嗚呼ロゼット、汝をいかんせん
嗚呼愛しいロゼット。おまえはなぜロゼットなのか。
手に触れたあの喜びも束の間、その日からずっとだ。
おまえをどうしたものか。私にはまったくわからなくなってしまった…!
おまえはたとえばこの写真を見て、ドンファンと私を罵るであろうか?
そう、いくらでも私を罵るがよい。
私には、このものたちが捨て置けないのだ…!哀れなるロゼットたちが、その価値を理解しないものたちの手に渡るかと思うと、胸が苦しくて張り裂けそうで、嫉妬のあまり夜も眠れなくほどに!
たとえば大勢のロゼットに並んで、悲しそうなたたずまいで店に飾られているこのものたちの姿を想像してみるがいい。
このものたちをなんとかしてやらねば…少なくとも11月(筆者注:外語祭の時期ですね)の寒空の中、外気にさらされている憐れなこのものたちをひとたび目にしてしまえば、なんとかしてやらねばと思うのが人の情けというものではないか?なあロゼット!
愛すべきこのものたちを、しかし私はどうにも持て余しているのだ。嗚呼ロゼット…!
おまえたちをたとえば人目につくところに出しておいたとして、だが道行く途中で落ちでもしたらと思うと、やはり胸が張り裂けそうになるではないか。とてもではないが、私にそのような勇気が持てるものか。
といって、人に見られたら見られたで「貴様ッ、共産主義者だな!」と罵る輩に万一出くわしでもすれば面倒なのだ…そうではないかロゼット?
だが、日本とトルコの国旗をスーツにピン止めして参加する行事など、長崎という異国情緒皆無の街においてはまったくをもってありえないのだ…!仮にどこかに出かけるときに衣服につけたらつけたで、「なんか妙な気合の入ったおじさんがおる」などと言われるのも癪ではないか、なあロゼット…?
もちろん、ひとつひとつ名前を憶えているとも。
なぜといって、どれも等しく愛しているのだから!
これはサマルカンド。
これがウズベクCCR。
これはウファ。
Bu O'zbekiston.(筆者注:意味なくこれだけウズベク語ラテン文字で書きました)
これがフェルガナ。
そしてこれがバクー…(私は中でも特に、このものを愛した!)
そんなわけだからロゼットたちよ。私をいくら恨んでもかまいやしない。
いずれ必ずどこかでおまえたちを、なんとかしてやろうと思っているとも。
だから今は、今だけは…引き出しの奥で眠っていてほしい、どうかわかっておくれ私の愛するロゼットたち!
【トルコ語】rozet (名詞)
ピンバッジ、ロゼット(フランス語rosetteからの借用語)
記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。Çox təşəkkür edirəm! よろしければ、ぜひサポートお願いいたします!いただいたぶんは、記事更新、また取材・調査のための活動資金に充てさせていただきます。