時空を超えた境地
あなたは「ゾーン」に入ったことがあるだろうか。
師匠の家で他の研修仲間と話していた。
これから畑は賑やかな季節を迎える。当然やることも増える。
草整理、育苗など春は忙しい。
そんな時こそ目の前の作業に集中することを大事にしようと師匠は教えてくれた。
目下の草をひとつずつ丁寧に刈っていく。時計は見ない、後どれくらいで終わるかを考えない。
ただ目の前の作業にひたすら取り組む。
するといつもより短い時間で作業が終わっていることがあるという。その瞬間はいつもより高い境地に立っているとのこと。アスリートの話によく出てくる「ゾーンに入る」という感覚だ。
そういえばそんな経験がある気もする。
集中していると全く疲れない、心地よい時間。あれがゾーンか、と思う。
まだそのスイッチの入れかたは身についていないが、なんだか習得できそうな気がしている。
頭で考えることと体を動かすことは連動している。頭で考える量を減らせば体の使い方に集中できるのかもしれない。深い。
春の柔らかい日差しの中で作業するのはとてもとても気持ちがいい。鳥たちは賑やかに飛び回り、虫たちは忙しく行ったり来たりしている。
時折冷たい風が体を通り抜けて、太陽のぬくもりに感謝する。
そのうちに強い日差しが夏を連れてくるだろう。この幸せな時間もわずかだなと思う。
ああ、春は儚い。