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Vtuber好きが迎える”新たな別れ”について
ホロライブ所属VTuberの「夜空メル」さんの契約解除について、1月16日発表され、話題になっています。
詳細についてはTwitterや記事などをご覧ください。
ホロライブ箱推しで所属Vtuberが好きな自分としてもとても複雑な心境です。
ただここでは、夜空メルさんの件については語りません。
この”複雑な心境”自体についてお話したいと思います。
というのも、これはVtuberにおいて起きる特別な心理であって、最近生まれた現象だからです。
「Vtuberとの別れは特殊すぎる。ゆえに戸惑う」という話です。
リアルアイドルとは異なる、Vtuberとの別れ
先述の件、だけでなく、Vtuberがネット上から去る話は大手プロダクションのみならず、個人レベルでも枚挙にいとまがありません。
しかも色々な別れの形式があります。ざっくりといえば以下です。
1.「引退」または「卒業」
もっとも別れとしてはスタンダードな形です。本人の主体的な意志があり、それを事務所側が受け取り、落ち着く形です。より良心的な形の場合、「卒業」になるのかなと理解しています。こちらの方が前向きなかんじがしていいですよね。
チャンネルの停止なども本人の意志もあり、スケジュール区切りをつけられるため、卒業ライブなどもできます。見る側も別れの準備に備えられるわけです。配信のチャンネルが残ることもあり、過去のアーカイブ動画が見れるケースもあるのはいいことです。
2.「療養」 ※長期の場合
別れとは異なりますが、最近あまりにも多いのがこれ。Vtuberでは身体(喉の酷使)などもそうですが、それ以上に多いのはメンタル不調、いわゆる心の問題がとても多いです。Vtuberというのは見る側が思う以上に大変で、休む暇がない上に、アンチの声に悩む人は多いようです。一時的なものであればいいのですが、最近は長期間となり、事実上引退ということもあるかと思います。
3.「契約解除」
そして、悪い形としては「契約解除」です。これは何らかの問題により、事務所側がくだした結果です。経営判断や契約違反などの事情です。Vtuber側の意志とは異なるものです。
あまりその事情の詳細が明らかに語られることがないため、様々な憶測が飛び交いがちです。
この場合は「引退」「卒業」と違い、急な連絡となり、大体はその通知以後動画があがることはありません。最後のメッセージ、別れの言葉も十分とはいえない状態での最後となります。
そしてチャンネルが消えてしまうという判断がなされることもしばしばです。
大きく言えばこの3つ。最後は特にダメージが大きいですよね……。
そしていまは問題になっていませんが、最悪のケースとして(あまり好ましい言い方ではないですが、”中の人”の)「死去」という形の別れも、今後Vtuberという文化がある以上避けられないものです。
以上が、別れの形ですが
あまりVtuberを知らない人からすると、「リアルのアイドルでも同じでは?」と思われるかもしれません。
言葉をみると、同じですが、受ける心理は異なるように思います。
それは「キャラクターの喪失」という点にあります。
キャラクターを喪失してしまうということ
リアルアイドルは、「引退」「卒業」あるいは「契約解除」となったとしても、その人自身は存在しています。ですから、その後、俳優となって活躍、バラエティのアシスタントを頑張る、Youtubeをがんばっていくなどの未来があります。
しかし、Vtuberには「その後」「未来」がありません。
正確にいえば、そのキャラクターとしての、ですね。
多くのVtuberはキャラクター、つまり外見の3Dモデル、2Dモデル、の権利は事務所側が持っています。それだけではなく、キャラクターとしての設定、名前なども同様です。ここがとても大きなところです。
つまり引退して、事務所を離れることは、その見た目はもちろん、名前も捨てるということです。
中の人は同じで、Vtuberとしてのキャラクターを変えることを「転生」と言われます。引退後そういったことで「その後」続けている人がいますが、人としては同じです。しかし、これはキャラクターとしてはまったく別な物になるわけです。
そういう点で、リアルアイドルのような明るい未来が仕組み上、築けないというのがVtuberの悲しき宿命です。
(もちろん転生しても好きという人もいます。しかし、多くの人はキャラクターが好きで推しているため、単純な移行は困難なのです)
ですから、Vtuberのファンは知っているわけです。
引退のことを聞くということは、
そのキャラクターとの永遠の別れであると。
肉体的な死ではないですが、キャラクターの死を体感するわけです。
だから経験しえない、複雑な心理状態になるわけです。
推しは推せるときに・・・
仏教の言葉に「会者定離」という言葉があります。
会うということは、別れる(離れる)定めである、ということです。
Vtuberだけでなく、リアルアイドルでも、俳優でも何でもそうです。
大御所芸能人の死去に驚かされた昨年でした。
バーチャルな存在ならば老いはないように思いますが、それでも別れるということがあるということに少なからずショックがあります。
しかし、これもまた定めであったと知らされます。
この新しい形の別れに向き合っていく時代になっていくのだと思います。
とはいいながらも、この悲しさは簡単に癒やされるものではないと思います。
特に唐突な別れはつらいものがあります。
これはファンはもちろん、事務所側も同じだと思います。そしてご本人も。
それを受け、最後に古来オタクに語られる言葉を送りたいと思います。
「推しは、推せるときに推せ」