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研修を終えて①
島の自然農園での研修が終わった。
1年間、毎週金曜日が待ち遠しくて、愛媛県まで通うことが楽しみになっていた。
まず、師匠の山岡さんご夫婦と出会えたこと。
自然農の魅力を自分の目で確かめたい、この人達の見ている世界を自分も見てみたいと思った。
そしてこれは、僕の人生に、何よりも大きなインパクトを残した。
書籍やインターネット、YouTubeで自然農のことをたくさん調べたが、知れば知るほどわからなくなった。どの言葉を信じていいのかわからないと思った。
そんな時は飛び込む!
それなりに培った人生経験が背中を押した。
正解だったと思う。大正解だった。
研修は、島の自然農園で行われる。
山岡さんには、その時々の畑仕事を丁寧に教えていただいた。
畑は、緑に溢れていて、全てを受け入れる包容力がある。
島という、都市の日常から少し離れたこの場所は、時間の流れを感じさせない。
そこには「解放」があり、「命の躍動」があった。
山岡さんの言葉は、時にわかりやすく噛み砕かれ、時に一歩も二歩も先をいく。
どの言葉にも、やさしさがあり、引力がある。どの言葉にも、バリエーションがあり、同時に真理があった。
「自然は、個々別々でありながら一体である」
それまでは、自己流で、見様見真似で、不安の中での自然農。
YouTubeから流れてくる山岡さんの言葉を、正確に読み取るには、圧倒的に経験が足りていなかったのだろう。
ただ、今ならその言葉の輪郭が見える。
自分の畑で感じる感覚とすり合わせることができる。
それはとても大きな変化であり、貴重な体験だった。
いかに人間社会だけを生きていたか。
いかにヒトとして、生命として生きることを忘れていたかを悔いた。
目に見えるものと、その奥にあるもの。
そのどちらも「観る」こと。
それらを「観ている」瞬間に気づくこと。
まさに晴天の霹靂。
興居島の広々とした空が、海が、風が、ヒントをくれた。
畑の虫や、草や、鳥や猪が、教えてくれた。
そして、
忘れてはいけない。
そこには仲間の存在があった。
続く