「概説」を書くのってマジで難しいからさ
明石書店の「エリアスタディーズ」シリーズは密かな(密かでもないな)ファンでして、特に自分が気になった国や地域が1冊に取り上げられていたら、できるだけ目を通すようにしています。とはいえ、すぐに買えるわけでもなかったりするので、図書館の助けを借りたりするわけですが。
ということで、昨日とある原稿にめどをつけたので、次の仕事に取り掛かる前の気分転換と言いながら今日も市立図書館に行ってきました。例によって語学の棚、また世界各国の地域事情の棚を中心に見て回ります。
エリアスタディーズからは、再び『イランを知るための65章』と、今回ははじめて『ベラルーシを知るための50章』を借りてきました。昨今の国際情勢の報道で、ベラルーシという国もちょっと気になっていたのです。
いちおう言語に関することに興味がある身ですので、こういったエリアスタディーズの本でも、やはり言語について解説している章から読みたいなと思ってしまいます。
そんなわけで、ベラルーシ語の知識はゼロながら、言語学的特徴と言語事情についての概説の章(16章、17章あたり)から読み始めることになります。17章ご担当の先生とは直接お会いしたことはないながら、SNSでゆるくつながっているということもあって、オンラインでもそういった方がこうやって何か書かれているのを読むのがまた楽しいということは大いにあります。
さてベラルーシ語、インド・ヨーロッパ語族のスラヴ語派(東スラヴ語群)に属するとのことで、テュルク諸語とはもちろん言語系統が異なります。ロシア語もおぼつかない私が、自分なりにどういったことに注目してこういった文章を読むかといいますと、どんな言語なのかを少しでも情報を得ようとしているのは当然として、書き手の先生が「何を説明して何を捨てているか」というところも見てしまいます。
エキスパートの方々というのは、紙幅の都合がつけば(あとは十分な時間があれば、という条件もありますね)いくらでも詳しく説明できるのですよね。ところが、このシリーズはもちろん当該地域の言語だけを紹介する本ではなく、地理・歴史・文化、社会情勢、日本とのかかわりといったジャンルを広くカヴァーする、まさしく入門書の位置づけなわけです。
自分の経験(『アゼルバイジャンを知るための67章』;みなさんぜひそちらも買ってください!)でもわかるのですが、その本が何章で構成されているか等の要素で多少左右はされるものの、だいたい4ページ程度、多くても6ページでその言語の特徴を説明するとしたら、何を捨ててどこを説明するかというところで、とても難しい選択を迫られるはずなのです。
その一方で、あえてほかの人ではなく自分がその章を担当するからには、自分のカラーも出したいというか、専門分野の知識をなるべく生かした形の文章にしたいという欲も出てくる(はず)で…
そういった様々な要素を勘案して出来上がったのが、わずか4、5ページながら重要な情報が集約されたそれぞれの章…ということなどに思いを馳せながら、各章を読んでいます。
さて、ベラルーシ語の情報収集をもくろんだわけですが、ウクライナと同様ロシア語との二言語併用の現状というものがあるらしく、ベラルーシ語の復興運動が注目されているというのは意外でした。国家語として安定した地位を保っているものなのかと思っていたのですが、やはりこういうことは専門家に聞いてみないとわからないものですね…
かくして『ベラルーシを知るための…』借りてきましたよ、とさっそくツイートしましたら、それを見てくださったとあるご専門の方から、「よければ購入のほうもぜひ」という趣旨のご返信を賜りました。
ええ、そうですね…(べっ別に圧に屈したとかそういうわけじゃないんだからね!)。『イラン…』のほうも買わないとなと思っていたところ、この2冊は早晩購入することになるかと思います。
とりあえず中央ユーラシアとその周辺地域のあたりだけでも、全部自費で買っておいたほうがいいんだろうなと思うようになってきましたが、これは危ない発想でしょうかどうなのでしょうか…
しかし、改めてベラルーシについてもちゃんとエキスパートがいて日本語で概説してくれるということのありがたさをかみしめる、土曜の夕方であります。
同様に、『アゼルバイジャンを…』の言語の章を読んだ方が、「そうかじゃあオレも/わたいもアゼルバイジャン語やらなあかんな」と思ってくれたらどんなにかうれしいことでしょうかねえ…?
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