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ベンチャー企業のバックオフィス人材に必要な5つの能力

ある程度の成長を迎え、所属する社員が増えてきたベンチャー企業では、
適切なバックオフィス業務が重要となります。
ここでは、企業におけるコーポレート部門の役割やその人材に必要となる能力について詳しく紹介します。

コーポレート部門の役割とは?

ビジネスシーンにおけるコーポレートとは、「企業」という意味を持つ言葉です。
コーポレート部門は、バックオフィスや管理部門と呼ばれることもあります。企業の社会的責任を達成するために、持続的に経営を支えている部門のことを総称した呼称がコーポレート部門です。

ベンチャー企業のコーポレート部門に求められる役割は多岐にわたりますが、「事業成長に寄与すること」が最も重要だと言えます。コーポレート部門といっても、請求書発行や契約書の確認といった定型業務から、人事制度の整備や採用・資金調達といった事業と密接な関係を持つ業務まで様々です。

全てを完璧にこなせることが理想ですが大半のベンチャー企業の場合、事業成長に応じて直面した課題に対して、都度ルール化するなどといった場当たり的な対応になってしまうことがほとんどです。

上場以降の企業におけるバックオフィスでは、リスクテイクに比重をおかざるを得ないことも多いですが、初期フェーズにおけるコーポレート部門の在り方は「いかに事業成長に寄与することができるのか」について重視すべきだと言えます。そのため、バックオフィスを担当する人材も事業サイドと同じ目線を持ち、事業の動きに合わせた柔軟な対応が求められます。

コーポレート部門には、「法務」「人事・労務」「経理」「総務」などがありますが、創業当初のベンチャー企業が特に注力すべきなのは「人事・労務」と「経理」です。その役割とその理由について解説していきます。


人事・労務

人事・労務では、企業経営として最も重要ともいえる社員に関する業務のすべてを担う仕事を行います。その主な業務内容は、以下が挙げられます。

  • 社員の給与計算や勤怠の管理

  • 福利厚生業務や各種保険の手続き

  • 社員の評価や処遇の管理

  • 新卒・中途採用

  • 教育や研修等の人材育成

  • 人事戦略や制度といった組織づくり

人事の仕事は、人材採用とその育成・登用による組織拡大と事業利益の拡大を実現することです。また評価制度を整備することにより社員の能力の見極めや、配置転換の策定も人事の職務の一環となります。

企業の成長に関わるだけでなく、社員のこれからのキャリアプランにも関わりのある仕事なので、最適で公平な配置を実現することができるような判断力が求められます。

労務の仕事は、会社に所属する社員が働きやすいように環境の整備や管理をすることです。

上記で挙げた社員の給与計算や勤怠の管理、福利厚生業務や各種保険の手続きのほか、入退社の手続きなどがあります。

会社を立ち上げたらまずはじめに労務管理機能を整えることが先決です。給与振込の作業や入社手続きの整備が行えているかどうかは重要な要素です。

また、CEOを中心に就業規則を制定することは、創業時から取り組むと良いと思います。

就業規則は企業文化を築いていく上での礎となります。法律上、どのようなことが問題となるのか、セーフ・アウトのラインやどういった部分がグレーなのかを創業時から理解しておくことが大切です。


社員が10名を超えてくると、労働基準監督署へ届出を提出する義務が発生します。10名になる見通しが立ったら、社労士や労務経験者に相談しつつ就業規則を制定することをお勧めします。

経理

経理の仕事は、企業経営で発生するお金の流れを数値化した上で管理を行うとともに、その情報を経営者に提供することです。その主な業務内容は、以下が挙げられます。

  • 売上や仕入れに関するお金の管理

  • 決算業務など財務状況の管理

  • 税金の計算や納付

  • 減価償却などの資産を具体的な金額に換算

  • 給与や社会保険料の管理・計算(企業によっては人事・労務が行うこともあります)

決算業務を経理ではなく会計として部署を分けて行う企業もありますが、両者を区別せずに一括して行なっている作業も多くあります。

労務同様、経理周りの業務も優先的に整えておく必要があります。事業を実施していく上で、お金の動きは必ず発生します。

お金の動きが発生するということは、その管理を正確かつ確実に行う必要があるということです。
経理処理が正確に行われていない場合、「経営状況を正確に把握できない」ことや「資金の過不足を把握できない」などの問題が発生します。

はじめに述べたように、経理の仕事とは管理した情報を元に経営陣をサポートすることです。自社の資産状況の管理などの把握に時間がかかると経営判断にも時間を要します。そう言った事態を回避するためにも、経理周りの業務は優先的に整えておきましょう。


バックオフィス人材に必要な能力5選

バックオフィスで働く人材に必要な能力について5つ紹介します。

幅広く対応できる能力

経理歴10年、といった特定のバックオフィス領域のみ多くの経験を持っている人材はマッチしにくいことが多いです。

バックオフィス業務の性質上、一つの領域のみで求められる専門性や知識はそれほど大きくありません。外部の専門家に頼ることでスキルや知識を補完しながらだとしても、多領域にわたって対応することができる能力やマインドが重宝されます。

柔軟性

スタートアップ企業の特徴として、意思決定までの時間が早いことが挙げられます。方針や施策が変わることは日常茶飯事のため、悪い言い方をするとバックオフィスは振り回されることも多くあります。

そのため、そのことに不平不満を持つのではなく、事業側の意向に合わせた柔軟な対応をすることができる能力やマインドが求められます。

高いITスキル

昨今もベンチャー企業では、クラウド環境を活用した事業の実施が当たり前に行われています。各業域でも優秀なSaaSも多く、少ないリソースでバックオフィス業務を回していくためには高いITスキルを持っていることが必要不可欠です。
理想としては、簡単なプログラムを組むことができるくらいの能力を持っていることですが、そこまでいかずとも、ITツールを使いこなし、効率化を図りながら業務を進められる能力やマインドが求められます。

学習意欲

ベンチャー企業では、自分の専門外の領域の業務を担わなければならない場面が多く発生します。
そのため、会社に何が足りていないかを把握し、足りない部分を補えるように自分で学習を行ったり、時には外部リソースに頼るなどをしてうまく社内を回していく能力が求められます。

辛抱強さ

基本的に事業側のメンバーにとって、バックオフィス関連の業務は優先度が低くなってしまいがちです。しかし、たとえ優先度が低くても本当に必要となることには協力してもらう必要はあります。

そのため、事業メンバーへの負担が不必要にかからないような配慮や仕組作りが必要となります。また、普段から事業メンバーと関係づくりをしておき、協力しえもらいやすい環境作りも大切です。どんなに嫌がられたとしても周りを巻き込んで粘り強く業務を完遂する辛抱強いメンタルが求められます。

まとめ

この記事では企業におけるコーポレート部門の役割とはどのような役割なのか、その人材に必要となる能力について詳しく紹介しました。
バックオフィスの業務は、目立つことの少ない内容ばかりですが、縁の下の力持ちとして企業を支えている重要な業務です。
職種により業務内容が異なるため、必要となるスキルや知識もそれぞれ違います。
バックオフィスに適切な人材を採用・登用することで、自社の業務改善に繋げましょう。