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形態構築アプローチの概念と診方 その1

書籍「形態構築アプローチの理論と技術」を持っていない、知らない人は知っていただくために(^^)/
持っている人は書籍の内容がより理解できる様に、そして臨床で活用できる様に、弟子の土屋元明が研修で学んできた事を踏まえて解説。
今回は、アプローチについてと、観察時のポイントを紹介いたします。
是非一読くださいm(_ _)m
理学療法士 土屋元明

山嵜勉 略歴
1935年 東京都江戸川区生まれ
1953年 正明高等学校鍼灸マッサージ専攻科卒業
1957年 拓殖大学政経学部政治学科卒業
1958年 マッサージ師資格取得
1958年 東京女子医科大学病院入職
1966年 理学療法士資格取得
1975年 昭和大学藤が丘病院入職
1990年 昭和大学藤が丘リハビリテーション病院兼務
1997年 昭和大学藤が丘リハビリテーション病院定年退職
定年退職以降 海老名総合病院、昭和大学豊洲病院、横浜旭中央総合病院、横浜新都市脳神経外科病院、新葛飾病院、明理会中央総合病院、太田福島総合病院、健康増進施設ムウ21、山口医院、介護老人保健施設ウェルケア新吉田などに非常勤として勤務


形態構築アプローチとは

人間(以下、ヒト)の形態変化と運動機能変化は相関関係にあり、形態変化を補修・再構築することで機能の改善を図る理学療法技術を形態構築アプローチといいます(図1)。


形態に問題があるものを矯正する(器質的障害に対応する)学問として「整形外科」はとても有名です。

これは1741年に、Nicolas Andryが小児の変形を矯正する学問として生まれ、1906年に田代義徳が日本へ広めたとされています。このとき田代は「形正しからずもの機能正しからず」と伝えていたようです。

では、ヒトの形態の正しさとは何でしょうか。

私は、ヒトの形態の正しさにはある程度の幅(範囲)が存在しており、そこから逸脱した場合に運動機能の低下が起きているように感じています。

そしてその範囲は非常に個人差があり、かつ僅かなものだと考えています。

このため形態構築アプローチはエビデンスで支えられていません。しかし、結果が出る理学療法技術としていつの日か確立することを、考案者の山嵜勉先生は信じています。


ただただ観察することの重要性
ヒトの自然立位形態を観察してみる


形態構築アプローチを理解し、自分の技術に落とし込むための一番の近道は、今までの知識を使おうとせず、ただただヒトという形態(自然立位の形態)を観察することが大切であると考えています(図2)。

これまでにたくさんの事を学んできた人であればあるほど、改善の事実をみせられた後、理屈がわからない、納得できないとなる傾向があります。

その理由は簡単で、今まで学んできた学問とは違った視点でアプローチが展開されるからです。
その学問とは、物理学や構造医学、人類学(生物学)が挙げられます。


約137億年前、時間や空間は存在していませんでした。そこに原子(1㎜の1/1000)より小さい1つの点が突然生まれ、その瞬間にその点が爆発(ビッグ・バン)し膨らみはじめたのです。

そして、物質やエネルギー、時間や空間が誕生し、この物語が物理学です。

さらに、約38億年前に有機体(生物)が誕生し、この物語が生物学です。

現在、物理学や生物学から様々な学問が発展しており、我々にとって理解しやすい学問が運動学や解剖学、生理学です。

しかし、形態構築アプローチが取り扱う学問はそれだけにとどまりません。
だからこそ今までの知識で観察すると、理解に苦しむという現象が起こるのだと考えています。もちろん私も最初は非常に頭の中が混乱しました(^^)。

今後もこのアプローチは発展する可能性を大きく秘めています。ですが、まずはこれまでの形態構築アプローチの概念と捉え方についてポイントを知っていただきたいと思います。


生物は環境の中で生存に必要な機能を獲得し、形を進化させてきました。

ヒトの形態の最大の特徴は直立二足という立位形態であり、この観察において重要なことは、全体を把握できる距離を保つことにあります。

つまり「3m以上は離れて観察する」ということです。

そして、相手には「何も意識せず、いつものように立ってもらう」ことを伝え、自然立位を観察することが重要なポイントとなります(図3)。

自然立位を離れて観察することで、まず分かっていただきたいことは、ヒトは真正面を向いておらず、形態はわずかに左右非対称であるということです。

山嵜先生は、右利きで歩行の第一歩(以下、1st swing)を右足から出すヒトの形態的特徴を以下の様に述べています(図4:山嵜先生より許可を得て記載)。


①頭位は軽度右偏位、右回旋、②肩部と骨盤の右後方回旋、③体幹の左変位、④右前腕の軽度回内、⑤右脛骨の外捻・左脛骨の内捻、⑥両足部の内反(右>左)

このようなヒトの形態左右差はわずかであり、移動量であれば数㎜、可動域であれば5度以内のものであることを強調して伝えておきます。

つまり、注意深く観察することがとても大切です。

そして、これら①~⑥についての細かな説明や、自然立位形態変化と問題点については書籍「形態構築アプローチの理論と技術」で述べられているためここでは割愛いたします。
(書籍の要点を知りたい方は要点ノート※1に記載してあるため今後そちらを参照してください(^^)/)

次回は、アプローチを行う際の「3つのポイント」を紹介いたします☆

※1:要点ノート
書籍形態構築アプローチの理論と技術を熟読しながら自身でまとめたノートです。学び始めの頃はこのノートを現場に置き、実際の臨床で得られた情報と照らし合わせながら実践を繰り返していました。


形態構築アプローチという考えに少しでも興味をもっていただいたり、再び興味をもっていただければ幸いです。一緒に学んでみたいという方、少し興味のある方は是非ご連絡ください(^^)/


動きのこだわりテーション 代表 土屋元明
理学療法士/JMFS常任理事

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土屋元明(姿勢と歩きの専門家)
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