ここから、2000本安打達成における菊池のロールモデルは入団時の監督でもある野村謙二郎と言えるだろうか。
野村は35歳のシーズンである2001年、セカンドとしてスタートしながらも5/9以降サードのレギュラーに定着。
以降怪我に悩まされサードをメインにしながらファーストにも挑戦し、頼れるベテランとしてベンチから若手を支え2005年に2000本安打達成。
同年に引退という、ヘイトを溜めず花道を飾る、野球選手としては理想的な形でキャリアを終えた。
勿論バリバリレギュラーのまま2000本安打を達成しその後緩やかに出場試合数を減らすことが理想だが、現実というのはそう甘くない。
先程の福良然り、この野村のキャリアは菊池の名球界入り達成においては重要な指針となるだろう。
結論
・コンバートによる成績向上は十分見込める。
・二遊間はいつ衰えが来るかわからず、急激な成績悪化と隣り合わせのポジションである。
・菊池の身体や今後のキャリアを考えればコンバートは必須項目であり、遅かれ早かれしなければならないだろう。
・コンバートは首脳陣もファンもリスク覚悟で見守る必要がある。
・2000本安打達成も長い目で見守る必要あり。
・残り300本は十分射程圏内。
・ロールモデルは野村謙二郎、福良淳一。
ここまでこのnoteを読んで頂き、ありがとうございました。拙い文章でしたが、少しでも皆さんのためになっていれば幸いです。
菊池と秋山の2000本安打達成をマツダスタジアムで見たい。書いていてその思いが一段と強くなりました。
最後にこれは主題からは逸れますが、願わくば、もう一度ゴールデングラブ賞を獲得する菊池涼介の姿が見たいものです。
画像引用元及びデータ参照
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