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『王書』を取り寄せてみた

最近読んでいる本は坂本勉先生の『新版 トルコ民族の世界史』(慶應義塾大学出版会、2022年.ISBN978-4-7664-2809-4)で、大変面白いし読みやすいので各位にオススメしているところです。

この中に「ペルシア=イスラーム世界」と坂本氏が名づける、10世紀末までのペルシア語を共通言語、イスラームを共通の宗教とした中央アジアからイランにかけて(アゼルバイジャンも入ってます)の地域の歴史についての解説があります。

テュルクの歴史を語る上で、ペルシア語文化圏と言うのは切り離せない存在だということを改めて知らされるところですが、同書で紹介されていた『王書(シャーナーメ)』にちょっと興味をそそられました。

そういえば高校の時、世界史でこの用語が出てきたな、ということくらいは思い浮かぶのですが、実際にどういう内容なのかはよく知らなかったのですね。で、『王書』が書かれた10世紀後半というのはテュルク系の民族が西にやってきた時期で、著者の坂本先生はこのことが同書の内容にも反映されていると指摘されています。

なるほどと思って、これは日本語訳を一度読んでみようということに。さっそく黒柳恒男訳(平凡社)を取り寄せてみましたが…

ボリュームがすごいなというのが最初の印象ですね。これは読みごたえがありそうだなという感想です。この中に出てくる「トゥラン」の描写が、テュル活民の端くれとしてはやはり気になるところ。

「トゥラン」といえば、後に民族主義の方々が汎テュルク主義を掲げるときに使う名前ということがありまして、その文脈でのこの名称は限りなく「危ない」代物ではあるのですが。

10世紀後半から11世紀初頭に書かれた当地の民族叙事詩として読むと、いろいろと面白いというのは間違いなさそうです。それに、ぱらぱらと読んでみた限りではストーリーとして純粋に面白そうですしね。

東京行きの機中の読書はこれで決定ですかね…こういうのが日本語で読めるというのはありがたいことです。先人の仕事には感謝すべきですね…

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吉村 大樹
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