配信サービス迷宮への旅
現代の音楽クリエイターにとって、配信サービスは作品を届けるための重要なツールです。しかし、システムが煩雑で非効率だと、制作に集中する時間が奪われてしまいます。今回は、とある配信サービス(仮にB社とします)を利用した際の実体験をもとに、クリエイターが直面する課題についてお伝えします。
1:「すべて小出し」問題
リリース申請を進める中で最初に起きたのは、差し戻し対応の不明瞭さでした。「アーティスト名と楽曲のアーティスト名が一致していません」という指摘があり、詳細を確認すると、「全曲のフィーチャリングアーティストが同じ場合は、商品のアーティスト名もフィーチャリングありで揃えてください」とのこと。しかし、この設定が進むたびに、想定していた「アーティスト名:SIRCORE」「楽曲名:Ghost Rabbit (feat. KIZEN)」の形が崩れ、「アーティスト名:SIRCORE feat. KIZEN」に固定されてしまうという問題が発生しました。
さらに問題は、指摘が一度にまとめられない点です。「商品名」「楽曲名」「表記方法」といった修正が別々に連絡され、その都度最初から申請し直しに…。
再申請するたびに21日後が最短リリース日となるため、スケジュールがどんどん後ろ倒しになり、「最初に全体の問題を指摘してくれれば…」と思う場面が何度もありました。
2:「仕様の不統一」に振り回される
次に浮かび上がったのは、配信プラットフォームごとの仕様の違いでした。例えば、Apple Musicでは「feat. アーティスト名」がOKでも、SpotifyではNG。また、あるプラットフォームでは楽曲名にフィーチャリングを記載できる一方で、別のプラットフォームではアーティスト名に反映されるなど、不統一が生じます。
各ストアの仕様の違い自体は理解できますが、問題はその登録方法。説明が十分でなく、すべてのプラットフォームごとに「一から設定をやり直す」必要があったのです。結局、これを解決するために別のサービス(TuneCore Japan)を利用しましたが、こちらでは「メインアーティスト」と「フィーチャリングアーティスト」に分かれたシンプルな設定が可能で、スムーズにリリースが進みました。
この対比から明らかになったのは、システム設計における合理性が、クリエイターの運用効率にいかに大きな影響を与えるかということです。
3:「退会すらできない」
最終的に、B社のサービスを諦めて退会しようとしました。しかし、退会手続きも一筋縄ではいきません。「配信停止されていないと退会できません」という条件が立ちはだかったのです。上記の理由で商品が「差戻し」状態になっていたため、「再申請」への導線しか用意がなく、「配信停止」には進めないようになっているため、退会ができない…。
退会条件が明確でないうえ、手続きのフローが煩雑で、ユーザー視点を欠いた仕組みは、利用者にとって大きなストレスとなります。退会を含めた手続きフローの簡略化が求められます。
結論:シンプルさと一貫性を求む
今回の体験から見えたのは、以下の3つの課題です。
修正点の一括提示がない
小出しでの指摘および差戻しが作業を妨げ、スケジュールに大きな影響を与えています。ルールの不統一
プラットフォームごとの仕様に対応する仕組みとその説明が煩雑で、ユーザーに負担がかかっています。手続きフローの煩雑さ
退会手続きも含め、シンプルで合理的なフローが欠如しています。
クリエイターが制作に集中し、作品をスムーズに届けられるためには、配信サービスのシステム設計が重要です。B社の体験を踏まえ、私自身は現在TuneCore Japanに移行し、手続きのスムーズさを実感しています。
(『Journey』という作品で登録したAmuseというサービスも問題なく利用中です)
有料ページ:会社名の詳細について
今回利用を取りやめたサービスについて、本文では具体的な会社名を伏せています。これは、会社批判のためではなく、あくまで個人的な体験をもとにした情報共有を目的としているためです。
ある程度推測できるように書いたつもりですが、念の為会社名を確認したい方や詳細な比較検討を希望する方には、以下、有料ページで情報を提供しています。
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